見出し画像

『Webあるある』のまま終わらせたくなかったので。−『岡山WEBクリエイターズ』に登壇してきました。(2013.6.21公開)

この記事は2013年6月21日に旧Blogで書いていたものです。
移行につき、noteへ転載・加筆修正します。

2013年6月14日(金)、岡山国際交流センターにて岡山WEBクリエイターズの主催で『Webにまつわる契約と円滑進行』というイベントが行われ、その1セッション目で『Webデザインのトラブルを未然に防ぐ注意ポイント』という内容で登壇してきました。

思えばその約1ヶ月前に、主催の後藤さん(@gmakoto)から登壇依頼が来たときは、椅子からずり落ちるわ、さらにもう一人の登壇者が何と京都の美人有能弁護士さんだと聞いて頭の中がパニックになりました。
「ミスマッチやないか?!」と思いましたが、それでもお引き受けしたのには訳があります。


一度でいいから『内面的』な話をしたかった。

セッション内でも少し話をしたのですが、書籍、学校での勉強、セミナーをはじめとした勉強会が多数行われている中で『技術』的なネタはたくさんあるのに、『考え方』に関してはあまりないなぁとずっと思っていました。

『技術』は確かに大事です。覚えないと仕事できませんから。

しかし、『技術』だけだとひとりよがりになったり、逆に良いように扱われたり、逆に自身のスキルレベルを誤解されかねない自体も起こります。自分の地位さえ脅かされる。それが『Webあるある』となって、言いたくても言えない叫びが出てくる…。

「自分がガマンしてたら何とかなるんよね」
「上司や先輩、クライアントの言うとおりにしてりゃえーやん」
「技術者なんだから、技術のことだけ考えてりゃかまんし」

実際、私もそう考えてた時期はありました。
しかし、それは自分で自分の首を締めるだけというのに気づいたのです。しかもその想いは長い年月かけて、Web業界で仕事したいというやる気もスキルも申し分ない人材まで遠ざけてるとしたら。

そして、気づいたらWeb業界が衰退してたとしたら。
単なる私の妄想で終わればいいのですが。

『見えない部分』を『見ること』『作ること』の重要さ。

セッション内で「『明確化』して『共有化』する」ことの大切さをお話しましたが、終了時間が迫っていてさくっと終わらせてしまいましたので、こちらで少し掘り下げておこうと思います(アンケートで修正追加費用の手段をとる内容でモヤモヤした方がいらっしゃったようなので、そのあたり補足しておきます)。

・・・

まず最初に。仕事を進める上でまずは何を作るのか、作って何を達成したいのかなど、とにかく事細かく『明確化』することから始まります。それらのデータを元に提案書、スケジュール、コンセプトシートなどなど、プロジェクトにかかわる人たちが理解できるよう、さらなる『明確化』をします。

そして、一番重要で欠かせない書類『見積書』
これは、

『これだけの内容の仕事をして、これだけの予算がかかります(いただきたいです)』
『この中に書いている内容以外の作業をすると費用がかかってきますよ』

というメッセージを、制作内容項目と金額で『明確』にしたものです(以上すべての『明確化』を強化するものとして『契約書』だったり『法律』ということになるのです)。

ここまでの下準備があって、初めて『修正時の追加費用』がいただけるというわけです。
その辺りを曖昧状態にしてて、いきなり「追加を…」と言ったとしても、お客様は納得はしないケースが多いでしょう。下手すればここで築いてきた信頼関係が崩れることにもなります(ここが嫌われる可能性がある、といった理由です)。

もちろん案件によっては「最初からそんなのわかるか!」「そんな話できないよ…」と思う方もいらっしゃるでしょう。
その時はまず、仕事をしている上で、いつ、どんな内容の指示がきたか、全部メモするなど、『証拠』として残せる形にまとめておきましょう(ここ重要)。

ある程度まとまってきたら、法則性など見えて、どういう対処方法をとればいいか、が判断できると思います。もちろん、予算追加の理由・根拠として使える『証拠』ともなります。ただ、それがちゃんと機能するかどうかは状況によりけりにはなりますが、証拠はあればあるほど有効に働きます。

Webに限らず、世の中のトラブルは『明確化』することで証拠となり、協力者と『共有化』して力を合わせて解決しているケースがほとんどです。

『明確化』『共有化』というのは正直骨が折れるものです。めんどいです。もっと面倒なことにお金になりにくい部分です。『仕事』として扱われにくい部分です。しかし、これらが自分の身を救うことになる、ひいては自分に係る協力者・関係者のためにもなるとしたら、ちゃんとしておく価値はありますよね。

そして、そういう対処をしておいても、それでも解決しないために、もう一人の登壇者、木村さんはじめとする弁護士さんたちの力を借りる事になった時も、有効に働いてくると思います。

登壇を終えて。

登壇後の懇親会の様子。

今回のセッションで言いたかったことは『誇れる技術を持っている自分を守る力を付けて欲しい』ということでした。
それに加えて、私があの場で一番達成したかったこと。それは『あの40分の間でほんの一部でもいいので覚えていただき、なおかつ仕事に活かしていただくこと』でした。
それを基準に、今回の進行(ワーク)とスライドとなりました。

もしかすると今回、お話した内容はあまり目を向けたくもないし、体験もしたくない部分ではなかったのでしょうか?しかし、その部分にフォーカスして、『見て』いただけたとしても、自分のものとして『取り込んで』いただかなければ意味はありません。

すんなり取り込んでいただくには、少し和らげる効果が必要だと考え、今回、マイキャラとして描いている『ねこさん』にも頑張ってもらいました。

登壇後にアンケートを見て、『わかりやすかった』と感想をいただき、非常に安堵したとともに、高評価もいただき、大変感謝しております。

参加していただいた皆様、そして、この登壇でいろいろご協力いただいた皆様、そして、今までお仕事を通じて学ばせていただいた皆様。この度は本当にありがとうございました。

あと、主催の岡山WEBクリエイターズの皆様。
非常に貴重かつ楽しい機会を作っていただきありがとうございました。懇親会も参加された方々と本音トークできて非常に充実した時間を過ごすことができました。

【2024年追記】
この問題は未だにあちこちで耳にします。
技術者はどうしても制作することに集中して偏るため、交渉まで気が回りにくい分、伝え続ける必要があるのかなと思ってます。

2024年11月からフリーランス法が始まります。これで守られることもあると思いますが、浸透するのは時間がかかることを考えると、引き続き自分を守るための勉強は必要だと思います。


お読みいただきありがとうございます。ご支援いただけると大変ありがたいです。