マンデラ小説「M.e」EPISODE2 第1話「ジャックとインディ」
エピソード1では日本の主人公サイドの物語でした。たくさんの矛盾と謎を残したままエピソード2に突入します。エピソード1〜3まで同時進行の物語となり最終エピソードで全ての謎が明かされます。
この章では米国の兄弟による交互のお話で進行します。楽しく読んで頂ければ幸いです。
■プロローグ【弟 ジャック・ホワイト編】
202☓年1月
僕の名前はジャック。
ジャック・ホワイト。
アメリカのテキサス州のダラスに生まれ住んでいる。
大学の3回生の21歳だ。
父さんは不動産業の社長で、ニューヨークに拠点を置いてバカンス時には帰ってきてくれている。
母さんは、そんなダラスの家を支えていてくれる。
僕の名前の由来は母さんが名付けた。
ドラマや映画が大好きな母さんは、それらの主人公の名前を僕達に付けたんだ。
「ジャック」
ドラマの「24」の主人公のジャック・バウワーからだ。
凄くクールで僕はとても気に入っている。
そして兄さんの名前は「インディ」だ。
インディ・ホワイト
そうなんだ。映画のインディ・ジョーンズから付けられた。
でも兄さんは、その名前があまり気に入らないようで少し悲しい。
兄さんは今年で26歳になる。
彼は小さい時からパソコンおたくで、子供ながら天才と周りから呼ばれていた。
そして僕も兄さんもスポーツも得意だ。
僕達は小さい頃からアメリカンフットボールのスクールに兄弟で入っていた。
勿論、年齢が違うから同じクラスではないけれどね。
父さんがアメフト選手だったから、僕達も選手になるのが夢だった。
と言っても父さんは大学生の時に少し名前が売れただけだけどね。
でも家族では自慢の父さんなんだ。
ハイスクールになると兄さんは将来はパソコンの仕事がしたいとスポーツを止めたんだ。
父さんもニューヨークに出詰めになった事も関係しているかもしれない。
父さんが大好きだから兄さんなりの反抗なのかもね。
僕がジュニアハイスクールに上がる時には兄さんは、その世界では有名なプログラマーになっていた。
兄さんは、よく部屋に入れてくれてパソコンを教えてくれた。
その時に彼はゲームのチームを作った。
今では世界的に有名な
「エブリィ・ワン」
兄さんが創設したんだ。
様々なゲームの記録を破り大会に出れば優勝か入賞する伝説的なチーム。
しかし、裏の顔があったんだ。
世界中のサーバーをアタックするんだ。
秘密を隠す為のセキュリティを破り、技を公開し注意喚起する。
果は政府の隠し事を暴露する。
弱い者いじめや悪い事はしない。
兄さん達は正義の味方さ。
ホワイトハッカーだ。
僕達の名前に由来しているからか、兄は「ホワイトハッカー」と呼ばれるのを嫌ってた。
2人でクスクスと笑いあった時もあったんだけどね。
父さん母さんには絶対に内緒だ。
心配を掛けたく無い。
2人で秘密を誓いあったんだ。
そして彼は表でセキュリティソフトを売る仕事をしている。
たまに彼のアカウントで僕はお手伝いをするアルバイトにもありつけた。
兄弟仲良く、母さんも父さんも仲良く、円満な一般的な家庭だった。
僕がハイスクールを卒業するまでは…。
兄さんは夏休みのバカンス先で行方不明になってしまったんだ。
彼はバカンスで1ヶ月くらいは連絡をしない事は普通だったんだけど、休暇が終わっても連絡が無かったから発覚した。
バカンス先の大使館にも連絡し四方八方手を尽くしたけれども彼の行方はわからなかった。
失踪したのか、事件に巻き込まれたのかもわからない。
兄さんは失踪なんかしない。
父さんも母さんも途方に暮れた。
でも僕には一か八かの手があった。
兄さんが創ったハッカー集団「エブリィ・ワン」だ。
両親には秘密にしてあるから黙っていたんだけれど、手掛かりを探してくれるかも知れない。
そして彼等なら、何か知っているかも知れないと思ったんだ。
2人共居ない時を見計らって兄さんの部屋に入った。
兄さんのアカウントでアクセスするのは始めてではないからね。
「エブリィ・ワン」のチャットルームに入った。
怒らせると怖い人達だから疑われないようにと緊張したんだ。
「こんにちわ、僕は【Dr.】の弟です。
ジャックと言います。
突然失礼します。兄さんが失踪して居なくなってしまいました」
Dr.とは兄さんのネーム。
インディ・ジョーンズ博士の博士の由来でDr.。
名前が嫌いなのに矛盾してるね。
きっと本当は気に入ってたんだと思うよ。
確か「エブリィ・ワン」のメンバーは兄を入れても10人前後。
それぞれパソコンおたくなので直ぐに応答があるはずだが。
疑われてるかも知れない。
と
直ぐにモニターに応答が入った。
いつの間にかチャットには9人覗いていた。
【カメラのテープを外して顔を見せろ】
言う通りにした。
【洋服を脱いで盗聴がないか裸になれ】
急いで服を全て脱いだ。
【カメラの前で跳ねて身体全体を見せろ】
兄の部屋で全裸で一生懸命飛び跳ねた。
アメフト部のチアリーダーの動きをいつの間にかやっていたんだ。
ここで失敗すれば兄が見つからない!
