見出し画像

マンデラ小説「M.e」EPISODE3 第6話【ローマ教皇とイルミナティ】第7話【獣の刻印】第8話【集結】

【第6話 ローマ教皇とイルミナティ】

サン・ピエトロ大聖堂は、イタリアにあるバチカン市国に存在する。

聖ペトロの墓所の上に建てられた聖堂でもある。

このバチカン市国は、東京ディズニーランドの敷地面積より小さい。人口800人程で世界一小さな国としても知られている。

そんなバチカンには、隠さなければいけない沢山の事柄が存在していた。

教皇達の下世話な下らないモノから、世界の常識を揺るがすモノまで隠されている。

隠しているのは、バチカンだけではなく、科学も歴史も宇宙を司るNASAも先進国達も…世界中隠し事ばかりなのだ。

事実を隠しているのだ。

真実を知られると困るのである。


■誰が困る?
世界に偽りの常識を押し付けてきた者達。始祖のエスタブリッシュメントの支配者層達。それを容認してきた各国トップ達。口を閉ざして来た者達。そして、それらに騙されて来た全世界の人々も間接的に巻き込まれるのである。

■具体的には誰が?
世界中の既得権益を纏め、作り上げた古来からの支配者層であるエスタブリッシュメント達。現在はディープステートと呼ばれるピラミッドの頂点達である人間では無い異型の者達。

■何故困る?
不満や不遇を押しつけられ騙された人々が怒り狂う。決起覚醒するからである。「神様は偽りである」そして、醜いトカゲが神を偽って世界中の人々を騙してきたのだ。全ての陰謀論と言われる与太話が事実として明るみに出て常識が覆される。人間に成りすましたトカゲ人間達の存在。世界戦争の嘘。様々な嘘が発覚。また人や地球は人工的に作られた事や地球環境の本当の事等を知られると、それを崇め組織を作り上げ人類を騙し窃取していた自分達が糾弾、下手をすると殺され、既得権益のピラミッドが崩壊。「神様」がトカゲの成りすましと分かり宗教観が全滅。「宗教戦争の変質し勃発」。各国でソレに便乗し暴動暴力破壊を起こす輩達。世界秩序も破壊し、世界を騙していたピラミッド組織の自分達も含め、全世界が滅びるからである。

■全世界が滅びる?
世界規模の暴動が起きる。自国の政府達が国民を騙し搾取していたのだ。世界中の常識がひっくり返り、宗教観が根底から覆される。人間の倫理観も無くなり、強奪強盗殺人が急増。先進国達も「移民」による略奪等で人々の争いも拡大し各地で「宗教戦争」が変質し、戦争の火種が国を超え世界大戦に繋がり、最終的には世界人類が滅亡する確率は99%…。とのAIの回答がある。

人類誕生の初手から全て間違っているのである。

掛け間違えたボタンは、いつか破綻する。

それは「インターネット」と言う世界中の個人個人が、遠く離れていてもリアルタイムで意思疎通が出来るツールが発展したのがきっかけとなった。

「大手メディアによる情報操作が出来なくなってきた」のだ。

その時がきたのだ。

世界中の人々が「本当の事実を知る」事に規制が掛けられなくなった。それは世界滅亡へと向かう事に、歯止めが効かなくなる事を意味している。

古来からある様々な予言等で、その警告は徐々にカタチを成してきてきるのだ。

世界中の機関や政府が、隠し事をしているのは全て「同じ穴のムジナ」…既得権益のピラミッド組織の仲間だからだ。

その中でもバチカンは、中心であり「隠蔽」の数も質も別格なのである。

ヤバイ隠し事の宝庫なのだ。

バチカンに何故、数多くの「隠さなければいけない事柄」が集中し数多く収納されているのか?

