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中央アジア周遊記 Part3
Part1, 2の続きです。まだご覧になっていない方は、そちらからご覧ください!
残りの旅程
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7日目【フジャンド散策続き】
フジャンドに到着したのが夕方頃だったので、その日は簡単に市内を散策することにした。とはいっても、観光地は限られていて、大きなバザールと遺跡のある公園くらい。
だが、この公園が意外と良かった。観光客料金のため入場に1000円ほどかかり割高感は否めないが、小高い丘の上に出来た遺跡からフジャンドの町とシルダリア川が一望できる。公園内は明らかに街の雰囲気とは違いよく整備されていたが、我々のほかには1,2組しか人はいなかった。とはいえ、ちょっとしたサマルカンドのような雰囲気を楽しむことが出来たので、写真で雰囲気を実感していただければと思う。
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奥に見える山脈の手前にシルダリア川が流れる
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見ての通り人は誰もいない
滞在時間は45分ほど。公園自体は正直10分くらいで見終わってしまうが、なにせ1000円も払っている。すぐに出るのはもったいないと思ったので、公園の奥にある遺跡からシルダリア川を眺め、そこで30分ほど時間をつぶした。
公園から徒歩5分ほどの場所にあったレストランでシャシリク(肉が刺さった串)を食べ、店を後にした。余談だが、今回の旅行ではほぼ毎食シャシリクとプロフのどちらかしか食べなかった。内陸国であるからそもそも魚のメニューなどないし、中央アジアは肉料理が上手いことで有名だから、肉を食べない理由がなかった。これが後々大きな事件の火種となることも知らずに。
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中央アジアのレストランは内装がやたら豪華
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腹も膨らみ、昼に通ったバザールを通ってホステルに戻ることにした。夜のバザールは昼のそれよりも人口密度が高く、圧倒的ににぎわっていた。おいしそうな料理が立ち並ぶ雑踏を交わしながら30分ほど歩いただろうか、ホステルに戻ったときにはお腹が鳴っていた。
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ホステルに戻ってくると、相部屋にサーファーのような見た目のオーストラリア人とかなり体格の良いスペイン人のバックパッカーがいた。彼らは知り合いではなく、それぞれオンラインで仕事をしながら1年間バックパッカー旅行をしているとのことであった。オーストラリア人は30歳ほどであっただろうか、とてもフレンドリーで仲良くなれたのでインスタグラムを交換した。
少し誤算があったとすれば、スペイン人男性の体温感覚がバグっていたことであろうか。相部屋に日本人3人、オーストラリア人1人、スペイン人1人。夜の気温は20度ほどと比較的涼しいのでエアコンを消して寝ようとしたが、スペイン人男性はエアコンの温度を最低の18℃まで下げ、おまけに服を脱ぎ寝息を立て始めた。
部屋の温度は冗談抜きで冷蔵庫並みであったと記憶している。我々日本人は欧米人と比べて基礎体温が低いので仕方ないとも思ったが、オーストラリア人もスペイン人に文句を言えず自前の毛布にくるまっていた。我々日本人チームとオーストラリア人の間でえも言われぬ結束感が出たのは言うまでもない。
結局私は我慢したが、私の同行者はあまりの寒さに耐えかね、部屋の外で一夜を明かした。彼曰く、冷蔵庫並みの温度と化した部屋のベッドで寝るよりもずっと快適だったそうだ。
8日目【フジャンド⇒アイニ】
朝になり、次の目的地であるアイニ(Ayni, タジキスタン)のホテルの予約をしていないことを思い出した。とはいえ、先述の通りタジキスタンではほとんどネットが使えず、オンラインでのホテルの予約が出来ない。仕方ないので、宿泊していたホステルのスタッフにアイ二のホテルを電話で予約してもらい、その日はそこを目指すことになった。
アイニに行くために、中間地点のイスタラフシャンという町まで向かうことにした。
イスタラフシャンにはKal'ai Mugという遺跡があったので、そこに足を運ぶことにした。門をくぐるとすぐに、スーツを着た恰幅の良い男性が英語で話しかけてきた。聞くところによると、彼はそこの管理人らしい。彼が敷地内を案内してくれるとのことであったので、二つ返事でお願いすることにした。敷地内は中央に階段劇場があり、その周りに発掘途中の遺跡が野ざらしにされていた。なぜ英語を喋れるのか気になったところ、彼はアフガン戦争で米軍兵士とともに戦ったという。男性の恰幅の良さと、館内に飾られていた軍服をまとった館長の写真の左胸につく徽章の多さに、彼の戦争経験を垣間見た。
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遺跡を後にし、市内散策をすることにした。道中、モスクの前で写真を撮っていると、たまたま通った男性が門を開け礼拝所の中を案内してくれた。中央アジアの国民性なのか、我々日本人が珍しいのかはわからないが、とにかく人という人が我々に声をかけてくれた。
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十分に市内を散策することが出来たので、バスターミナルへと向かい、そのままこの日の目的地であるアイニへ行くことにした。バスターミナルとは言っても、アイニなんていう極小の町へ行くバスなどあるはずがなく、結局乗り合いタクシーに乗り込みアイニで降ろしてもらうことになった。
二時間ほどタクシーに揺られただろうか。断崖絶壁の道路から見下ろす川を眺めながら乗っていたので、それほど長くは感じなかったが、ついにアイニに到着した。なぜアイ二という何もない小さな町に来たかというと、自然豊かな場所で休息を取りたかったこと、その後の目的地であるサマルカンドへのアクセスが良かったことなどが挙げられる。また、タジキスタンに4つある世界遺産のうちの1つであるザラフシャン・カラクム回廊にかかる町であったことも理由の一つである。
