盾の勇者の成り上がりの批評

アニメ版の批評です。

第一話

裏切り

使い物にならない盾の勇者を女とグルで騙して犯罪者にする、という展開。中世ではまともな裁判が行われていなかったため、確実な証拠もないままに裁かれているのは納得できるが、いくら盾とは言っても勇者だ。
政府がわざわざ呼び出した勇者が犯罪者であることを大衆に晒すわけがない。自らを王と名乗るようなものが政府の威信が下がるような真似をするとは考えられない。たとえもし犯罪が事実だとしても貴重な勇者を一人減らすのは非合理的だ。
確かに、勇者であるからこそ、成長して手に負えなくなる前に殺しておこうという寸法だったのかもしれない。ただ、にしても早計すぎる。まともな頭をしていたらもう少し泳がせておいて決断するだろう。
仲間も仲間だ。盾の勇者の肩を持つと同じようなやつに見られるのはわかる。ただ、まだ証拠もないだけではなく、荷物が盗まれて金髪のものになっている時点で仲間は「あれ?ちょっとグルっぽくね?」くらいは思えよ。
ここで悪い成功体験を積んだ金髪の勇者の次の矛先はお前らに向かうかもしれないんだぞ?
口だけで信じるなら、盾の勇者の言い分も信じろよ。だって勇者だぞ勇者。

私の考えるにこの展開はなろう系の恥部である、「ざまぁ系」の展開を無理やり起こさせるためであろう。転生系を見るもののほとんどは現実でうまくいっておらず、何かに対して偏屈したコンプレックスを抱いている。そういう人たちの「見返してやりたい欲求」を満たすための展開だと考えられる。
そういう性根だからどうにもやりきれない人生を歩んでいるのではないか?
エロ・グロシーンがある作品のように、こういう心から障がい者の方達のためのコンテンツはちゃんとそうであると表記して欲しい。「この作品はざまぁの要素を含んでいます」とか。

ハゲ

やはり職人のハゲに悪い奴はいない。なぜなのか。なんなら悪役のハゲすら悲しい過去があったり、憎めない特徴があることが多い。

買取屋

この商人も「強姦した勇者と商売している」という噂が流れたら困るのだろう、まともな態度じゃないのは理解できるはずだ。この時に盾の勇者が買取屋を力で脅したのは作者の鬱屈な性格が出ているせいだ。「敵であれば理由を考えずに攻撃しても良い」という作品の王がやったような薄汚い魂胆が透けて見える。
ただでさえ自分の悪評が広まっているのだから、名声回復のために善良な勇者として暮らすのが普通であろう。俺は間違っていないのだから、俺が間違っていない振る舞いをするというのは健常者の思考体系ではない。たとえ自分が合っていたとしても実利を取れないのは発達障害の特徴である。

第四話

決闘

金髪の勇者(槍の勇者)がラフタリアたんをゲットするために、ラフタリアの奴隷解放という大義名分を掲げて決闘するこのシーン。やはりざまぁを無理矢理起こそうとしているようにしか見えない。奴隷制が認められているこの国で勇者が奴隷を使うのは現実世界で言うなら、日本で政治家が風俗に行くようなものか。何も問題ではない。何も問題でないのをラフタリアゲットのために槍の勇者が騒ぐのはわかる。ただ、王が騒ぐのは意味がわからない。王のお抱えである勇者がイメージダウンするような行動をしてもらっては困る、というのなら盾の勇者が強姦魔であるという風説を流布するのも王にとってはデメリットでしかないはずだ。
ざまぁが悪か悪でないかはおいておいて、ざまぁを起こすために脚本に一貫性がないのは本末転倒ではないのか。
少し作者の肩を持つならば、盾の勇者を倒させることで槍の勇者の威信を高め、間接的に王の威信を高めようとしているのではないか、とも考えた。しかし、盾の勇者にも税金は使われているわけで、名声が下がった盾の勇者に税金が使われていることを知った民衆からは不満の声が上がり、結果的には王の人気は下がるであろう。そのためやはりこの決闘を認めたのはストーリーに一貫性がなくてもいい、という作者の甘えからくるものであろう。