お伽噺や陰謀論的な「地球や人類が人工的に創られたモノや環境」が真実だと言う事自体も隠している。

バチカンは、その人工的に「地球や人を創造をした」宇宙文明レベル7の超技術力を持つ、神と呼ばれる創造主達と近しい関係があるのだ。

創造主達が、人間達に「神」として別の存在として神格化させ、信仰させたのが「宗教」であるからだ。

神は「異形」なモノ達を従え「異形」な道具や乗り物を操っても怪しまれない。

子供騙しだ。

創生期にトカゲ達が、創られたての人間達に、教養と知性と近代化の手助けをした。

当時は「異形」なトカゲや獣人を従え「異形」な最新技術の道具や空飛ぶ乗り物を見せても問題はなかった。

「神だから」それらは容認されたが…トカゲ達が進化の手助けをした人間達が、裸から一転し洋服や靴を履き出してから様子が変わった。

「気持ち悪いもの」は本能で理解する。「おかしいモノ」はおかしいのである。

時代の変化と共に、子供騙しは通用しなくなった。

彼等は影に隠れた。そして人間界にてピラミッド形成しルシファーと呼ばれる恐怖の存在になったのだ。

創造主達とバチカンとは、大いなる縁があるのである。

そしてトカゲが創造主とすり替わってバチカンを支配した。

現在のバチカンは、多くの真実を隠す指針で「バチカンビジネスの安定と繁栄」を掲げていた。

世界中の宗教の総本山たるバチカンの「信仰」たる根底が崩れる事は、絶対に許されないのである。

バチカン自体も、ディープステートと呼ばれるピラミッド組織の一部でもあるのだ。

勿論、バチカンの上層部の一部の人間達しかそれらに関与していない。

殆どの信者達は何も知らず「神」を信仰し「神」と共に人生を歩んでいる。

無垢で純真な人達が世界中に沢山いるのだ。

「信仰」は、絶対的な「お金と権力」を生み続けてくれている。

嘘がバレたら全てが終わる。

自分達が属する組織のビジネスに置いて、邪魔な情報や事実は隠蔽するのだ。

「人々を混乱させてはならない」

と言う建前の元で、バチカン自らの醜悪さも隠し続けていた。

嘘も百回付くと真実となる。

現在のバチカンでは、嘘を付く事が「人々の安寧のため」と本気でそう思っている。

神に近い存在のバチカン。そのトップは枢機卿や教皇達である。

彼等は酒を飲み肉を喰らう。

紀元48年、パウロがエルサレム会議にて「食物規制」を撤廃していたのである。

ワインは主の血である、と夢物語を創作し「飲酒」を合法的に勧めている。

もし当時にワインより美味しい「ビール」が造られていたら「ビールは主の血である」とやらかしていただろう。

そして当時の教皇は「性的な快楽は神様の贈り物てある」と説いて肯定した。

宗教は神聖なものである。神に近付く為には己の欲望を律する。

規律を正す、敬虔な信者や使徒たちは多数世界中にいる。

しかし、ごく少数…バチカンのトップ達のような存在は、それらを嘲笑うかのように美食家であり性を謳歌し、影ではセレブのように優雅に暮らしているのだ。

その引き換えに、裏では様々な裏の仕事を生業とし引き受けていた。

これらは「レプティリアン・ヒューマノイド」トカゲ人間達の仕業である。創造主達を追い出し裏切った者達。

現在では、ディープステートのピラミッドの頂点で「ルシファー」と呼ばれる、人間では無い者達である。

古来から大きな宗教組織を作り、世界中を操作させる仕組みを考えていたのだった。

彼等は、バチカンが存在する前からバチカンが出来上がるのを知っているフシがある。

それは彼等が「創造主達が用意した神のシナリオ」通りに事を進めていたからである。

沢山の宗教集団、カルト集団と関与し、歴史と共に紆余曲折し、現在のバチカン組織へと上手く治まったのだ。

圧倒的な信者の数、世界的な組織として念願の理想的な宗教組織が出来たのだ。

トカゲ人間が作り上げた組織でもあった。

「神が言う事」信仰は沢山の嘘を隠せ、そして「無理が通れば道理は引っ込む」のである。

トカゲのバチカン組織は、代替わりを繰り返す、人間の教皇や司祭、トップ達を懐柔する為に誘惑や快楽を強制的に押し付けていたのだ。

誘惑に抗える人間はいない。それに、逆らうと殺されるのだ。どちらを選ぶかは明白であった。

そしてトカゲ人間の洗脳能力もあった。

バチカンを遠い昔から裏で操っていいたのである。

現在は、世界に約12億人とも言われる信者を持つ「バチカン」の力が大きくなったのもトカゲ人間達の策略である。

そうして、トカゲ人間やDSのピラミッド組織は、世界の覇権を得る為に「バチカン」組織を大いに活用してきた。

その為にバチカン組織が大きくなるように影から尽力したのだ。

「オリジン」のファーストトカゲが活躍した古い時代。

「宗教」を作った目的は「表裏一体」だった。

表の宗教と裏の武力集団。

教団の影の強力な組織を作りたかったのだ。

表で信仰により人々を懐柔し勢力を伸ばし、影での諜報と武力で表の勢力を支える集団である。

他国を侵略する時の諜報や実行部隊である。

「宗教」の名の裏で、他国を侵略するのである。

軍事力の弱い国は、強制的に「改宗」と称して惨殺し蹂躙しまくった歴史がある。

軍事力のある国には時間を掛けて侵略した。

頭を下げ貢物を携え「宗教を…私達の教義を知ってほしい」と下手から入り「布教」を利用すれば警戒されず、他国に潜入しやすいのだ。

国を隅々まで見て回り諜報して「侵略の算段」を立てる。強国には取引販路を作り、弱国には植民地支配を行うのだ。

トカゲ人間達は狡猾なのだ。

彼等の侵略の為の常套手段である。

その為にイエス・キリストを祭り上げたのだ。キリスト教の「布教や伝道」と大義名分にした。

彼等、トカゲ人間達は、イエス・キリストを追い出した立場でありながらキリストをアイコンへと仕立て利用したのだ。

「神のシナリオ」に模した高度な戦略である。

国のトップ達には、ワイロや貢物を贈り、そして国民には宗教救済の名の下に大量の支援をして地元の信者を着実に増やした。
物流による儲けは継続的に大きなものになる。

また現地人の人身売買ビジネスも大きな収益になった。

信者とは、その国を侵略する時の礎となる。その国の国民が手引をする。隠れ家を用意する。着々と準備を行えるのだ。

それで生まれたのが「イエスズ教団」である。

裏の宗教組織。

ローマ教皇パウロスに認められた会である。当時のイエスズ教団は武闘派の殺戮集団であった。

トカゲ人間達が作り上げたかった念願の裏の組織である。

日本にもフランシスコ・ザビエルらの「イエスズ教団」が渡来し、カトリックを広めたのは彼等だ。

彼等の日本で行った裏の隠された所業は、現在では明かされつつある。

7人の男達によって出来たイエズス会は「神の軍隊」とも呼ばれた武闘派であった。

信者は「教皇の精鋭部隊」とも呼ばれ、軍隊的な規律を重んじる、まさに諜報と武力の集団である。

現在は「イルミナティ」として名称を変え存在している。

表向きは、平和な集団と名乗るが、本当の実行部隊は今尚闇に隠れ存在している。

近代的な非合法集団。

そして「イエスズ教団」の現在は、何事も無かったかのように普通の宗教活動をする集団にと変貌していたのである。

近年になると、諜報や暴力など「宗教の武力」は諸刃の刃となった。「宗教の表裏一体」の時は過ぎたのだ。

時代が変わったのだ。

「人の数の多さ」

現在は、それが他国の侵略への決め手になる。時代は大きく変質し、そして予言通りに事が進んでいるのだった。

だからDSのピラミッド組織は、バチカンの信者を増やし「数の力」を集めたのだ。

国のトップを国民が決める制度ある国には、現地の信者の数…「数の力」を使って影から操るのだ。必要とあらば本教から大人数がやってきた。

「民主主義」はトカゲ人間達が利用する為に作った制度でもあるのだ。「社会主義」は自由が無い、悪の制度であると、メディアの宣伝も抜群の効果がでた。

これも高度な戦略である。

予言書の死海文書のシナリオに即していた。

現在の日本でも行われてる手口だ。


人間では無い、異形な人型…トカゲと人間の融合体「レプティリアン・ヒューマノイド」の存在。ディープ・ステートの頂点だ。

バチカンは現在、そのディープステートのピラミッドの一角として取り込まれた。その代わり莫大な資産と世界一の信者数の組織のトップになられたのだ。

コンクラーベで選ばれるような世界中にいる司祭達は、この事実を薄々は理解していた。

喜んで闇落ちを率先する者。そして正義の司教達もいた。

が、逆らう者は見せしめにされる。

大司教は、余程の事がない限り殺される事はない。

それは、側近達が問題なのだ。

溺愛するかのような愛情を持って大司教に接する者が多いのだ。

大司教を暗殺すると騒ぎ立て、大事にした事例があったからだ。

面倒なのだ。
 
トカゲ人間達は、それが本当に面倒くさかったのだ。それより簡単な方法がある。

汚名を着せられ、側近達に軽蔑される。殺させるより、もっと辛い屈辱を味あわされ追放されるのだ。

それは、幼女虐待や性的な事件、暴力事件等をでっち上げられるのだ。これは昔からのDSの常套手段である。

古来から教皇には影武者が多数存在していた。教皇を簡単に始末していた時代だ。

当時、気が短いトカゲ達が感情で簡単に人を殺す事が多かったのだ。

教皇を勢いで殺したは良いが、明日はどうする?から影武者システムが出来たのである。

勿論、トカゲ人間が顔を周波数で変えて成りすます。顔が似た一般人、ホームレス等をスカウトして教育し影武者にした事もあった。

しかし

トカゲ人間の影武者は、教皇の顔で人を喰ったり殺したり残忍な事をよく起こした。腹が立つと見境がなくなるのだ。

一般人の影武者は、教皇の顔で淫行や暴力や無礼な行い、賭け事等でスキャンダルな事件をよく起こしていた。

近年はインターネットの普及で、それまでの影武者は使えなくなったのだ。

スキャンダルが簡単に露見する世に変わった。子供騙しは通用しなくなったのだ。

現代の影武者は「イルミナティ」で役者を育てる機関を設け「影武者」のプロを派遣しているのだ。

「イルミナティ」との協力機関に当たる英国の「MI6」に技術提供して貰っていたのだ。

これの成功は、世界各国の要人やセレブに利用される事になった。

ビジネスになったのだ。

世界中の人種を育成し仕立てたられた。それは、さらに評判となりイギリスのエリザベス女王からアジア人の天皇陛下まで御用達になったのだ。


もちろん、真摯な教皇達も存在した。誘惑に負けず圧力にも屈しない本当の教皇達。
 
しかし、DSの邪魔や妨害行為と見なされると、強制的に排除されたり見せしめにされ逆らう事を許さなかった。

何より人質を取られていた。

世界中にいる約10億人の信者達が人質なのだ。言われた通り振る舞うしかなかった。

しかし、1980年代からインターネットが世界に広がった。90年代には、世界的に普及し個人の情報発信が可能となった。

これはRulerたる施政者には都合が悪い時代がやってきたのだ。これも死海文書のシナリオには書かれていたが、組織が大きくなりすぎて細かい対応が無理にって来ていた。

様々な場所での雑な隠蔽が難しくなる。

特にバチカンへの告発やスキャンダルは致命傷になりかねない。

約12億人と信者が多い分、攻撃してくる不穏分子の数も非常に多いのだ。

現代の影武者が、イルミナティ育成によるプロとしてシステム化したのもこの時期からだ。

結局、トカゲ人間達は「ローマ教皇」を「お飾り」にしたのだ。

教皇さえ抑えておけば後の司祭は有象無象、何とでも対応できる。

「教皇」だけ抑える。

細かい手は打てない状況。なので大胆に割り切ったのだ。

組織から切り離すのだ。普通の教皇へと戻したのだ。

教皇を取り込んでしまうと、トラブルでコチラの手の内や暴露を情報発信をされては面倒なのだ。手の打ちようがない。

何より、取り込んだ過去の教皇は、破廉恥で破茶滅茶なスキャンダルが数多く、教皇達のプライベートがバレたら洒落にならない。

当時のトカゲ達は、その論議の中…

「それなら教皇は、規律を重んじ禁欲をし、賭け事や暴力をせず、自身を律し、菜食主義を貫いてみてはどうか?」

