今朝の月は、鉛色の大きな隕石のような雲に阻まれ、見えない
昨夜は下弦の月が出ていた
下弦の月は、もともと右半分が見えない
夕べのあなたの姿のよう
私には、あなたの気持ちの半分も見えてこなかった
明日になれば、完全に半分になってしまう
月の満ち欠けのように
少しづつ、薄れていく希望
すべて消え去ってしまうのか
それとも、心も身体も、ゆっくりと再生していくのか
南から吹く生暖かい風が
大きな隕石をバラバラにしていく
ちりじりになった鉛色の雲のあと
ペールブルーに薄っすらと染まり始めている空に
下弦の月が、やっと顔をみせた
今朝の月は、まるで私のような
孤月だった
#シロクマ文芸部 #今朝の月