【マーケティングトレース】ビックリマンを解剖!
突然ですが「射幸心」というのはビジネスにうまく組み込むべきだと常々思っています。
中身は意中のアイテムでなかったとしても、中がわからないからこそ福袋は「思いがけずいいものはいってるかもしれないから買ってみようか・・・」という気にさせられます。
身近なところでも、例えばゲームアプリ。
いまなら10連ガチャ無料とか、ギャンブルの醍醐味がまさにそうであるように「ひいてレア役が当たる」「派手な演出から当選する」いう期待値に人は興奮し脳汁分泌します。
子供から大人まで、その魔力にまんまと引き込まれる普遍的なファクトがあるので、規制の範囲内でそのエッセンスはうまくサービスに組み込むべきだと思うのです。
今回、トレースしたいと思っているのは80年代の日本を沸かせた「ビックリマン」。
私は40歳なのでど真ん中です。
いまでもメルカリやヤフオクでちょこちょこ購入したり、新商品が出るたび買ってしまいます。
当時の過熱ぶりはすさまじく、社会現象でシール欲しさに開封だけしてお菓子を捨てるというフードロスの風上にも置けない行為が横行し問題になっていました。
私の家は、子供に甘い家柄でもなかったので自分のお小遣いの範囲で買い、収集し、友達と交換をして、という身の丈にあった楽しみ方をしていた。
ケース買いしているクラスメイトを羨ましく思っていたのを覚えています。
さて、あれから30年以上が経過しビックリマンの立ち位置も変わりました。
昨年、続編となるシリーズ34弾が発売されそこそこ話題になりました。
(個人的にここ数年でのポテンヒットは裏ビックリマン。)
実はそれ以外にもコンスタントに新商品をリリースしていることもあり同時期に、店頭にならんでいた「ドキドキ学園」や「ラーメンバー」ほど古くささも感じないし若い世代にもなんとなく認知されているのではないでしょうか。
にゃんこ大戦争のゲームアプリ内でもコラボされたのも記憶に新しい。
(シールとしては発売されなかったので商品化は強く希望している。)
ビックリマンの位置付けは子供向けのお菓子ではない。
ロッテの担当者に口からも語られているようにターゲットは30,40代の大人に設定されています。
そして、チョコレート菓子として陳列されているビックリマンですが「メディア」としての側面が強いと感じています。
今のビックリマンにはロッテのもつかつての看板の価値を引き出し しっかりマネタイズしていこうという遊び心と挑戦が見え隠れします。
その姿勢、個人的にものすごく好きです。
なんなら転職したいほどに。
だってワクワクする仕事がしたいですからね。
というわけでトレースしていきます。
なぜ現代のビックリマンは「メディア」といえるのか、その所以を紹介していきたいと思います。
と、その前にビックリマンを知らない世代にビックリマンを簡単に説明しておきましょう。いえ、語らせてください。
ビックリマンってなに?
当時の価格は30円。チョコウエハースには一枚かならずシールがはいっています。
その中には天使、お守り、悪魔のシールがいずれかが入っているのですが稀に「ヘッド」と呼ばれる気高いシールが当たる僥倖が訪れることがあります。
その代表格が「ヘッドロココ」や「スーパーゼウス」「ブラックゼウス」などで、名前くらいは何かの拍子に耳にしたことがあるという人も多いのではないでしょうか。
とにかく、このシールに日本中のキッズが狂い、一喜一憂し、一方で競合のお菓子会社も類似商品の開発に心血を注ぎ、時にズレたセンスを露呈していました。
しかし、このビックリマン。
初めから順風満帆だったのかというとそれも違います。
PDCAという概念がビジネスパーソンに浸透していた時代かどうかわからないですが、失敗に失敗を重ね、改善ののちに思わぬバズり方をしたという経緯があります。
ドッキリシール、マジャリンコシール、特ダネシール、ギャグポスターシールなどビックリマンの前身にあたるシリーズはことごとくヒットせず崖っぷちに立たされていました。
その後、ロッテは子供達に徹底的なリサーチを敢行。
リサーチ結果から天使VS悪魔をテーマにシフトしたのが1985年。
この転換が運命を大きく変えたのです。
その2年後くらいに、コロコロコミックに紹介されその後の伝説的なヒットにつながっていき1989年にシリーズは最盛期を迎えます。
年間100万個売れればヒットと言われる業界において年間4億個を売り上げていたというから恐ろしい。(お菓子で120億!!)