「それでは、まるで本当の教皇のようだな。」

「目から鱗とはこの事だな。」

と言う「笑い話の逸話」は有名である。

バチカン内での携帯電話やパソコン、スマートフォン等徹底的に管理した。

外では教皇の側近達が、教皇のプライベートを律するように気を配った。

時代が、さらに進み個人の情報発信が簡単になってきた。懸念した通り、一般信者や、司祭、関係者の危険な暴露や非常識なスキャンダルの数は増えたのだ。

粛清隠蔽は非常に多くなり、手に負えなくなってきたのだ。

重く考えたトカゲ人間達。

教皇以外は簡単に粛清できるが、教皇が面倒を起こしたら大事になる。

それならと、教皇を「お飾り」から、さらに閑職へと追いやったのである。

バチカンの施政とは無関係な位置に追いやったのだ。

表向きはバチカン施政を司るトップと明記しているが切り離したのだ。

バチカンの象徴として、本当に「祈るだけの存在」の本当のお飾りにした。

バチカン組織が、トカゲ人間達に指示され行う不正や犯罪等は、教皇は何一つ知らされないようにした。

バチカンが何をしているか知り得ない立場にしてしまった。

そうして、立派な本来の教皇として尽力して貰う事にしたのだ。

その当時の教皇は、ヨハネ・パウロ2世教皇。

波乱の時代の教皇となった。

実は、その時の彼は実際には3代目となる別人である。

これも隠された事実の1つだった。

彼は、何も知らない敬虔なる一般信者であったのだ。

それまでの2人は粛清されていたのだ。

彼は、お飾りの「教皇/本当の祈る者」として新しく抜擢されたのだ。

3代目となる彼は、当時の首席枢機卿や次席枢機卿達に懇願されたのだ。

このままではバチカンや、引いては世界中が大変な事になる、と。ヨハネ・パウロ2世がスキャンダルで死んだとの嘘を信用し、彼は身代わりに教皇役を引き受けたのである。

幸か不幸か…彼は身寄りも無く、身長や年齢、何より顔と雰囲気が似ていたのだ。軽い整形で済んだのだ。

彼は教皇役として、言われた事を一生懸命、真摯にこなした。話し方や所作の練習は驚くほどさせられたが、弱音は吐かなかったのである。

偽物と知っているので、側近達は裏では、酷くぞんざいに扱かわれた。

当初は、トカゲ人間が教皇に変身し合間合間をフォローしていた。

そして彼は、人一倍、神に祈りを捧げていた。そして地球や自然にも感謝を捧げた。

側近達に、ぞんざいに扱われ酷い言葉も投げかけられたが、彼は真摯に全てに感謝した。

主の為に。信者の為に。何よりこの美しい愛する地球。自然豊かな地球があるこそ、私達は恵みを授かっているのだ。

バチカンが何かを隠しているのは察したが、全世界の信者の為、主の為、地球の恵みに感謝し、懸命に執務に努めたのだった。

ある日、彼に奇跡が起きたのだ。懸命に祈る彼に福音が訪れた。

天啓を授かったのだ。

魂か繋がったのだ。

そう、それは神の領域を超えた不思議なエネルギーの存在であった。

束の間のサイコダイブである。

それは彼にとって、夢のような出来事であった。

神様なのだと思った。

そして、自分が成すべき事を理解したのだ。

それまで、抱えていた不安は一切消え去り、穏やかで安定した心持ちになった事にも驚いた。

自然と笑みが零れるようになった。

身体的には「物事の本質が見極められる才能」を授かった。洞察力や観察力が飛び抜けていた。カリスマ性も物凄いものを授かった。

彼は話すだけで、人を説得し癒される不思議な力を得られたのだ。

もし、彼がセールスマンになれば、道端で落ちている石ころを、高値で世界中に売れるような…そんな不思議な力を得たのだ。

天啓を授かった時に「予言書」の存在を知ったのだ。

「予言書」とは、何なのか…彼はそんなモノは全く知りも知らなかった。

事ある毎に側近達に「これこれこう言う名前の予言が書かれている書物がありますか?」と具体的に指摘し閲覧をお願いしたのだ。

それは、秘密文書館に収めていたモノだった。

DS側やトカゲ側の息のかかった側近達は

「何故、新参者の彼は、その予言書の存在を知っているのか?」

不思議がった…が、彼の魅力的な話術と笑顔の前では、素直に予言書を届けざるを得なかったのだ。

彼は不思議なオーラをも纏うようになったのだ。

側近に持ってきて貰った「予言の書」を拝読した彼は、ハッキリと自分のゆく道が見えた。

そしてバチカン執行部を説得したのだ。

「世界中の教会に祝福を届けたい」…と。

DSとトカゲ関係の執行部は、その申し出に困惑した。意図がわからないからだ。

彼が閲覧した「予言書」を確認したが、何がしかの関連性も見受けられなかった。

が、彼はそれまでの務めを見ると、本当に安心出来る「お飾り」の役目をしてくれていた。お飾りの信用は得られていた。

「旅行がしたいだけだろう。」
「役者のくせにその気になりすぎた。」
「スキャンダルを起こされるより教皇として行脚してもらえれば安心では?」

彼の魅力的な話術と笑顔も相まって許可が出たのだ。

本当は、DSやトカゲ関係の上位執行部は「お飾り」のやる事に興味がなかったのだ。

そして彼は「世界中の国と教会」世界の隅々にある教会を訪問し104回の旅を行い、地球の赤道を42周以上するのに等しい距離を精力的に移動したのだ。

世界中の司祭や信者、その国の信頼できる機関や関係者と面談して回った。

その天啓とは「聖マラキ予言」である。神様の魂と繋がった時に提示されたのだ。

この予言書の隠された記述通り、シナリオが進んでいる事を確信した「3代目ヨハネ・パウロ2世」は、そのお告げ通りに世界中を回ったのだ。

我らの主、イエス・キリストを本来のあるべき形として取り戻す事である。

命懸けの旅でもあった。一般人の目の前に姿を晒すのである。

暗殺未遂事件もあった。先代と2代目の悪行を恨んだ者の犯行である。

彼は怯む事無く、精力的に駆け回ったのである。まさに命懸けの行脚となった。

その途中に必要な人材達に、自ら足を運び秘密裏に会ったのだ。 

それが彼の本当の目的だった。

イエス・キリストを、本当のバチカンを、我々の手に取り戻す事に尽力した。

そして「聖マラキ予言書」に書かれていた、次の第111人目の教皇に全てを託したのだ。

2005年、彼は眠るようにこの世を去ったのだ。が、その顔は祝福を受けた喜びに溢れいた、と側近達は語っていた。

次の教皇になった「ヨーゼフ・ラツィンガー首席枢機卿」はベネディクト16世教皇と名乗った。

前任者の「ヨハネ・パウロ2世」時代のバチカンの裏の話は何となく知ってはいた。  

バチカンの上層部は怪しい動きをする。

彼は学者上りであり、研究家でもあった。バチカンに枢機卿へと祭り上げられたが、DSやトカゲ人間からの接触は無かったのだ。

それは「研究一筋」「融通が利かない頑固者」の性格からなのか、富や欲に全く関心が無く、彼等の誘いも全て断り「そんな時間があるならば神について語り合おう」と真面目なのだ。

バチカンの公務も、真面目過ぎて裏の公務から外されていた異端児でもあったのだ。これまでの経験からバチカンは面倒な人間は「放置する」事にして取り込まれなかった珍しい人間である。

そして、それは「お飾りの教皇」として打って付けの人材でもあったのだ。

彼は当然、ヨハネ・パウロ2世教皇とは面識もあった。砕けた話もしてはくれた。神についての問答もよく付き合ってくれた。

が…直接ヨハネ・パウロ2世教皇から何か聞かされ、注意されたり、何かを託されてはいなかったのだ。

ヨハネ・パウロ2世…彼は予言書の通りに「やるべき事をやった」だけなのだ。彼は余計な事は避けたのだ。それを行うと何か影響が出るかもしれないと感じたからだった。神の導きがあるならば、それを成し得る道が開かれるだろう、と。

ヨーゼフ事、ベネディクト16世も、何とか正常なバチカンに戻したいと願って教皇になった人物でもある。

が、バチカン施政から外され教皇の仕事は演者的なお飾りになってしまっている。

そして、教皇就任初日にトカゲ人間から脅迫されたのだ。

遠い昔の出来事だが、今でも絶対に忘れる事はない。

…………

サン・ピエトロ広場で就任式を終えて、ベネディクトは側近達に呼ばれて入った執務室。
 
そこに居たソレは「自分」であった。

おかしな話だが「自分」が目の前で座っていたのである。

ソレと2人っきりの執務室での出来事である。

バチカンの省庁の重鎮達に促されて入室したのだ。

「中での出来事は他言無用」

それだけを念押しされていたのだ。

と、言う事は…目の前のソレは、バチカンの公認の存在になるのか?

一体何が始まるのか?

目の前に座っていたのはベネディクト16世…顔カタチは自分自身だった。

ソレは、ミトラ/司祭冠は着帽していなかったが、同じ色の祭服を着ていた。

鏡でも見るような錯覚を覚えた。

デスクに足を乗せ不遜な態度を取るソレは、ベネディクト16世を見てニヤリと笑って舌を出したのだ。

彼はソレを見てゾッとした。気持ちが悪かった。

舌がヘビのように長いのだ。

そして真顔になり姿勢を正して話し始めた。

「来賓の皆様、親愛なる兄弟である司教と司祭の皆様、各国代表と外交使節の皆様、親愛なる兄弟姉妹の皆様…」

と先程、自分自身が、サン・ピエトロ広場にて就任式の挨拶をした台詞の冒頭を真似たのである。

声がそっくりで立ち居振る舞いも同じで、鳥肌が立った。

この男は一体何なのか?この不審者はバチカンの公認なのか?どうやって執務室に入れたのか?

「ヨーゼフ。教皇就任おめでとう。もう君は分かっているとは思うが、私はルシファーだ。古来から、このバチカン組織は私達のモノなのだよ。」

真顔のソレは、ベネディクト16世と同じ顔に異変が起きた。

顔自体に、まるでTVモニターの映像が乱れるような発光現象が現れたのである。

乱れは直に治まった。

ベネディクト16世はソレの顔を見て声を上げた。椅子から立ち上がり叫んだのだ。

皮膚が人のソレではない。緑色がかっており、何より細かい鱗で覆われてヌラヌラと光っていた。

気味が悪い。

髪の毛らしきモノは確認できる。茶色で短髪。目は金色で瞳孔は猫のように縦に薄かった。鼻は穴がかろうじて2つ開いているのが分かる。が、口元は耳の辺りまで裂けているかのように大きい。

犬歯のように鋭い歯が見えた。

人間では無い生き物に変わったのだ。

ソレは笑っているのである。舌をチロチロと遊ぶように出していた。

ベネディクト16世は立ち上がったまま動けなくなていた。

ソレが言うルシファーとは、噂に聞いていたレプティリアン・ヒューマノイドだった。

彼は初めて目の前で見たのだ。

と、ソレは急に、何故かやる気の無くなったように溜息をついた。

「あー…もういいかな?」

面倒くさい、と言わんばかりの口調になった。座ったまま両手をダラリと膝の上に置いて頭を振ったのだ。

「もうさ…このセレブレーションは面倒なんだよな…。」

何時の間にか、顔が別人に変わっていたのだ。

見た顔の男だ。

コンクラーベを仕切っていたあの男だった。

名前は分からないが…確か次席枢機卿のはずだった。

「バチカンでも何百回もコレをやらされる身にもなってくれよ。…ったく馬鹿馬鹿しい。こんな古典的な脅しをよくもまぁ、続けたもんだよ。アンタも楽にしていいよ。」

ソレは、頭を掻きむしりながら、ベネディクト16世に座るように片手で促したのだ。

コチラも拍子抜けしたベネディクト16世は、言われるがままに着席した。

一体何が起こっているのか…。

「まぁ、アンタも一応、知っていると思うけど俺達レプティリアン・ヒューマノイドと呼ばれる。通称はセカンドと呼ばれている。ま、宇宙人みたいなもんだ。
今見たようにトカゲと人間の混血だ。歴史を語るのも面倒だから、俺が書いたメモをチェックしておいてくれ。」

ソレは本当に説明が面倒だ、と言わんばかりにテーブルの上に手書きのメモをポンと投げたのだ。

「本当は、このセレブレーションで、アンタに恐怖を植え付けて新しく就任した教皇様を言いなりにするんだ。脅し文句は「アンタの顔でウソを付くぞ」「家族に不幸があるぞ」とか「世界中の信者が不幸になるぞ」「黙って言う事を聞け」だ。」