顔が赤くなるくらい懸命に踊った。
…
モニターの応答が無くなてしまった。
…
あれ?僕は何か間違いを犯したのか?
真顔で泣きそうな顔になり裸で四つん這いになりながらモニターに近づいた。
応答がきた。
…
【hahahahahahaha】
【hahahahaha】
【nice body】
【hahahahaha】
【cheer leading?】
チャットでメンバー達が一斉に笑い出した。
困惑して眺めていると
僕が全裸ではしゃいでいるミーム動画。
トランプ大統領の演説の横で全裸な僕がモニターの中ではしゃいでいた。
仕事が早い…妙に関心したよ。
【ようこそ、ジャック!】
【こんにちわ!ジャック!】
【ジャック!元気?】
騙された?
でも一気に緊張が抜けて間抜けな顔になったよ。
僕の存在は彼等には周知だったようだ。
きっと兄が紹介でもしてくれていたのか?
泣き顔で笑いながらでモニターを眺めていた。
…
【ところでジャック。先ずは服を着なよ】
【風邪引くよジャック】
【いつからストリッパーになったんだい?】
【いや待てよ。彼は裸になるのが好きなんだよ】
…
慌てて脱ぎ散らかした洋服を着ようとパンツを足に引っ掛けて派手にひっくり返った。
モニターを見ずとも盛り上がってるのはわかった。
でも、これで兄のインディが見つけられる事が出来るぞ…何となくそう思って安心したんだ。
■■■■■
■プロローグ【兄 インディ・ホワイト編】
201☓年7月
初夏のダラスの天気はナチュラルだ。
遂に彼と会う事が出来る。
俺達はパソコン技術に関して誰にも負けないチームであった。
しかし世界は広い。
本当に広かった。
「HERO/J.com」
このサイトの管理者の「J」
このネームは俺達の世界では絶対だった。
俺の創ったチーム
「エブリィ・ワン」は米国でもナンバーワンのゲームチームだ。
メンバーは5人。
顔の知らない人間は入れない。
全員、地元のハイスクール時代のバスケットボールクラブのメンバーであり、パソコンクラブのメンバーだった。
俺達が共に3年間、鍛えに鍛え合った信頼できる友達同士でもあった。
最初はゲームに特化したクラブだったんだ。
世界大会でも常連になるくらいレベルが高く誇りだった。
バスケとパソコンとも絶好調だ。
そんな時にアクシデントが起こる。
ダラスの街に廃棄場が建設される事になったのだが違法な産廃施設だった。
俺達の街が汚されたのだ。
それを訴える為に地元住民の集めた証拠が彼等に全て奪われた。
逆に地元住民が告訴された。
「エブリィ・ワン」として黙っていられない。
得意のパソコンを使ってのハッキングと身体を使っての証拠集めだ。
そして俺達は勝利した。
追い出せたのだ。
その出来事でスパイのような行動をするハッカーとして異質で無二のスパイハッカー集団「エブリィ・ワン」の基礎が出来上がったのだ。
そうして俺達は裏では世界の秘密を暴くべく、あらゆるセキュリティを破るのが日課となりいつの間にか、裏世界で名前が売れた。
しかし「J」が立ちはだかった。
彼が世界中のハッカーを相手に挑戦状を叩きつけたセキュリティシステム。
強固なシステムの前には膝を折るしかなかった。
米国防省のセキュリティより遥かに手強い。
名だたるハッカー達も次々と白旗を上げた。
俺達のチームも毎日のようにチャレンジした。
そんなある日メールがきた。
「やぁ!Dr.。 インディ博士!
元気かい?
君達の活躍は素晴らしいよ」
「J」からだ。
興奮した。
誰もが彼との接触をしたかったからだ。
彼にまつわる噂は数多くある。
「彼は未来の人間だ」
「宇宙人が偽装しているんだ」
「人間ではなくスーパーコンピューターだ」
「世界の真実を知っている人物だ」
そして1番興味をそそられたのが彼が主催する「HERO/J.com」のサイトとチャットルームだ。
このサイトとチャットルームが凄いらしい。
時間の中を移動するのだ。
誰も侵入さえできない。
全く意味がわからなかった。
彼にセレクトされた人物しか招待されないらしい。
彼は世界を変える為に大きなアクションを起こそう準備をしている最中だった。
俺の本名の「インディ・ホワイト」は彼に掛かれば簡単に暴けられるんだろう。
全く悪い気はしない。
逆に光栄に思う。
そして「J」に直接会えたんだ。
テレビの司会者のような綺麗なブリティッシュイングリッシュだった。
イギリス系アメリカ人か?
背丈は190センチ近くあるか?
年齢は40代?
