【政治・経済】電力業界の課題とか①
今晩のNHKのクローズアップ現代で「電力クライシス」としてこの夏に起こるかもしれない電力ひっ迫を取り扱うらしい。(ある日、電気が来なくなる!? どう切り抜ける“電力クライシス” - クローズアップ現代 - NHK)
東日本大震災から一気に電力の自由化が行われ、現在では電力シェアの2割が新規参入者(新電力約700社)が占めるという構造になっている。逆に言えば残りの8割は旧一般電気事業者(東京電力や関西電力など10社)が「いまだに」占めている。
そして今こうした自由化の中で電力取引を多数で行っているにも関わらず、何が起きているかというと、「発電量が足らず、今年の夏に電気をたくさん使う状況になると電気は足らなくなるかも」ということになっている。また、電気料金は夏と言わず、毎月値上がっていっている。これはウクライナ情勢などによることもあるが、はたしてそれだけなのだろうか。すでに忘れられているかもしれないが、ついこないだ3月に電力ひっ迫状況が起き、テレビ等で警告が時々刻々流れていたことを覚えているかと思う。その検証を国(経産省)は行っており、先日報告書をとりまとめている。そこにはこう書かれている。
3 月 16 日の福島県沖地震の直後に 14 基の火力発電所(約 647.9 万 kW)が停止し、22 日 の需給ひっ迫の際にも6基(約 334.7 万 kW)が引き続き停止したままとなっていた。これに加え、22 日の東日本は悪天候で日中の気温が平年より大幅に低く、電力需要がこの時期 として異例の高水準となっていた。さらに、悪天候により太陽光発電の供給力が伸びなか ったことや、連休中に磯子火力発電所等が追加で計画外停止し、供給力が減少したことも 重なり、電力需給が極めて厳しい状況となった。(050_04_02.pdf (meti.go.jp))
つまり地震が起きて火力発電所が止まってしまい、ちょうどのその時には他の発電所も止まってしまっていて、頼みの再生可能エネルギー(太陽光発電など)も天気が悪かったから発電できず、日中寒かったため使用電力も大きくなっていたことから電力が足らない状況にいたった、という訳である。
自由化になったのにも関わらず、①電気代が安くなることもなく、②電気も安定的に供給されない状況となっており、しかもその業界も③700社もの新電力が発生しているがそれは2割のシェア内だけで電力の取り合いをしている、といういびつな制度設計となっている。
これを解決するには、ともすれば原発さえ動かせばいい、という人もいれば、だから再エネを増やせばいい、という人もいる。電力市場の自由化といいながらも、できあがってきた市場は複雑怪奇なものとなっており(容量市場、スポット市場、時間前市場、調整力市場、非化石市場)結果、電力足りません、というお粗末さ。一体わが国の電力はどうなっていくのだろう。電力自由化の名のもとに整理を始めた市場たちは、いつの間にか作り始めたはいいが、軌道修正がもはやきかない状況となってはいないだろうか。戦前の戦艦大和のような大砲巨艦主義ですすんではいないだろうか。
また時間があれば自分なりに整理してみたいと思う。