テーブルにあった煙草入れから1本拝借し、手持ちのライターで火をつけ、美味そうに煙草を吸った。

「ふっー…。前の教皇様は暇を持て余して世界旅行にでかけたんだよな。いい気なもんだよな。

アンタも上手く立ち回って任期を全うした方がいいぜ。教皇は酒も煙草も女も好きにしていい身分だしな。

あ、貯蓄に励んだ教皇様もいたな…。博打が好きなヤツも居たし。

ま、周りの重鎮達の話をよく聞いて上手くやんなよ。」

ソレは煙草を吸い終わると、灰皿に押し付けてソファから立ち上がった。

「あ!今日の面談…。こんなぶっちゃけ話をしたなんて言わないでくれるかな?
外にいるヤツラに様子を聞かれたら怖がったフリをしてくれると助かるよ。
あ、あと、その手書きのメモな。読んだら誰にも見せずに始末しといてくれよな。」

それは、友達にでも用事を頼むかのように爽やかな笑顔で「チャオ!」と執務室を軽やかに出ていった。



【第7話 獣の刻印】

あの初日の出来事…ベネディクト16世教皇は今でも思い出す。

次の日から今日まで、ソレとは会っていなかった。いや、会っていたとしてもソレは顔を変えられるのだ。会ったとしても分かる訳がない。

たまにメディアで知らない場所で知らない事をしている「自分」を目にする事もあった。

たぶん、ソレが自分に化けて何かをやっているんだな…程度の認識で、驚く事もなかった。

自分は自分のやるべき事をやるだけだ。

ベネディクト教皇はそれ以来、執務でも執務以外でも全てに真摯に対応した。

決して脅されたりしたからでは無い。

自分に課せられた職務を全うした。そしてバチカンの重鎮達やお世話をしてくれる周りの人々に、精一杯の感謝や祈りを捧げたのだ。

そして彼も又、地球の美しいさ、地球からの恵みに何時も感謝し祈りを捧げていた。

この大地を…自然を愛していたのだ。

朝は誰よりも早く起きて祈りを捧げた。

どんな話にでも真摯に対応した。身分や年齢に関係なく誰とでも膝を交えて話すのだ。

身に覚えのない理不尽な目にあっても感謝を忘れなかった。

日々、真摯に職務を全うする事だけに尽力した。

そうして、バチカン全体から彼は絶大な信頼を得る事が出来た。

「この人の為なら」と思ってくれる人間が多くなってきたのだ。

そうして時間が流れ、世の中はバチカンの一体感とは裏腹に、より一層混沌としてきたのだ。

ディープステートによる仕業である。彼等は欲の為に秩序を簡単に破る。

金儲けだけが彼等の生き甲斐だ。

そんな彼等のピラミッド組織が、近年にどんどんと醜く肥大化してきていたのだ。

ピラミッドの構造は変わらないのだが、形が変わってきたのだ。

頂点が少数で、底辺が多数の三角形のピラミッド。この形が近年変化した。

インターネット通信で子供にでも簡単に「情報」が手に入れられる時代。

人がこの世の中で「幸せになる為」のルートが明確にされた。既得権益のピラミッドの中に入るのが「幸せな人生」を掴めるのだ。

そして既得権益ピラミッドの中にも、多数のピラミッドが形成されるようになったのだ。

ピラミッドの中間層が醜く肥大化してきた。

それは大きな問題を抱える事態となる。

それを支える、奴隷たる底辺の層が減少してきたのだ。

先進国の一般国民、庶民達の事である。

DSに搾取され、お金を取り上げられる側、働き蜂たる「一般人、普通の人々」が減ってきているのだ。

少子高齢化である。

搾取する対象の数がピラミッドを支えられなくなった。

DS達は、人口が減っていく先進国に「移民」と言うの名の「ピラミッドの底辺の人」を補充すると言う荒業を繰り出したのだ。

道理に合わない事を無理に押し通すのだ。

「移民問題」勃発である。

この当時は西側諸国と米国から始まった事象である。が、10年後には日本や世界中にまん延する大問題と発展する事となる。

それは、奇しくも死海文書のシナリオ通りの行程でもあった。

しかし、これは別の組織の思惑で進められていた事だが現時点では誰も知らなかった…。

そして、それは世界のバランスが狂う事になる行為になった。

その狂ったバランスをコントロールしようとする彼等は、宗教を利用する為にバチカンに無茶苦茶な要求をする事が増えたのだ。

そして感謝もなく人の畑を荒らすだけ荒らして立ち去るのが常であった。

現在のバチカンは、そんなトカゲ人間やDSに対して腹が立っていた。

我慢の限界なのだ。

2000年以降、トカゲ人間達がバチカンの現場から離れたのだ。

代わりにディープステートの人間が「トカゲの指示だ」と偉そうに振る舞うのだ。

DSとトカゲ人間にすると、バチカン組織は既にお荷物になってきたのだ。

時代が変わったのだ。

「イルミナティ」の闇の組織が近代化し、それまでのバチカンの役割を凌駕してきたのだ。

闇に紛れた隠密行動の活躍は、DSもトカゲ人間達も重きを置いてきたのだ。それがバチカンを珍重しなくなった原因だった。

バチカンへのトカゲ人間の指示は「人間では無い宇宙人」だから無礼な振る舞いも許容できた。

しかし全く普通の人である、DSの人間達の無礼は絶対に許せない。

教団の金と信者達を容赦なく利用された。

バチカンに愛されたベネディクト教皇の頭に足を乗せる行為は許されるものではなかった。

その為には、ヤツラのトップであるトカゲ人間を駆逐し本当のバチカンを取り戻したかった。

皆の想いは1つに集中しだしていた。

どんな手を使ってでも良い…。

虎視眈々とその機会を狙っていたのである。

その昔にはトカゲ人間も教皇として存在していた時期があった。

国王のように傍若無人な振る舞いのボニファティウス8世やアレクサンデル6世等は有名な史実である。

これらも全て隠蔽された事実である。

それらの秘密が眠る「バチカン機密文書館」。

ここは隠された事実が数多くある。

そして歴史的な貴重な資料も多く保管されていた。

その建物の規模は、約100km、30000立方メートルを誇る異常な程の大きさの書庫である。

それほどの大量の隠さなければいけない秘密がある。

何故か近年にソコが増設されていた。しかも厳重なデジタルで管理された堅固なモノだった。新しく秘密が保管された。

それは福音がもたらされたからだ。

それは

「サン・ピエトロ大聖堂」が、CERN敷地に突然と現れたのだ。

フランス政府とCERNからの報告でバチカンは大騒ぎになったのである。

荒唐無稽な話だが、古来から数多くの秘密を知るバチカンは直に人を派遣した。

バチカン調査班は詳細な調査の為に中に入る前に「見ただけで」これは、本物であると…同行した司祭達の誰もが理解した。

戦慄し鳥肌が立ったのだ。

ベネディクト教皇が、寝巻きのままチャーター機で慌てて駆けつけたのは有名な話である。

フランス政府、スイス政府とCERNは、何故そうなったのか?の原因を調べる前には「加速器を回した事が原因」と理解していた。

が摩訶不思議な現象である為に、現代では科学的な根拠が証明されない。未来の科学であるから誰も立証証明が出来ないのだ。

オカルトの類に当たる。

誰の責任でもない、と開き直るのが常であった。

CERNはホーキング博士が指摘する以前に「このような事例」は想定していた。

が、想定はしていたが、規模が尋常ではない。

時計の針が狂ったり、遠くの土地で地震が起こったり、旅客機の瞬間移動どころの話しではない。

歴史的な遺物たる聖なる大聖堂だからだ。

神の祟りかではないのか?恐ろしい事が起こる前触れか?

あの世界的に有名な「サン・ピエトロ大聖堂」である。

サン・ピエトロ大聖堂とサン・ピエトロ広場にオベリスク、システィナ礼拝堂も丸ごと忽然と出現したのである。

イタリアのローマから瞬間移動したのでも無かった。サン・ピエトロ大聖堂はローマに何事も無く鎮座していた。

何処から来たものなのか?

関係者は皆、恐怖したのだ。

加速器如きで起こる事象の範疇を軽く超えている。

それは、いつ出現していたのか…詳細な日にちは不明である。

CERNの敷地内と言っても、本来のCERNでは都市ではなく、普通の研究施設だったのだ。

出現した場所は人も寄らぬ、森が茂る小山の上の山頂の辺り。

車が通れる道も整備されてはいない。

下からは見えにくい場所なのである。

いくら「サン・ピエトロ大聖堂や広場」が大きいとは言え、職員達、誰も気が付かなくて当たり前だったのだ。

ある研究員が、週末の体力作りとしてピクニックに歩きに出ていて偶然発見されたのだった。

彼は直ぐに上司に連絡を入れ、その日の当日には「緊急のアンタッチャブル地域」となった。

これには少数の人間しか知り得ないように指示がなされ箝口令もしかれた。

発見した彼もあまりの恐ろしさに中に入る事も出来なかったのである。

フランス政府の意向でCNESは、未確認大気宇宙現象研究グループ、通称GEIPANを調査に向かわせた…。が、バチカンが立ちはだかったのだ。スイスの調査隊もCERNの調査も断ったのだ。