大逆転

なんと、今まで盾の勇者の行く先々で足を引っ張ってきた赤い髪の女が王の娘であることが発覚した。今までもストーリーの矛盾点が一気に説明された。今まで隠していたなんて、作者もいい性格をしている。ちゃんとここで説明されるのは素晴らしい。元々私がこのアニメを見始めたのは評判が良かったからであるが、その評判に恥じないストーリーだったようだ。いや、まさかなろう系の作品がちゃんと伏線回収してくるとは思わなかった。というかそもそも、伏線だとすら思わなかった。だってなろう系だもの。いや〜一本取られた。
(女が盾の勇者を嫌っているのは別におかしくない。いじめなんて別に理由と言えるほどの理由がなくても起こりうるからだ。説得力があり、一貫性のあるいじめなんて存在しない。)

ただ、気になった点が二つあった。
一つ目は赤髪女が王の娘だと知った時、主人公が闇堕ちしたことだ。ああそうだったのか、納得はするが、別に闇落ちはしないだろう。むしろ理不尽に差別されていたのではなく、理由があって差別されていたことがわかって気がせいせいするではないか。しかも別にラフタリアは裏切ってない。

二つ目は赤髪女の不正を指摘したあと二人の勇者だ。なぜ今になって主人公の肩を持つ?それなら最初の時も「まだ証拠が…」って言えばよかっただろう。まあ、旅をしていくうちに女がきな臭いと感じたり、王のバカさ加減に気づいたり、結果を出したから王に口出しできるようになっただけ…などいくつかの説明ができるので、まだ許容範囲内だ。

第五話

ベルセルク?

奴隷商のおじさんがベルセルクに出てくるゴッド・ハンドのユービックに似ているな、と最初から感じていたのだが、とうとう白いベヘリットみたいなものが出てきて笑ってしまった。しかもそのベヘリットもどきからは化け物が生まれてくるらしくてもっと笑った。
なんなら波も蝕っぽいし。

第九話

槍の勇者

今回の槍の勇者の矛先は鳥ロリに向かった。作者はヤリチンに恨みでもあるのだろうか?もしかして、ヤリの勇者ってそういうことか!?槍チンってことか!?
とにかく、なろう系の理不尽展開は現実でも起こりうるものが多いので、「これは作者が今まであってきた辱めや、嫌な人物を投影したものなのかなぁ」と邪推してしまうので嫌いだ。気軽に第四の壁を乗り越えてこないで欲しい。

第十話

クラスアップ

まーた理不尽展開が来てしまった。今回はクラスアップ禁止令だ。久しぶりに合理性のないストーリー展開だ。もし私があのように愚かな王だとしても、わざわざ国益に反することはしない。ただざまぁ系を悪としない限り、ざまぁの養分になる展開になるので、なぜ逐一このような理不尽クソ王展開を出してくるのかは理解できる。バカ王の成分を与えることは忘れない知性は持ち合わせているのに、なぜざまぁ系を選んでしまうのだろうか?
ジョナサン・マレシックやデュルケムよろしく、ここまでざまぁ系が社会で跋扈しているのはちゃんとした道徳教育を教える体制を整えられておらず、道徳的行動が賞賛を浴びにくい社会構造自体に問題があるのではないかと考えた。

レジスタンス

どうやら弓の勇者と剣の勇者が革命を起こすような雰囲気が出てきている。このnoteの「決闘」の最後らへんに書いた、二人の勇者が王に口出しするシーンの伏線回収が来たのかもしれない。まあ普通に考えて勇者に選ばれるような人物なのだから、バカな王の下につかずに自分たちの国を作る方が彼らにとって利益が大きいだろう。
剣の勇者が話が通じる奴だということもわかった。また、「嘘をつく理由がないので本当」理論を使っているので、もしかしたら衛門かもしれない。