いまでも、サービスの設計の手法として多くの企業でも行われているように人気商品のヒット要因を抽出し、抽象化、から再現性を高めるというマーケティングトレースは精度こそ違えど、この時代も行われていたそうな。
その結果、二匹目三匹目のドジョウを求めて「ラーメンバー」やら「ハリマ王」やらが雨後の筍のように出回ったがビックリマンを超えるヒットはその流れからは生まれなかったと思います。
なんとなく、短絡的で表面的な再現になっているようにも感じますがその歩みがあったからこそマーケティングは発展を遂げて学問として成立しているとポジティブに考えるようにしたいものです。
ビックリマン、本家シリーズ以外の展開が活発に
さあ、ビックリマンをおさらいしたことでやっと本題に入れるというものですが、ビックリマンにはいくつかのシリーズがあるのはご存知でしょうか。
1985年に第1弾が発売された本流の本家シリーズ。
16年ぶりに発売した33弾が好評だったため続編となる34弾が2019が発売されました。(ビックリマン2000は黒歴史 ?)
スピンオフ的に、コラボしたスーパーゼウス外伝、ルーツ伝、7神帝外伝、復刻シリーズなども不定期でリリースされ続けています。
そして、かつての人気と知名度を土台にし、様々なコラボ商品が展開されておりこれが私がメディアとして位置付けている理由です。
2013年にももいろクローバーZと行われたコラボではコアターゲット以外の20代周辺の層の取り込みに成功したようで売り上げも好調だった模様。
しかし、握手券ほしさにCDを大量買いするような層が買いまくったのかAKBやももクロコラボのシールはメルカリ、ヤフオクでたたき売りされています。
需要より多く出回りすぎたのかと思います。
「推し」以外いらなかったのかな…
以降、乱発するコラボシリーズはおもに、このように大別できます。
またせっかくマーケティングトレースのワークシートを黒澤先生に頂いたのでいくつかのフレームワークを当てはめてみたいと思います。
※ロッテという企業体ではなく、ビックリマンという一つの商材フォーカスです。
メディアと位置付けて広告主に枠(コラボ枠)を販売するスキームと想像して分析したためこのようになります。
そのため買い手には広告主と、商品を購入するカスタマーが存在すると仮定しています。
事実確認は行っていないので妄想ベースです。
今も昔も、開ける前のドキドキ感はビックリマンの魅力を語るうえで外せない重要な要素だと思います。
YOUTUBEではユーチューバーが特定のゲームアプリで盛大に課金し、ガチャ開封を中継している動画は多く上がっていますがビックリマンでも「開封の儀」動画は多く見られます。
UGCとしても魅力的なコンテンツネタであると言えます。
また、ビックリマンの特設サイトは充実しています。
そしてオリジナルビックリマンを創る「創造ビックリマン」やKMタクシーとのコラボなどユニークなキャンペーンでセンスが光ります。
ロッテにおいては主力商材ではなくなってしまいますがここまでしっかりした施策を打ち続けるのは大事にされているんだなあと愛を感じます。
4/1はビックリマンの日。
今年はちょっとそれどころではなくお祭り騒ぎに参加できませんでしたが来年はしっかり乗っかって盛り上げていきたいと思います。
自分が事業部の責任者だったら
最近の施策の多くは、世代領域を広げていく方向に向いていると思いますが30,40代の男性との親和性に着眼し展示会用のノベルティグッズ展開を強化します。
展示会ブースで配布するノベルティに限定ビックリマンがあれば山ほど名刺が集まります。
レアリティを確保するため、広く受注を募るのではなく個別案内していく方法がよいのではないかと思います。
トラコスマンとか、オモコロマンとか、インディードマンとか、トモローゲートマンとか配布してたら自分なら絶対並びますね。
デザイン起こし、小ロットの受注製造を考えるとそれなりのコストにはなりますが話題になることは間違いありませんし、UGCとしての期待値、その後のの受注促進、ブランディング寄与を含めて考えると素晴らしい一手になると思います。
こういったユニークなかじ取りができる企業スタンスはそれだけで応援したくなりますしね。
以上です。
結構好き勝手やってしまいました。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
次のマーケティングトレースは、もう少し数字要素をいれこんでかっちりやりたいと思います。