その申し出を断れる者は誰もいない。バチカン市国の管轄のサン・ピエトロ大聖堂だ。

神の眠る神殿の調査なんて誰もやりたがらない。

当たり前である。

そして当のバチカン側が恐れていたのは、隠された秘密「機密文庫館」の一部が地下に存在していたからだ。

これは何人にも見せられないのだ。調べられたくは無いのだ。

他に、変な隠し事が露見されるかも知れないからだ。

チャーター機で駆けつけたローマ教皇「ベネディクト16世」が、そのサン・ピエトロ大聖堂を目の当たりにして興奮し呟いたと言う。

「イエス・キリストの復活が近い。我々は光の子だ。」

と興奮して祝福を告げたのだ。

福音か訪れたのだ。

「特異点」が現れた事…この兆しに「バチカンの悲願」が叶う事を示しているはずだと、教皇は直感で感じていた。

それは「大司教聖マラキの予言書」に書かれていたのだ。

これはトカゲ人間の息は掛かっていない司教の自らの予言を書いた書であった。

神様とのサイコダイブにて、天啓を授かった3代目のヨハネ・パウロ2世がそれに従った書である。

世間では稚拙な偽書とも呼ばれている。それは、予言を警戒したトカゲ人間達が流布した噂である。

が、バチカンの「秘密文書館」に収蔵されている本物があったのだ。


表には出されていない予言がある。

「聖マラキの予言」とは、900年前に書かれた予言書の事である。

これから誕生するであろう、後の112名の教皇に関する予言が短章で書かれていた。

驚くべき事にその予言が殆ど一致していたのだ。

そして驚愕すべきは「カトリック教会機構が112人目の教皇で終焉を迎える」と明記されていたのだ。

「2025年から2030年」で世界が終焉を迎えるの事になると言う。

これはバチカンが終焉するのか?世界が終焉するのか?同義語だと捉える考え方が主流だった。

2005年に就任したローマ教皇のベネディクト16世は、111人目に当たる。

次の新しい教皇の時代に「世界が終わる」というものだった。

そしてCERNのサン・ピエトロ大聖堂を見た
ベネディクト16世教皇は、生前退位を直に決意したのだ。

急がなければならなかった。

生前退位は、カトリック教会機構では600年ぶりの出来事だ。表向きの理由は高齢と激務にバランスが取れなくなったと表明したが、本当の所は「聖マラキの予言書」にある「サン・ピエトロ大聖堂」が現れたからである。

バチカンの書庫に隠された記述、ベネディクト16世についての予言の短章には「オリーブの栄光」と「ペトロの墓所と共にあらん」と記載されていたのだ。ペトロの墓所とは、ペトロの墓の上に建てられたサン・ピエトロ大聖堂の事である。

彼はCERNに出現した大聖堂の出現に興奮し魅入られたのだ。まさに予言書の通りだからだ。

彼にはやるべき事がある。

「聖マラキ予言」に書かれていた事であった。

そして彼は予言の通り生前退位を表明し112人目となる「最後の教皇」の「フランシスコ教皇」にバチカンの未来と世界の平和を委ねたのである。

201☓年にブエノスアイレス大司教であった「マリオ大司教」は、コンクラーベを経て第266代教皇となり「フランシスコ教皇」と名乗る事になるのである。112番目の教皇へと続くのである。

ベネディクトは、これらの事も予言で知っていたのである。

【ローマ聖庁が極限の迫害の中で、ローマ人ペトロが着座する。彼はさまざまな苦難の中、多くの子羊を司牧する。そして7つの丘の町は崩壊し恐るべき審判が人々に下る】

2018年から起こる、来たるべき「最終戦争」に立ち向かわなければいけない。

光の子と闇の子。

様々な予言の謎が「CERNサン・ピエトロ大聖堂」にあると睨んだベネディクト16世元教皇は、極秘の探索チームを直に組んだのだ。

そして大体的に探索しようと調査班が入った直に、驚くべきモノが発見されたのだ。

「ベネディクト書記」

と書かれていた書物であった。青色の本にはシルバー製の金属のおかしな封印か施してあった。

ベネディクト16世が書いた書物が、変わった封と共にシスティナ礼拝堂の壇上に、まるで「見つけてもらう」かの様に置かれていたのだ。

調査隊は直ぐ様に待機していた教皇に届けた。

大型のキャンピングトレーラーが何台もCERNに到着し、そこで待機していたのだ。

彼は、おかしな封印がなされた、その書物を手に取ると…

ベネディクトは全身に電流が駆け巡る感覚を覚えた。

天啓を授かったような…何かを思い出したような面持ちである。

口元から笑みが溢れた。

柔和な老人の優しい顔が、精悍で生気の満ちた表情に変わっていた。

彼は、封印を外す作業もせず、丁寧に教皇用のカバンに仕舞った。

そして、迅速に指示を出したのだ。   

今の調査班を解体する事を伝え、サン・ピエトロ大聖堂をアンタッチャブルに指定した。

バチカンの誰も立ち入る事は許さない。封鎖したのだ。

CERNにもスイス政府、フランス政府にも通達を出させた。

そうして、信頼できる側近達にメモを渡した。当然、トカゲ人間やDSの関係者に知られるのは想定していた。

しかし妨害はない。確信していた。

この出来事は、レプティリアン・ヒューマノイドたるトカゲ人間達の持つ「シナリオ」には無い特別な事象だからだ。

そんな事を考え、彼は頭を振った。

時間が勿体無い。

ベネディクトは、複数のメモに急いでペンを走らせた。

多数の人の名前が書かれていた。

そして予言のような文言も書かれている。

「この人物達を、24時間以内に、このCERNサン・ピエトロ大聖堂前に呼ぶ事。」

そして、近くの人物には紹介状のような密書を書き出しそれを持たせた。

遠くの人物達には、メモを渡された。

「それを読んで聞かせなさい。」とだけ言われ急がせたのだ。

側近達が教皇用キャンピングトレーラーからバタバタと慌ただしく居なくなった。

誰も居なくなった部屋で、カバンから書物を取り出した。

そして封印を解いた。

シルバー製の金属で出来た封印は、現在の科学技術では作り得ない未来の技術であった。

この封印は「粒子」がコーディングされていた特殊な金属製である。

封印の鍵は無い。

懐かしそうに青い本を撫でた。

これは自分が書いたものであった。201☓年と記された書物。

これは、今から8年後の西暦であった。

「さぁ、忙しくなるぞ!」

険しい表情なのに口元は笑っていた。

そうして彼は2013年「生前退位」を表明したのである。自分のすべき仕事が出来たのである。

……………

側近達は、ベネディクト16世教皇が、招集を掛けた人物達への「24時間以内に越させる事」等と無理難題に頭を抱えていた。

全員で12名になる。

奇しくもキリストの使徒と同じ人数だ。

世界的な権威ある学者達、財閥の人間等である。そしてビル・ゲイツも召喚されていた。

いくらローマ教皇の命としても、流石に24時間で、やって来る事は無理だろう。

何名かは拒否されるだろう。

諦めの表情で側近達は、あらゆる手段を使ってコンタクトを取った。

しかし、驚くべき事が起こったのだ。

召喚を受け取った人物…誰一人「No」を表明する者は居なかったのだ。

それどころか、予め招集を知っているかのように全員、着の身着のままで飛んできてくれたのだ。

それは先代の教皇「ヨハネ・パウロ2世」が関与していたのだ。

「ヨハネ・パウロ2世」が世界中を旅して回った先で、その人物達に根回ししていたのであった。

秘密裏に人に会えば、トカゲ人間達に調査され何を話したかはバレてしまう。葉っぱを隠すには森の中…人を隠すには人々の中である。

重要な人物以外に、200名ほど同じ様に秘密裏に会っていたのだ。一般人からスポーツのスターであったりタレントやセレブ達、財界の大物など様々である。

教皇自ら秘密裏に接見する様子を、トカゲ人間の関係者は注意を払って監視していた。 が、ただの世間話や小むづかしい話を楽しそうにする様をみて、詳細なチェックはしなくなったのだ。個人的な趣味で100人は超える人物達との接見。監視係は面倒くさくなったのだ。

そして彼等の目を欺き、彼は「予言」の通りの重要人物達に接見できたのだ。

教皇自ら彼等の前に説得に来たのである。

ローマ教皇が「ヨハネ・パウロ2世」が自分に会う為に内密にワザワザ足を運んで来てくれたのだ。 

その重要人物たる彼等は、…その当時は何も成し得ていない普通の一般人だったからだ。

「どうして名も無い私に教皇は礼を尽くして会いに来てくれるのか?」

不思議な出来事に戸惑いながらも幸せで一杯になった。

これらの人物達も、信者でもあったので感激も一入だ。

ヨハネ・パウロ2世教皇は彼等に予言を伝えた。あの魅力的な話術と笑顔と不思議なオーラである。

これはたまらない。

【約束の丘が再び現れる。沈黙と共に主が目覚められるのだ。光を得て主を迎える支度を始めよ。】

最後の審判の時が訪れる。次の教皇が貴方を必要とする時が必ず訪れる。

貴方のその力を我々に貸して欲しい、尽くして欲しい。約束の丘に集まって下さい。それを見れば全てを理解できます。

予言のような不確かな言葉を残した。

当時は何も無し得ていない発展途上の彼等だった。

しかし、それを受けた彼等は全身に電気が流れるような衝撃に驚いたのだ。高揚したのだ。

まるで、それが自分の使命かのように。

そして約束の時を一時も忘れずに、仕事や研究に邁進した。衝動が止まらなかったのだった。

そうこうして時間が経った西暦2000年代以降に、彼等の身体に異変が起こった。

なんと身体に数字が現れたのである。

ある者は腕に、ある者は太腿にと、全員が前身頃に、自身が見える位置に彫り物のように数字が現れたのである。

それを見て彼等は確信を得たのだ。

その数字は

【666】

「獣の刻印」のシンボルである。

巷では「獣の刻印」の「666」は、悪魔のシンボルと呼ばれ忌み嫌われている。

とある映画や小説で間違った解釈を仕立てられ、広ろめられていたからだ。

本来バチカンでは、その数字は「神の子の代理」と言うシンボルを意味する「Vicarius Filii Dei」と言う言葉を指すのである。

これはローマ数字部分を足し合わせると「666」と言う隠された数字が隠語として使われていたからだった。

その666と言う数字は「マタイによる福音書」にある『荒らす憎むべき者』が聖なる所に立つのを見たならば」を指し示す意味である。

【彼は一週の間、多くの者と固い契約を結び、半週の間、いけにえとささげ物とをやめさせ、荒らす憎むべき者が翼に現れる。ついに定められた絶滅が、荒らす者の上にふりかかる】