第十二話

カラマーゾフの姉妹

とうとう王位継承権一位の青髪女が第二位の赤髪女に兵を向けられた。そのまま女が死ねば万々歳、青髪女が死ななくても水晶玉で録画した映像を悪用して王に見せ、盾の勇者を悪物にすることができ、盾の勇者についている青髪女も悪者にすることができる。これはとてもいい策だ。ここまでくると赤髪女の執念はすごいと思う。ただ王はバカすぎないか?普通に考えて赤髪女より良い子ちゃんの青髪女のいうことを聞くだろう。バカなほど可愛いってやつか?

第十五話

貴族、ざまぁ!

ラフタリアちゃんの悲しい過去の元凶、リョナ趣味の貴族とご対面。優勢に立ち、いざ殺そうとするが、主人公がラフタリアを止める…いや、なぜ?今まで騎士たちは普通に殺していたのになぜここで躊躇するのだ!ここで殺しておかないとまた獣人が犠牲になるのかもしれないのだぞ!ざまぁ!してくれよ!普通におかしい。ここで殺してしまったら本当に悪者になってしまうからやめよう、などの理由だったらまだわからなくもないのだが(ここでこおろしても殺さなくても変わらないと思うが)、普通に精神的成長が理由で殺さないのはおかしい。わかりやすいどや!感動的やろ!のシーンを作りたかっただけなのか?

第十八話

教皇

まさかここで教皇が悪者になる展開が発生。おそらく全ての勇者が悪いという風説が流れているのだろう。仕方ない。現実にもれいわ新選組、陰謀論、反ワクチンを信じている人間もいるのだ。大衆のほとんどは愚かであり、悪い評判を信じ、大きい物に巻かれる。
歴史から見て”敬虔な”信徒も厄介だ。愚かなだけでなく、神という大義名分を掲げているが故に話が通じない。彼らに足りないのは祈りではなくIQということにいつになったら気づくのだろうか。
そんな状況を利用して反乱を企てる教皇は頭がいい。

第二十一話

赤髪、王、ざまぁ!

赤髪女の弾劾裁判のシーン。赤髪女が教皇と手を組む理由がない。なぜなら赤髪は王女になるのが目的であり、教皇は王政を崩壊させるのが目的だからだ。まあ日本にもお金を借り、その金利より低い利子でお金を貸し出すバカ女もいたくらいだから、なんとなくで決断する人種がいるのも許容できる。
王が嘘をついているシーンは無かった。このおかげで、王がただただバカなだけだということを強調できたのでいいと思う。

四聖教

敵対してきた宗教が国教から外され、勇者を崇拝する宗教が国教となった。疑問点が一つだけある。今まで国教とされてきた宗教が一気に威厳がなくなったからといって、新たな国教が信じられるわけではない…と思ったが、歴史的に見てキリスト教が信じられなくなったのは、「科学」という絶対的な正しさを持つある意味での宗教が出てきたからであるため、国民がすぐに別の宗教を信じたというのはそこまでおかしな話じゃないかもしれない。

第二十二話

情報交換

槍の勇者はともかく、剣と弓の勇者はわりかし話が通じるタイプだろう。作者はこのキャラたちをどういう立場に置きたいのだ?ただただ性格が悪いだけ、という説明はできる。説明はできるが、ざまぁを起こすためだけのキャラにしか見えない。

第二十四話

別の勇者

異世界から来た勇者が現れた。彼らのいた世界を守るためには盾の勇者を殺さないといけないらしいが、意味がわからない。まああとで説明されるだろう。もしかして「ぼくらの」みたいな展開なのだろうか。

善良な私はざまぁを起こすためだけの理不尽展開に耐えられなくなったのでここで見るのをやめた。

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