金無双急戦vs四間飛車 【第4回】〜取れる香を取らない後手〜
前回は第3図までを見ていき後手からの切り返しに先手がどう対応するかを見ていきました。変化が分かってないと先手も怖いところでありました。
さて、第3図は☖3三角の飛香両取りに先手は飛車を成った局面です。
再掲第3図
さて、皆さんなら後手目線どうしましょう?
ここでは将棋ならではの面白い格言があるかもしれません。
第4図(第3図から☖2二飛☗同龍☖同角)
通常は飛香両取りに打った角なので香を取りに行くものですが、将棋の格言にある「いつでも取れる駒は今取らなくてもいい」という言葉があります。
香を取って後手良ければそれでイマイチなら桂を捨てて角を手放してまで何をやってるか分かりません。
ちなみに香を取る変化だと一例で☖9九角成☗8八銀☖9八馬☗6六角☖8四香☗1一角成(変化図1)と予想されます。
変化図1(第3図より☖9九角成☗8八銀☖9八馬☗6六角☖8四香☗1一角成)
これはまだ先手からしても勝ち切るのは難しいのですが、後手の飛車が捌けてない点と駒の損得はないぶん先手有利と言えます。
後手が☖2二飛としたのは
取れる香を取らずに飛車を捌く
ことに専念したのです。
ちなみに☖9九角成に☗8八銀と馬を捕獲しようと出来るとこも金無双の強みです。通常の船囲いで左銀が6八や5七にいたら出来ません。
第4図からは先手は単純な角成を受ける手では苦しくなります。ここからの手順は実践でも使えそうな手順なので手の流れを覚えて欲しいです。
第5図(第4図から☗4四桂☖同銀☗2一飛☖3三銀☗2三歩☖1三角☗1一飛成)
単純な☗6六銀や☗6六歩、☗6六角もないことはないのですが、基本的に居飛車の急戦というのは相手の桂か香1枚分くらい得をして初めて互角から有利と言えると思います。それくらい人間が指せば簡単にひっくり返ります。
本手順の☗4四桂は金取りかつ後手の角道を閉ざしてます。単純に金を逃げるのは☗2一飛くらいで角の働きが弱いぶん先手有利〜優勢です。
なので勢い後手は☖同銀と銀桂交換に応じようとしますが、そこで銀を取らずに☗2一飛が面白い手。
銀を取らずに角をいじめにかかるのです。以下、☖3三角なら☗3四歩☖5一角☗4四歩(変化図2)で先手有利。
変化図2
これは先手からの☗3二角や☗4三銀が分かっていても受けにくいです。なので後手は☖3三角とは上がらずに取られそうな銀を引いて☖3三銀としますが角をとにかくいじめながら飛車を成った第5図はどちらが良いのでしょうか?
後手は簡単に角を渡すわけにはいきません。
結果図(第5図から☖2四角☗2二歩成☖3五歩☗2三と☖5七角成☗同金直☖4二銀☗3五角☖5三桂☗3二と☖5一銀☗4一と☖6二銀☗3一龍まで)
一気に進みましたが、先手は角を追いかけながら☗2二歩成と攻め駒を作り、しかたなく後手は角銀交換しますが龍とと金と角2枚で攻めてる先手の攻めは止まらず結果図は先手ヨシ。実践はこうはならないかもしれませんし、ここからも先手が勝ち切るのは簡単ではありませんが1番大事なのはここまでの局面を見て振り飛車党ならこの変化を選びたいか?居飛車党なら先手ヨシと言われててもやりたいと思うか?ということです。
次回の第5回目は1番有力な後手の返し技を披露します。ヒントは「☗2四歩に☖同歩以外ないか?」です
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