この予言通りヨハネ・パウロ2世が世界中を周り、彼等と固い契約を結んだのだ。

その契約の「獣の刻印」は、誰かに刻まれたものでは無く、それぞれ自分達の手で行ったのだった。

彼等はそれも思い出していた。

獣の刻印を持つ者は「神の子の代理」として「荒らす憎むべき者達」と戦う者の証でもあった。

そして現在、ヨハネ・パウロ2世の予言の通り「使者」が「約束の時」を告げに来たのだ。

彼ら12名は、CERNに急いで向かったのだ。

1番に着いたのはビル・ゲイツであったと言う。

そして「約束の丘」こと「サン・ピエトロ大聖堂」を見て誰もが驚愕し、一歩も動けなかった。

驚愕していても全員の口元が笑っていた。

彼等は全てを思い出したのだ。

「獣の印」の事も思い出したのだ。



………………

次々と集まった12名は、一言も喋る事なく教皇の居るキャンピングトレーラーの部屋に急いだのだ。

キャンピングトレーラーだが、豪華な応接室のように大きな部屋であった。

大きく長めのテーブルが用意されていた。

ちょうど12名座れるよう用意されていた。

既に座っている人間達は、喋る事もなく黙っているが皆、顔が紅潮していた。

緊張よりも心地よい空気感に包まれているのだ。

そして、一番奥にベネディクト16世教皇が座っていた。その後ろに黒服の若い男が立っていた。

異常に背が高い。2メートルはあるだろうか?そして目の輝きは鋭く、場違いかのように威圧感をだして立っていた。

若き男は、警備局のロレンツォである。

彼はベネディクト教皇が目をかけた信頼する人物であった。

「獣の刻印」を持つ12名全員が揃った。

ベネディクトは、おもむろに「ベネディクト書記」をテーブルに置いた。

そして、彼は優しい顔と満面の笑みで、皆の顔をゆっくりと1人1人見回した。

すると「獣の刻印」を持つ12名も、徐ろに同じ本をテーブルの上に置いたのだ。

おかしな封印が掛かったままの「ベネディクト書記」を全員が持参していたのだった。


【第8話 集結】

【201☓年 CERNサン・ピエトロ大聖堂 地下】【CERN 6日目 13:10】

「え?ちょっと待ってよ!それはどういう事なの?何で12人共に、その「ベネディクト書記」を持参してきたの?」

サン・ピエトロ大聖堂の地下。

ロレンツォから話された「CERNサン・ピエトロ大聖堂出現に関わるローマ教皇」の過去の話の途中で、ミッシェルは堪らずに質問で遮ったのだ。

横に居たニールも、一緒に話を聞きながら質問したくてウズウズしていたので彼女を止めはしなかった。

「付いて来い」

ロレンツォは問いに答えずに踵を返した。

地下の横に階段があり、無言で登ってゆく。

ミッシェルとニールは慌てて後を着いて行った。

案内された場所はサン・ピエトロ大聖堂にある、彼等のバチカン執務室。

モニターが多数配置され見慣れぬ機器やパソコンがあり近代的な部屋であった。

2人をソファに座らせて、ロレンツォは自分のデスクに向かった。

デスクの引き出しを開けるのに、デスク天板のガラス製のタッチ式モニターで暗証番号を打ち込んだ。

引き出しから取り出した物を、彼等の前にあるテーブルにドサッと乱暴に置いた。

それは青色の分厚い古典書のようだった。

手に取ったミッシェルが叫んだ。

「あ!!これ…さっき言ってたベネディクト書記じゃない!?」

ペラペラと頁を捲った。ニールも覗き込んでいた。

「これ、さっき見た原板のカタカナムって文字じゃないの?さっぱり読めないわ…。あ、でも、これ10ページ毎に内容変わってない?繋がってないんじゃないの?」

「本当だ…たしかに…。紙質も違うし。」ニールもチェックした。

ロレンツォは自分のデスクに座っていた。

「アンタ…流石だな。その通りだ。それは原本のコピーだ。12名のヤツラが持っていたのは翻訳された本だ。何ページか単位かに内容は変わっている。ランダムに予言書が入れてあるんだ。順番がめちゃくちゃにしてあるんだ。それは12名の本を合わせると死海文書の本当のシナリオの全景が分かるような仕組みを取っているたようだな。」

そしてロレンツォは、過去の話の続きを始めた。



突然出現した「サン・ピエトロ大聖堂」の事件。

教皇が指揮を取り、12名の、その筋で著名な人物達を教皇が至急に招集した事。

それはトカゲ人間達やディープステート達に隠れて内密に行う事は不可能である。

CERNやバチカン、フランス政府やスイス政府、この現場にも全てに網が張られているからだ。

CERNにサン・ピエトロ大聖堂が出現した事も全て把握していた。

だが…この現象は、彼等ディープステートやトカゲ人間達には意味がわからなかったのだ。

これは「神のシナリオ」には無い出来事だからだ。神のシナリオとはセブンズ達が用意したシナリオだった。

死海文書のシナリオとも呼ばれている。

その死海文書のシナリオに存在しなかった出来事なので、トカゲ人間達は大いに戸惑ったのだ。本能的に「近づいてはいけない」と頭の中でAlertが出ていた。

様子を見る他に術がない。

何が起こっているのか分からないからだ。

トカゲ人間が本当に怖いのは、セブンズ達の復活だけだった。

ベネディクト教皇が、陣頭指揮を取っているのは理解していた。

サン・ピエトロ大聖堂が「神の奇跡」のように突然出現すれば、神に近い教皇に縋るのは自然だ。

そしてバチカンの人間達は、こぞって彼に指示を仰ぐのは当然だからだ。

現場もみんな恐怖で戸惑っている。

何よりトカゲ人間達が尻込みをしている。…DS側のバチカン上層部も、事がハッキリとするまでは見守るしかないのだ。

ベネディクトに任せるしかなかったのだ。

彼等は、現場からのリアルタイムの情報に注視していた。

しかし教皇の乗るキャンピングトレーラーは、急遽レンタルしている為に、室内での監視カメラや盗聴は出来なかった。ロレンツォがそれを手配し盗聴を排除していたのだ。

それに気が回らないほど、恐怖と困惑で上層部も現場も混乱していたのだ。



【平行世界 201☓年 バチカンシスティナ礼拝堂 地下会議室】


201☓年

ここは、あのCERNの異質なサン・ピエトロ大聖堂が「出現して居なかった」全く別の平行世界である。

バチカンの一部とディープステートの一部から、造反グループが組織として形をなしていた。

何とかトカゲ人間達から人間の手に主権を取り戻したい。

思惑は、それぞれあったが目的は一致していた。

その秘密の集団の名前は「アヌンナキ教」。

この平行世界でも同じく、ディープステートの頂点は、恐るべき宇宙人であるトカゲと人間の融合体だ。

彼等は、超科学技術と特殊な能力と巨大なトカゲを使って人間を脅し、世界の覇権を握ってた。それがDSのピラミッド組織である。

バチカンも組み込まれていた。バチカン内部にもトカゲ人間が上層部にいる。誰かに化けて複数いたのだ。

トカゲ人間さえいなければ反旗はいくらでも翻った。が、人間では無いトカゲ人間達に勝てる術はない。

その「アヌンナキ教団」と名乗るグループの会議が、システィナ礼拝堂の地下の秘密の部屋で行われた。

ベネディクト16世教皇の呼びかけで集まった12名の人間達。各分野にて突出した才能のある人物。

それぞれの分野の最高の英知、トップの集結でもある。

そして彼等は突出した分…DSの関わりがあり、トカゲ人間達を駆逐したいと大きな反感を持つ者ばかりである。

それは奇しくも、こちらの平行世界線でも「ヨハネ・パウロ2世教皇」が世界巡礼中に秘密裏に会っていた人物達でもあった。

彼は予言書の通りに、彼等に「言葉を伝えた」だけなのだ。

そして、今回のグループに帰着するとは、本人達もヨハネ・パウロ2世も夢にも思ってはいなかった筈である。

そして、そのメンバーの一人ビル・ゲイツ。

彼がビル・ゲイツが、お膳立てにと主導し、ベネディクト教皇を説得し実現したグループでもある。

勿論、立派な一枚岩では無く、各々思う所があり個人的な思惑もあるが、協力しあう事に関しては大いに賛成であった。

大儀は我々にある。

レプティリアン・ヒューマノイドと言うトカゲの化け物から地球の平和を我々の手で取り戻すと言う名分だ。

会議の前にベネディクト16世教皇が祈りを捧げた…その時である。

全員に、頭痛と鼻がきな臭い匂いがした。空気が重く気分が悪くなっていた。

ベネディクトも祈りをを止めて頭痛がする頭を押さえていた。

ほんの数秒かもしれないし、何分も経ったかも知れない。

突然、嘘のようにその不快感が無くなった。

彼等は全員、別の平行世界へとスライドしたのである。

何処かのパラレルワールド平行世界線に移動し繋がったのだ。


頭痛や不快感が無くなり、皆、辺りを見回した。

驚くべき事態になっている。



彼等はその不測の事態…何が起こったかを直に理解した。

それは、着ていた洋服が違う事から始まり、身に着けた装飾まで変化している事。
知らないカバンや本を手に持っていた。

何より相対する仲間達の顔が老けているのだ。もちろん、自身も老けていた。

大きな違いは、座っていた場所や空間が違っている事。

石造りの大きな講堂のような場所で…皆突っ立っているのだ。

これが一番の衝撃である。

周りを見ると古い作りなのに照明は現代の技術だった。

普通の人間達なら動揺して取り乱す状況である。

が、流石はその分野の英知達。

「動くな。無闇に動くな。」誰彼ともなく声がかかった。そして「このまま、座ったまま話をしよう。」石造りの床に輪になって座った。

「これはトカゲ人間達の宇宙の技術ではないか?」「状況を察するに未来の世界に移動したようだ。」「パラレルワールドに巻き込まれたな。」「危険な感じがしないな。」「これは記憶なのかも知れない。」
「このテリトリーは我々のモノだな。」

