帯同生活【@上海】振り返り⑨:国籍・手続き
前回の続き
これまであまりはっきり書いて来なかったが、私の妻は中国生まれの中国人だ(別に隠していたわけではないけど、とかく大々的に言う必要もないしな……と思っていた)。
妻は日本の企業に務めていて、海外赴任で中国に滞在している。これが理由でいくつか日本人夫婦で、片方が中国赴任になってもう片方が帯同している場合と少し違うこともある。
例えば、私は妻の帯同家族なので、上記の日本人夫婦の例における帯同家族とはビザの種類が異なる。
中国で働く日本人配偶者の場合は日本でSビザを取得して、現地で居留許可を申請するのだが、私の場合は日本でQビザ(中国人の親族ビザ)を取得→現地で居留許可申請だった。
特にSだろうがQだろうが、必要書類はあんまり変わらない気がするけど。
また、赴任先が上海なのに妻の戸籍が実家のある別の都市なので、居留許可の申請をその都市でしなければならなくなった(別の方法もあったかもしれないが、そう指示されたのでそうせざるを得なかった)。
私が上海を訪れたときはコロナ禍で移動が極度に制限されていたため、例外的に上海での手続きが認められたのだが、そのせいで本来2年認められるところが1年しか認められず(それでも認められたのは良かったけど)、1年後に更新申請をしなければならなかった。この許可期間が短いせいで、私の引越荷物の通関手続きに時間がかかった。
私は普段、妻が中国国籍であることを意識することはほとんどない。日本で行政手続きをするときと、選挙の時期になると私だけ投票権があるので、その時くらいだろうか。
むしろ上海での生活では、自分が日本籍だということを、意識せざるを得ない。とにかくパスポートを使う機会が多い。
普段の外出時の携帯
鉄道、国内線の飛行機の利用時
博物館、美術館など施設へのWeb予約(アプリに情報登録後はいちいち入力しないけど)、入場時
ホテルのチェックイン
中国籍の人(中国公民)はカード型の身分証を使うけど、外国籍の人はそれがないのでパスポートを使うことになる。
普段の生活では、「私は日本人」というより「中国語喋れない人」くらいの自己意識なのだが、上記のようなときには「ああ、私はこの国では外国籍の人間なんだな」と思う。
そういえば私のパスポートは2代目だが、初代が海外旅行4回+身分証として日本国内で数回しか使わなかったからほぼ新品同様だったのに対して、2年前に更新した当代は、そんなわけですでに結構くたびれてきている。
追記:
しらんがな、と思われそうだが、私は「◯◯人」という言葉をあまり使いたくない(使うけど)。数年前から別の言い方を模索しているけど、これがなかなか難しい。「〇〇籍の人」も違うし(硬いし、戸籍を問題にしているわけではないし)、日本にいたときは「◯◯の人」を使うことが多かったけど、中国にいて中国籍の友人を「中国の友人」というのもなんか変だしニュアンスが伝わりづらい。結局言い換えをするだけなら意味はないし、文脈ごとに使い分けるしかないかなと思っている。
(もちろん、これはあくまで個人的に自分に課している言語使用のルール・ガイドラインであって、他の人にそのようにしてほしいとか、すべきとか言うつもりもないし、そういう性質のものではないです。)
なぜかというと、言葉の使用のされ方は様々であり、一概には言えないけど、国籍や生活地・出身地を基準に「◯◯人」とされることが多いと思う。ただ、国にしろ地域にしろ、行政上・便宜上の区分であって、たまたまそのように区分けされているものくらいに思っている。
国や地域にはそれぞれ固有の文化や習俗が形成されており、そこで生活する人がそれらの影響を受けていることはわかるし、場合によってはそこに住んだことがなくても、ルーツがその国や地域にある人が積極的にそれらを学ぶことがあるのも知っている。大きな傾向性として、それらを用いて思考することは可能ではあるし、大雑把な議論をすることはできると思う。
でも、それが全てではなく、個々人の経験はすべからく異なる。行政官でも政治家でもない私が、だれかを「◯◯人」として見ることに、あまり意味はないように思っていからだ。あくまで誰かのある一つの傾向の可能性であって、根本的なものではないのだから、眼の前の誰かをはじめから自分の中のイメージで狭めてしまうのが私は怖い。