毎日会社法を五条ずつ読んでみる:第二十八回_第百五十一条~第百五十四条の二

 今回は五条のうち四条にタイトル(?)がないですね。


第百五十一条(株式の質入れの効果)

(株式の質入れの効果)
第百五十一条 株式会社が次に掲げる行為をした場合には、株式を目的とする質権は、当該行為によって当該株式の株主が受けることのできる金銭等(金銭その他の財産をいう。以下同じ。)について存在する。
一 第百六十七条第一項の規定による取得請求権付株式の取得
二 第百七十条第一項の規定による取得条項付株式の取得
三 第百七十三条第一項の規定による第百七十一条第一項に規定する全部取得条項付種類株式の取得
四 株式の併合
五 株式の分割
六 第百八十五条に規定する株式無償割当て
七 第二百七十七条に規定する新株予約権無償割当て
八 剰余金の配当
九 残余財産の分配
十 組織変更
十一 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。)
十二 株式交換
十三 株式移転
十四 株式の取得(第一号から第三号までに掲げる行為を除く。)
2 特別支配株主(第百七十九条第一項に規定する特別支配株主をいう。第百五十四条第三項において同じ。)が株式売渡請求(第百七十九条第二項に規定する株式売渡請求をいう。)により売渡株式(第百七十九条の二第一項第二号に規定する売渡株式をいう。以下この項において同じ。)の取得をした場合には、売渡株式を目的とする質権は、当該取得によって当該売渡株式の株主が受けることのできる金銭について存在する。

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 株式を質入れする/した場合の、質権の及ぶ範囲って感じですかね。会社がなにかをしたときに、それによって発生する金銭等に及ぶ。
・会社が株主からの買取請求によって会社が株式を取得した時
・取得条件付株式の取得条件が達成されて会社が株式を取得した時
・株式の合併や分割、株式無償割当てや新株予約権の無償割当て
・配当、残余財産の分配
・組織変更、合併、株式交換、移転、その他株式の取得

(取得の請求)
第百六十六条
 取得請求権付株式の株主は、株式会社に対して、当該株主の有する取得請求権付株式を取得することを請求することができる。
(中略)
第百六十七条 株式会社は、前条第一項の規定による請求の日に、その請求に係る取得請求権付株式を取得する。

「会社法」

第百五十二条

第百五十二条 株式会社(株券発行会社を除く。以下この条において同じ。)は、前条第一項第一号から第三号までに掲げる行為をした場合(これらの行為に際して当該株式会社が株式を交付する場合に限る。)又は同項第六号に掲げる行為をした場合において、同項の質権の質権者が登録株式質権者(第二百十八条第五項の規定による請求により第百四十八条各号に掲げる事項が株主名簿に記載され、又は記録されたものを除く。以下この款において同じ。)であるときは、前条第一項の株主が受けることができる株式について、その質権者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。
2 株式会社は、株式の併合をした場合において、前条第一項の質権の質権者が登録株式質権者であるときは、併合した株式について、その質権者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。
3 株式会社は、株式の分割をした場合において、前条第一項の質権の質権者が登録株式質権者であるときは、分割した株式について、その質権者の氏名又は名称及び住所を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。

「会社法」

 会社は前条の各号のうち、特定の行為をした場合において、株主が株式を受けられるばあい、質権者の氏名/名称と住所を株式名簿に記載する。


第百五十三条

第百五十三条 株券発行会社は、前条第一項に規定する場合には、第百五十一条第一項の株主が受ける株式に係る株券を登録株式質権者に引き渡さなければならない。
2 株券発行会社は、前条第二項に規定する場合には、併合した株式に係る株券を登録株式質権者に引き渡さなければならない。
3 株券発行会社は、前条第三項に規定する場合には、分割した株式について新たに発行する株券を登録株式質権者に引き渡さなければならない。

「会社法」

 前条は株券発行会社じゃない場合で、今回は発行会社の話ですね。もし、会社が新たに株式を株主に渡す場合、その株式に登録株式質権者がいたら、その人に渡さないといけない。