彼等は状況判断が的確で決断も早い。

彼等がスライドした場所。

それはCERNに出現した異質の「サン・ピエトロ大聖堂」の地下にあるエスタシスのある空間だった。

その西暦は2018年7月。

ロレンツォやミッシェルとニールが居た場所。本物の「死海文書」や原板や「日月神示」と「竹内文書」という予言の書の原本が展示されていた場所そのものだった。

彼等は、その場所で輪になって座っていた。

それまで一言も発せずに1人立っていたベネディクト。

「その時が、ようやくきたのだな。」

感慨深いような…懐かしい顔つきになり、優しい言葉を発した。

彼は一呼吸して周りを見回した。

「皆が持っている本を手に取りなさい。」

彼等は瞬時に理解していた。

この状況で冷静なのは彼だけだ。このベネディクト教皇はこの不可思議な出来事が何かを知っている、と。

言われた通りに

手に持っていた青色の古典書。言われた各自ともそれぞれに確認した。

手に直接持っていた者。バックの中に入れていた者…。

それぞれ本を取り出し手に持った。

表紙の「ベネディクト書記」と書かれていた文字をみて皆が「あっ…」と声にした時だ。

彼等の身体に電流のような衝撃が走った。

背筋が伸びて活性化されたかのような気持ちいい気分になった。

高揚がとまらない。

ベネディクトはその全員の顔を見回した。

12名全員が笑っているのである。

子供達がお気に入りの玩具を見つけたような無邪気な笑顔のようだった。

全てを思い出したのだ。

…そう言う事だったのだ。

一人が笑ったのを皮切りに、講堂のような空間に大きな笑い声が響いたのだった。

ビル・ゲイツが腹を抱えて笑った。

「まさか、あのホテル王のドナルド?ドナルドが大統領?あの男はスマホを渡したら「ボタンが無いから使えない」って言った男だぞ?あれが大統領?hahahahahaha!」

「なるほどな?そりゃタイムループくらいするな!」

「なんと!もう我々の勝利ではないか!?」

「まさか、私達がヒッグス粒子を利用するなんて!」

「トカゲ人間に対抗する手段を既に我々は手に入れてたのか?」

「この科学技術は本当にあり得ないぞ。」

「タイムマシンが、ようやく現実に稼働するとはな。」

「パラレルワールドが立証される前に我々が現実化させるとはな。」

コミュニケーションなぞ、お構い無しに一方的にそれぞれ語り始めた。

そして身体に刻んだ「獣の刻印」をそれぞれ見せあったのだ。

彼等がいる西暦は…

2018年7月だった。例の日だ。

この日にトランプ大統領が、イスラエルからエルサレムに大使館を作りトランプ大統領がメディアで「宣言」する日だったのだ。

トランプ大統領が宣言した瞬間に、地球の全ての時間が戻るのである。全ての平行世界でもループしていた。

2018年から2000年へ…そして2000年から2018年へとタイムループを繰り返していたのだ。

「ようやくだ…。ようやくわれわれの悲願が達成される時がきたのだ。」

ベネディクトは呟くように言葉を噛み締めた。

それまで口々に話していた12人は、彼を見つめた。そして大きな感謝と労いの言葉を掛けたのであった。

彼等は、ベネディクトの元へ集い屈み頭を垂れたのだ。

タイムループは18年を1回とすると、ベネディクトはそれを約10回分を過ごしてきたのだ。

その200年近い時を、平行世界をランダムに駆け巡る異質な特異点である「サン・ピエトロ大聖堂」で、たった一人…記憶を持ち続けたまま居たのである。

何度も歴史を繰り返したのであろう。

凄ましい恐るべき精神力であった。並の人間なら発狂していただろう。

「リアルタイム/現世」の世界線とは奇跡的に3度程繋がった程度で、彼は精神的にずっと一人ぼっちだったからだ。

CERN敷地外には出られない。

そこには、その世界の自分が居るからだ。

勿論、この12名も1回毎、この異質なサン・ピエトロ大聖堂に招かれ、CERNの科学棟にて研究に携わり18年の時を一緒に過ごすのだ。

しかし、どんなに時を一緒に過ごそうが、タイムループし、振り出しに戻ってしまうと「何を積み重ねたのかを誰も覚えて居ない」のである。

毎回「初めまして…ヨハネ・パウロ二世に呼ばれましたがどうしましょう?」状態なのだ。

出来の悪いビデオデッキが壊れたかのように、繰り返し繰り返し同じ事を見せられているようもあった。

そして「未来を知っている」ベネディクトだけが彼等を毎回、叱咤激励し導くのだ。

しかし苦労し導いてた積み重ねが…あの時が来るとゼロの状態に戻るのだ。

努力して18年の時を経て「実った物」…ようやく「形」になったモノが無に帰るのだ。

18年も経たずにCERNの加速器等の事故や他のトラブルでリターンする無駄なループも少なくなかったのだ。

しかも…この世界は現在進行系の世界とは融合はランダムであり、ベネディクトは閉じ込められた状態だったのだ。

勿論「リアルタイム/現世」では彼は普通に存在していた。

彼は、その200年分の時間の積み重ねで、未来の技術を手に入れる事が出来たのである。

念願のトカゲ人間のレプティリアン・ヒューマノイドを駆逐する「ドラゴニアン・ヒューマノイド」の製造にも成功したのだ。

世界中を支配するディープステートのトップ。ルシファーたる悪魔と呼ばれるトカゲと人間の融合体。

宇宙人たる「レプティリアン・ヒューマノイド」は、下層の立場であり、製造に成功した「ドラゴニアン・ヒューマノイド」はヤツラの上位種であった。

ヤツラは獣人のドラゴニアン・ヒューマノイドの前に無条件で降伏するのだ。獣人は能力も桁外れだか、これは、セブンズ達がトカゲのDNAに埋め込んだ絶対的な決定でもある。

3種混合を成功させたのも「神の粒子」のコーディングのおかげたった。

これらは、セブンズ達が成し得た技術力と同じであったのだ。

それは、このCERNの加速器を利用した手に入れた「神の粒子」である。

そしてバチカン秘密文書館に隠されていた【グラン・グリモワール】の資料のおかげであった。

【グリモワール】とは、世間では【魔導書】とも呼ばれ悪魔を呼び出す召喚術を書かれた書物とも言われていた。

が間違いである。

この書物の原本では「レプティリアン・ヒューマノイド」や「ドラゴニアン・ヒューマノイド」の作り方の製造原書であったのだ。

起源を遡ると「ホムンクルス」に当たる。

こらはセカンドと呼ばれるレプティリアンが、自分のコピーや「獣人」を造る時に書いた製造書でもあったのだ。

しかし、これを真似ても成功はしない…どころか当時の人間達は「獣人」を悪魔だとし、気味の悪い姿に畏怖し「悪魔の書物」と忌み嫌った。

トカゲやヘビ、牛や馬、鳥を人間と融合させる「悪魔の如き」書物である【グラン・グリモワール書】。

それは封印され、バチカンの秘密文書館に収められていたのだ。

彼等は、それを参考にCERNで「獣人」製造に成功したのだった。


そして「神の粒子」を使う事によって得られた副産物として、タイムマシンを筆頭に様々な未来の科学技術が手に入ったのだ。

後は、この世界線を「リアルタイム/現世」に繋げる事だけだった。

そして、彼は…彼等は、遂にやり遂げだのだ。

ベネディクトは天を見上げ感慨深い想いに目を閉じた。

「ビル君、今一度、これからの事を説明をしてくれないか。」

ビル・ゲイツは彼に指名され、これまでの経緯をおさらいして話し始めた。

「えー…皆さん。長い時が経ちました。

この、サン・ピエトロ大聖堂出現の奇跡。

この現象は「死海文書のシナリオ」には無い異質のエネルギーによって現れました。

宇宙文明レベル7の圧倒的科学力を持つ、我々を創った創造主のセブンズ達。彼等より同等か上回る存在がある事は確認しています。

が…結局は、それは何者かの意志なのか?彷徨っていたエネルギーの突発的現象なのか?の特定は至りませんでした。

しかし継続的に平行世界を創るエネルギーは我々の味方だとベネディクトは感じていました。

この件は、ベネディクトに一任し我々は研究と実験に勤しみした。ま、僕は政治的な事と資金的な事、機器を用意する事てか貢献しか出来ませんでしたが。

が…よくやくです…。

…ようやく、本当にようやくですが「リアルタイム/現世」に任意で接続する事に成功しました。

【人間の特異点】それを見つける事が鍵でした。

特異点の出現が鍵となり「リアルタイム/現世」に、このCERNサン・ピエトロ大聖堂が世界線へと繋がりました。

そして今回ようやく「リアルタイム/現世」の2005年を狙って、この「サン・ピエトロ大聖堂」を出現させる事が出来ました。そして、別の世界線の私達とも接続が成功しました。

本当に科学は素晴らしい。

貴方達は最高だ。

…これをもって2000年の「リアルタイム/現世」に本日タイムループして戻る事が出来ます。

このCERNサン・ピエトロ大聖堂を「リアルタイム/現世」に繋げられます。

全ての平行世界に影響し、全ての平行世界に「サン・ピエトロ大聖堂」がCERNに出現します。

この世界線にては、フランス政府とスイス政府に貸しを作れました。そしてトカゲ人間やディープステートを騙し孤立化を成功させてます。

この環境…形のまま、我々と「特異点」のCERNサン・ピエトロ大聖堂は戻れます。

が、問題は時間と記憶です。資金面、政治面に関してはMr.「●●●」と私、ビル・ゲイツでバックアップします。スマートシティ化を急がせます。そしてバチカンでは「新しい」ベネディクトとロレンツォが仕切ってくれます。あとは皆さんの分野で、200年分の未来の技術を持って、このCERNにて存分に研究を完成させてください。

