春陽展入選と、公募展に思うこと
ありがとうございます。今年も無事に入選することができました。
今年の作品は、初出品以来30年目にして、初めて、F120号の大きさに挑戦したものです。
だからというわけではないのですが、何らかの賞をいただきたいなーという淡ーい期待があったのですが、残念。いつものように入選のみでした。
まあ、入選できないボロボロの年もあったので、入選できただけ良かったとしましょう。
F120号のキャンバスというのは、約2m×1.3mのサイズで、アトリエにしている8畳の部屋の壁をほとんど覆う大きさです。キャンバスを床に寝かせて描くことが多いのですが、そうすると空いている床一面が絵になって、細ーい通路が残されるのみになります。
そういうわけで、家にあると、とても大きく見えるのですが、国立新美術館の広ーい壁に置かれると、3割方小さく見えるのですね。
公募展では、大きい絵でないと埋もれてしまいがちになる所以です。
来年は2点、120号を出品できるように制作を進めたいです。
大学卒業以来、はや30年も出品し続けていることになります。途中出せない年もあったりしましたが、細々と続けてきました。
私にとっては、「春陽展に出品する」という、いわゆる「締め切り」があることにより、ずっと制作活動を続けてこられたというものです。
春陽展は、その名の通り毎年春に開催されるので、学校の年度末の忙しさと制作の追い込みが被り、いつもギリギリで完成させています。
ざっくり言ってしまうと、昔からある公募展で展示されるような「絵画」というジャンルは、現代のアートのメインストリームでは、もはやなくなっていると言えます。
日本の現代アートは、古くからある公募団体とは別の流れとして、新しい現代アートの公募展や、トリエンナーレのようなアートのイベント、画廊や美術館での展覧会開催などを通じて展開され、受け入れられてきています。そのような活動をされる作家さん達が、今の日本のアートシーンを引っ張っています。
しかし、日本の各老舗美術団体でも、絵画・彫刻等の研究が明治・大正期以来、脈々と続けられてきました。材料や技法はもとより、構図、題材の取り上げ方、主題など、切磋琢磨されながら、作品はブラッシュアップされていきます。
最新のアートというセンセーショナルな雰囲気ではないかもしれませんが、よく見ていただけると、現代的な感覚とコンセプトで制作された作品には、現代アートと呼べるものが多いです。
そして、絵画団体それぞれの傾向や考え方は、その歴史の積み重ねの上に醸し出されているものと思います。
春陽展は昨年度100周年を迎えました。歴史は古く、大正期から続いています。
今の春陽展の特徴としては、対象をシンプルに捉え、ミニマムに表現する作品が多いことでしょうか。
例えば、春の野草のみを、地面に目を向けて描いている作品、
海岸の波が引いた後に残る泡のみを描いた作品、
「壁」の圧力を描いた作品など。
その他にも、心象的な作品もあれば、具象的な物を描くことによって、何かを象徴するような作品もあります。細かく描き込んだ絵も楽しいです。
今年の私の作品は、水の中の浮遊感、色の重なりと透明感を視覚体験させるものとして制作しました。今後、自分の作品についての文章も書いていきたいと思っています。
https://shunyo-kai.or.jp/eventinfo-2-2/
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