予想通り、アイ二の自然は素晴らしかった。そして、田舎であった。その日の朝にフジャンドのホテルスタッフに予約してもらったホステルに荷物を預け、隣町まで歩くことにした。隣町に、ホステルおすすめのレストランがあったからだ。
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川の水は濁っていて、道路全体は土埃が待っていたが、それまでとは違う雄大な景色を眺めることが出来た。肝心のレストランはというと、ガソリンスタンドに併設された現地民御用達といったレストランで、給食のように自分たちでレーンから食べたいものを指定していくスタイルであった。初めて本格的なタジキスタン料理を食べられたので、腹も心も満たされた。
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アイ二という町はとても小さく、することが何もない。夕食を食べたので、そのままホテルで休むことにした。道中では少年たちがサッカーをしていて、カメラを携えた我々を目にするや否や様々なポーズを決めてくれた。
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19時過ぎにホステルに戻ってきただろうか。ずっと電波につながっていなかったため、ようやくWiFiに接続することが出来ると思ったが、ホステルにWiFiはないと言われた。おかしい。確かに我々はネット環境のあるホテルを選んだつもりだったのだが。何もすることがない町であるうえ、スマホでの情報収集も出来ないとなると、出来ることは睡眠くらいである。シャワーを浴びて、寝ることにした。だが、ここでも問題が発生した。
洗面所の蛇口とシャワーから泥水が出てくるのである。数分流していると透明になったが、どうも気持ち悪い。出来るだけ飲まないように気を付けながらシャワーを浴びた。寝るときにふと天井を見上げると、照明の周りに無数の小さな虫が蠢いているのが見えた。心身ともに疲弊した私は、電気を消して夢の世界に逃げることを選択した。
9日目【アイ二⇒ペンジケント】
道路を走るトラックの振動や、ホテルの中を歩く人の足音がダイレクトに伝わるベッドであったため、決して気持ちのいい朝ではなかった。天井に蠢いていた無数の虫に襲われる悪夢(夢だと信じたい)も見たのだから。もともとそのホステルには2泊する予定であったが、到底もう一晩をそこで明かす気力はなかった。チェックアウトをしたい旨を伝えるとあからさまに顔が曇っていたが、こちらにも事情がある。なんとかあらかじめ支払っていた二泊目の費用を返却し、逃げるようにホステルをあとにした。
せっかくアイ二に来たのだからと、川の上流に進みハイキングをすることにした。ちょっとしたグランドキャニオンのような雰囲気のある、良い景色であった。
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2~3時間ほど歩いただろうか。結局、町を二つ越えてZoosunという町に到着した。キリもいいのでここらで引き返して、荷物を預けているホステルに戻ることにした。
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とはいえ、この日の気温は30℃近く、一度来た道をまた2~3時間かけて戻る体力はなかった。1時間ほど戻ったころ、後ろから車がやってくるのが見えた。体力の限界に陥った旅行者を装いながら(あながち間違いではないが)、その人が車に乗せてくれるかもしれないという淡い期待を抱いた。昨晩さんざんな目に合ったからだろうか。対価とでも言わんばかりに、その車はスピードを落とし我々の前で止まってくれた。かくして、本来ならさらに1時間半ほどかかる道のりを我々はものの10分で目的地に到着することが出来た。
荷物を受け取り、今度はアイ二からペンジケントに向かう車を探さなければならない。そもそもアイ二が小さい町であるうえに、基本的に多くの車が首都のドゥシャンベに向かってしまう。しかし、幸運なことにペンジケントまで向かう車が止まってくれ、そのまま乗せてもらうことになった。
一時間半ほどで、ペンジケントに到着した。ペンジケントはタジキスタンとウズベキスタンの国境付近に位置するタジキスタンの都市で、サマルカンドまでは1時間強で着くことのできる好立地である。
その日はもう夕方だったので、ペンジケントでホテルを探すことにした。
昨晩のような失敗はしたくなかったので、ネットを使って自分たちでホテルを探すことにした。電波は相変わらず通らないので、WiFIサービスがあるというペンジケントの観光案内所に向かうことにした。
20分ほど歩いたとき、前方から見慣れた顔が満面の笑みでやってくるのが見えた。ペンジケントに当然知り合いなどいるはずもなく誰だろうかと目を凝らすと、フジャンドで同じホテルに泊まり、スペイン人によって作り出された極寒部屋を共に耐え抜いたあのオーストラリア人であった。広大な中央アジアで再開することが出来た喜びを噛み占めつつ、一言二言会話を交わした。ホテルを探していると伝えると、彼が泊っているホテルを教えてくれた。もしいいホテルがみつからなかったらそこに泊まろうと考え、彼とは別れた。
観光案内所についたものの、WiFiがない。どうやら、この国はWiFi完備を謳いながら実際にはWiFiを提供していないのが主流らしい。困っていると、30歳くらいのスーツを着たタジク人がスマホをテザリングしてくれた。人にテザリングさせてもらっている手前じっくりと調べるわけにもいかず、かといって昨日のようなホステルもごめんだったので、高評価の一番上に出てきたホテルを選択し、そこに泊まることにした。なかなかいい雰囲気のホテルであったが、一泊2000円もしない。オーストラリア人と同じホステルに泊まるというのも一つの選択肢であったが、その日は何としてでもしっかり休みたいというモチベーションがあった。そして、相部屋でまた極寒部屋に泊まることになるかもしれないというリスクを選択するよりは多少いいホテルに泊まる方がよいだろうという野生の勘が働いた。
泊ったのはペンジケント中心地にある「Hotel Umariyon」。ロビーの床は大理石で輝いており、部屋のシャワーからは泥水が出ないことに感動すら覚えた。部屋で一度横になり、ペンジケントの散策に出かけることにした。
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Part4に続く・・・(Part4かPart5が最終回になります!)
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