第百五十四条

第百五十四条 登録株式質権者は、第百五十一条第一項の金銭等(金銭に限る。)又は同条第二項の金銭を受領し、他の債権者に先立って自己の債権の弁済に充てることができる。
2 株式会社が次の各号に掲げる行為をした場合において、前項の債権の弁済期が到来していないときは、登録株式質権者は、当該各号に定める者に同項に規定する金銭等に相当する金額を供託させることができる。この場合において、質権は、その供託金について存在する。
一 第百五十一条第一項第一号から第六号まで、第八号、第九号又は第十四号に掲げる行為 当該株式会社
二 組織変更 第七百四十四条第一項第一号に規定する組織変更後持分会社
三 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。) 第七百四十九条第一項に規定する吸収合併存続会社又は第七百五十三条第一項に規定する新設合併設立会社
四 株式交換 第七百六十七条に規定する株式交換完全親会社
五 株式移転 第七百七十三条第一項第一号に規定する株式移転設立完全親会社
3 第百五十一条第二項に規定する場合において、第一項の債権の弁済期が到来していないときは、登録株式質権者は、当該特別支配株主に同条第二項の金銭に相当する金額を供託させることができる。この場合において、質権は、その供託金について存在する。

「会社法」

 登録株式質権者は、受領した金銭を債務の弁済に当てることができる。これは他の債権者に優先される。債務の弁済前だったら、質権者は会社に金銭等を供託させることができる。
 ちょっと整理すると、AさんがBさんにお金G円を借りているとして、BさんはAさんの持っているZ社株式に質権を設定しました。Z社が第百五十一条に規定することをしたので、Aさんは金銭等を受領することになりました。でも、質権が設定されているので、Bさんがその金銭等を受領できます。ただ、G円の返済の期日はまだ来ていません。この場合、Bさんは会社に、受領できる金銭等を供託させる(供託所に一時預かりさせる)ことができます。もし、AさんがG円をBさんに返済したら、Aさんは供託されていた金銭等を受け取れます。返済できなかったら、Bさんが金銭等を受領し、G円の穴埋めとします。

第百五十四条の二

第四款 信託財産に属する株式についての対抗要件等
第百五十四条の二
 株式については、当該株式が信託財産に属する旨を株主名簿に記載し、又は記録しなければ、当該株式が信託財産に属することを株式会社その他の第三者に対抗することができない。
2 第百二十一条第一号の株主は、その有する株式が信託財産に属するときは、株式会社に対し、その旨を株主名簿に記載し、又は記録することを請求することができる。
3 株主名簿に前項の規定による記載又は記録がされた場合における第百二十二条第一項及び第百三十二条の規定の適用については、第百二十二条第一項中「記録された株主名簿記載事項」とあるのは「記録された株主名簿記載事項(当該株主の有する株式が信託財産に属する旨を含む。)」と、第百三十二条中「株主名簿記載事項」とあるのは「株主名簿記載事項(当該株主の有する株式が信託財産に属する旨を含む。)」とする。
4 前三項の規定は、株券発行会社については、適用しない。

「会社法」

 投資信託が保有している場合、それを株主名簿に記載しないと信託財産であることを会社や第三者に対抗できない。株主は会社に名簿に記載/記録してねと請求できる。

信託財産とは、投資信託が保有している資産のことです。投資信託は投資家から集めた資金で株式や債券などの資産を売買しますが、保有している資産は運用方針によって異なります。
信託財産は信託銀行に預けられ、運用会社からのに管理しています。これを分別管理といい、法律で義務付けられています。

信託財産│初めてでもわかりやすい用語集│SMBC日興証券

(株主名簿)
第百二十一条
 株式会社は、株主名簿を作成し、これに次に掲げる事項(以下「株主名簿記載事項」という。)を記載し、又は記録しなければならない。
一 株主の氏名又は名称及び住所

「会社法」

(株主名簿記載事項を記載した書面の交付等)
第百二十二条
 前条第一号の株主は、株式会社に対し、当該株主についての株主名簿に記載され、若しくは記録された株主名簿記載事項を記載した書面の交付又は当該株主名簿記載事項を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。

「会社法」

(株主の請求によらない株主名簿記載事項の記載又は記録)
第百三十二条
 株式会社は、次の各号に掲げる場合には、当該各号の株式の株主に係る株主名簿記載事項を株主名簿に記載し、又は記録しなければならない。

「会社法」

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