髪と目の色はブラウンに近いグリーンか?
意外だった…パソコンおたくと勝手に決めていたからメガネ姿の神経質そうな小柄な男のイメージだったからだ。
モデルのような男だった。
後からメンバーで考察しあったんだけど、現実で会った男は「J」が雇った役者だと結論付いた。
当たり前だ。
本人が不用意に姿を表にさらけ出すわけがない。
その時にマウスをチーム人数分プレゼントされた。
招待状の様なモノらしく、これを使わなければチャットルームに自由に入られない。
どんなパソコンでもマウスを挿し込みさえすれば
【HERO/J.com】
にアクセス出来、チャットルームに入れる。
きっと指紋認証的なギミックがありそうだった。
それ以降、俺達は「J」のチャットルームの事を「ネズミ部屋」や「ミッキーハウス」と呼ぶようになった。
ネズミ部屋で提示された世界の真実には驚愕した。
そして同時に猛烈に怒りが湧き上がる。
メンバー皆同じだ。
世界中が知る権利があり、世界中の人達が目覚めなければいけない。
「J」のチャットルームに招かれた時の感動は今も忘れられない。
時間を移動するチャットルームと言う意味が分かった。
理論は勿論かわからない。
【Hero/J.com】のメンバーは「J」「A」「Q」と3名だけ判明している。
簡単な考察ではトランプの絵札だ。
「J」はJackでありNightかJoker?
「Q」はQueen
「A」はACEだ。
「K」はKingだ!不在なのは意味がある?
「K」は王様はトランプ大統領じゃないか?
「K」を守るためのナイト達がこの3人ではないのか?
いつ「K」が登場するのか?
ネズミ部屋で「J」達に素直に尋ねたら、めちゃくちゃ笑われた。
初めはプレゼンテーションルームに招かれ「Q」と言うネームが進行する形になっていて「J」はここには居ない。
そこで「Q」は彼の権限の範囲で質問に応えてくれる。
その時間、俺達は「J」の行動に共に参加するのか参加しないのかを確認するのだが
参加するに決まってる
俺達は真実が知りたい人間たちばかりだ
「J」の【Hero/J.com】に招かれたチームや人数はわからない。
時間を移動するチャットルームとは、そこに留まって存在しない…と言う事だ。
ホームレスのチャットルームなんて聞いたことがない。
だからハッキングも覗き見をやろうにも「その時間に存在していない」から追いかけようなも覗こうにも過去にも未来にも特定の居場所にいないのだから。
【Hero/J.com】
にアクセスし、そこから世界に発信したり侵入したりする。
自分達のサーバーや他の逃げ道を用意しなくて助かる。
俺達の本領発揮だった。
「J」が欲しかったのはスパイハッカーとしての俺達の行動力だ。
デスクに座ったまま世界中をハックするのではなく、実際に現地に赴き証拠を集めたり、物的証拠の科学的検証までやる。
そうして俺達「エブリィ・ワン」は匿名掲示板の4chやTwitter、あらゆるSNSやsiteに書き込みをし情報をアメリカ全土に流し続けた。
凄い反応だ。
それはそうだ「真実」の前には誰もが頷くしかない。
だが事件が起こった。
仲間の「ニール」だ。
表のゲームチームでは「ニール」がアイコンとしてメディア担当として出ていた。
広告塔だ。
裏稼業ではチーム名は出していない。
あくまでも健全なゲームチーム。
ゲームで名前を売りショップでは品物を買って貰うシステムだ。
チーム1のクールな男前だから自然と選ばれた。
そしてニールには従兄妹の歌手がいる。
彼女はまだメジャーに上がる前で期待の歌姫だった。
ある時に「ニール」と彼女がパトロンで世界的なアメリカの投資家の「エドワード」が主催するパーティーに招待された。
このパーティーには世界中のセレブが集い、ここに招待されれば其々の成功が約束される場所なのだ。
そして俺達がいくらハッキングしても情報が出ない「エドワード」の秘密のパーティーでもあった。
「Q」の資料だけでは決定的なダメージが与えられないほど困難だった。
参加名簿くらいしか入手出来なかった。
チームも「Q」も「エドワード」のパーティーの参加を断るように警告したんだ…。
だが彼と彼女は忠告を振り切りパーティーに参加してしまったのだ。
「ニール」はスパイ担当から外されていた。表の顔があるからだ。
しかし彼は、このチャンスを何とかモノにしたいと思っていたようだ。
投資家エドワードとは
「エドワードー・エプスタイン」
投資家のパトロンの別荘がある通称【エプスタイン島】
そしてニールが捕まってしまった。
幸い「A/エース」も潜入していて助けに入り脱出に成功。
命からがら逃がしてくれた。
だが従兄妹の彼女が帰宅後におかしくなった。
そして病院に強制収容されてから行方不明になる。
ニールの家族が誰かに狙われるようになり「J」の手助けで安全な土地に逃げられた。
そして俺達のチーム
「エブリィ・ワン」は
解散した。
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EPISODE2 第2話
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