時間が無いと言うのは【人間の特異点】が現れるまでに舞台を用意する事です。

それが現れた時点で計画を実行します。

そして「記憶」とは今の私達の意識を持ったまま2000年に帰る事でした。何度かトライしてようやく成功出来たのは記憶を覚醒させる「何か」でした。

それが、いま皆さんの手元にある死海文書の「Blue Book」と身体に刻まれた「獣の刻印」です。

「死海文書/BlueBook」は、時空移動すると形を保てずに消滅してしまいました。

試行錯誤して「神の粒子」と「ニュートリノ粒子」を調整させコーディングした、この金属製の「ブックカバー」です。」

ビル・ゲイツがシルバーの金属製の封印をヒラヒラと見せて「ブックカバー」と口走った時に爆笑が起こった。

「hahahaha!」

「ブックカバーときたか?」

「それは、本を買うと無料でついてくるのかい?」

「本の定価より高価なブックカバーだね。」

「フェラーリが買える値段のブックカバーとはね…hahahaha」

たまらずベネディクトも

「聖書用に1つ頼むよ。」

地下講堂は大きな笑いに包まれた。

顔を赤くしたビル・ゲイツ。展示会等のスピーチでも得られなかった温かい笑いであった。


ビル・ゲイツは続けた。

「hahaha…。このブックカバーに封印された死海文書のBlueBookだけでは「記憶」は戻りませんでした。

そして教皇が発案してくれた「獣の刻印」。666の刻印。

私たち自身がその数字を彫り、教皇がアノお祈りを数字に重ねる事で記憶を取り戻す事に成功しました。」

周りが又ざわついた。

それぞれ自分で皮膚に入れた「666」のTattooを見せ合いながら話しだした。

「あれは本当に偶然か…奇跡だったよね。」

「まさか呪われた数字が実は神の代理として戦う者を示すとはな。」

「この歳になってTattooを入れる羽目になるとはな…。」

「その昔オーメンと言う映画があってな…」

いい年齢の大人達なのに「悪霊退散!」とやりだす人物も居た。

「あー…ゴホン!兎に角、教皇の神の祈りが今回の奇跡を起こしたのです。」

咳払いをして子供のようにはしゃぎ出したメンバー達を鎮めるビル・ゲイツ。

そして何故か、居心地が悪そうなベネディクト教皇がいた。

彼は学者上がりで「脳神経学」の事も勉強していたのだ。

人間が記憶を取り戻すのに必要なのは「痛み」「匂い」「気持ち」「色」「手触り」etc様々なキーワードがある。

そこで思いついたのが「666」の獣の刻印を利用する事であった。

ベネディクト教皇にすれば、それは神聖な数字である。しかし世間や彼等は「映画や小説」で悪魔の数字と認識している筈。

一般人は嫌悪感を感じる数字なのだ。

これを身体に刻み「痛み」を伴わせ、数字の「嫌悪感」、しかも青色の書記本を手に持たせながら行い、同時にローマ教皇自ら「呪文」のようなお祈りを、その数字に呪術するのだ。

端から見ると無茶苦茶な光景である。

だがそれは、強烈なキーワードになった。

こんな無茶をされれば、脳神経に強くインプットされる。

ベネディクトは、どれか1つでもハマれば「記憶」を思い出すだろう…と半ばあきらめ半分で思いついた案であった。

それがハマったのだ。

皆の羨望の視線を、苦笑いで躱した教皇である。

それは「只のマーキングなんだよ」とは、とても言えなかったし、イエス・キリストの教えに、そんな魔法のような呪文なぞ存在はしないのだ。

本当に適当な、それらしい言葉を並べただけだった。

ベネディクトは顔を赤らめた。

「これは…本当の事は絶対に話せない。」

………………

ビル・ゲイツの演説のような説明が終わり、各々やるべき用意をする為に解散した。

そして、その日に彼等とサン・ピエトロ大聖堂は「トランプ大統領の宣言」した瞬間にタイムループした。

ミッシェルが希望し異動した「CERN」の世界線に融合し出現したのである。



【2005年 CERN敷地にサン・ピエトロ大聖堂出現した世界線】

教皇のキャンピングトレーラーでの会議を終えた。

計画は実行されるのだ。

この世界線での仕事は終えたのだ。彼等は、次の世界線に向けて本格的に始動する事になるのだ。

バチカンの捜査は、ベネディクトの鶴の一声でステイされた。

そして翌日。

ロレンツォが見守る中、ベネディクト教皇と12名はサン・ピエトロ大聖堂と共に消えた。

さらに不思議な事が起こる。

翌日には大騒ぎになる筈である。

サン・ピエトロ大聖堂や教皇達が消えてしまったからである。

しかし、何ら騒ぎにはならなかった。

何故なら、CERN敷地内に「サン・ピエトロ大聖堂」は出現は初めから無かったからだ。

バチカンの誰もCERNには駆けつけてはいないし、CERNにも何も起こっていない。

何事もない日常がそこにあった。

狐に化かされたようだった。

サン・ピエトロ大聖堂が現れる等と荒唐無稽な現象は初めから起こっていないのである。

そして、消えたはずのベネディクト教皇もバチカンに何時ものように存在していたのだ。彼は何事も無かったかのように普通に執務をこなしていた。

しかしベネディクトは、この年2013年に体調不良で生前退位を宣言した。これだけは変わらなかったのだ。

集った12名も、この世から消えては居なかった。

彼等は、何事も無かったかのように存在し日常生活をしていた。

そして、そのまま時間が経ち、歴史通りに2017年にトランプ大統領が就任した。

そして2018年7月にトランプ大統領が「宣言」をした瞬間…ミッシェルが居る世界線へとタイムループし、世界線がMIX融合したのである。




【201☓年 CERNサン・ピエトロ大聖堂 地下】

【CERN 6日目 13:40】

「ちょっと待ってよ。」

バチカンの地下執務室。ロレンツォはこれまでの経緯を話していた。

が、ミッシェルが話の腰を折る。

「何を言っているか、さっぱり分からない!意味が理解できないわ。」

ソファから立ち上がる。

「平行世界?…でも、私もこんな不思議な体験をしているから、それは信じられるわ。

話したくれた世界線…ゴチャゴチャ過ぎて理屈が全く合わないわ。

ま、でもあれよね?ここも、そのサン・ピエトロ大聖堂だから理屈とか通用しない世界よね?

うーん…。

仮に、その「リアルタイム/現世」を私達がいる居るこの世界線として【A】とするわね。基本の世界線ね。

【B】がベネディクトだけが200年くらいループして閉じ込められてた世界線。

【C】が2005年にCERNにサン・ピエトロ大聖堂が初めて現れた世界線、

【D】は【C】が出現しなかった世界線で、ベネディクトと12名のメンバー達が会議をしていたら【B】の世界線の終わりの日にスライドした世界線。

でもあれね?【D】の世界線は【A】と同じか、近いのかもね。ま、別の世界線としておきましょう。

で、共通事項は、

それら全ての世界線は「2018年7月」が来ると「2000年」にタイムループするって事でいいわよね!?」

ミッシェルは身振り手振りで、デスクでニヤニヤ眺めているロレンツォに聞いた。

彼は頷いたので合ってはいるようだった。

「それでね。貴方の話をまとめると…

【A】【B】【C】【D】は同時進行していて、例えば時間を線として下に流れて行くとすると…。

【A】【B】【C】【D】と同じ時間を2018年7月に向かって辿ってる最中に…。

【C】の世界線の2005年に【B】のサン・ピエトロ大聖堂だけが忽然と現れたと。

で【C】の人達は、ヨハネ・パウロ2世に説得され666のシンボルの数字と大聖堂を見て【B】での自分達が繰り返されていた出来事を思い出した。で、大聖堂と共に消えた…。その後は何事も無く2018年まで時間が進みリターン。だよね?消えた人達は【B】に融合して結局【D】の自分達にスライド融合…じゃない?

【D】の人達は、ヨハネ・パウロ2世には合っては居た。で2005年にCERN敷地内にサン・ピエトロ大聖堂は現れていない。…それぞれ、その分野で頭角を現してDSに関わり、そして被害を受けてDSのトップのトカゲ人間を知る。それを打倒する為に「アヌンナキ教団」グループを作って会合していたら【B】の世界線の最終日2018年7月にスライドしたと。これは実験の成功の印で皆喜んだ。【C】の人達も、実はここにスライド融合していた…。で、その日にタイムループして2000年の元の【B】や【C】【D】の世界線に戻るのでは無く【A】の私達の世界線にサン・ピエトロ大聖堂がCERNに移動し融合したと。」

ナゾナゾの問題を解く子供みのように、ミッシェルは、体いっぱい使って表現した。

変な体操みたいで、ニールは顔を背けて苦笑いした。

「うーん、話しててもサッパリ分からないわ。」

ミッシェルはソファに深く座って天井を見上げた。

「この地球の平行世界は、実は幾つも存在しては無いんだ。管理する数は限られている。」

ロレンツォがそう言うと、自身のデスクから立ち上がり歩き出した。


「現代科学での概念では、無限にパラレルワールド/平行世界は存在するのではないか?人の意志、選択や決定が枝分かれして分岐して並行した世界があるはず…それは無限に、無数に平行世界は出来るのでは?くらいの空想か想像のレベルだ。」

ソファの後ろの棚の引き出しから何かを取り出しポケットにしまった。

「しかし…この地球や人間を創ったのは絶対的な科学力を持つ宇宙文明レベル7「セブンズ達」の創造主達。

我々の想像を遥かに超えた科学の力で創られたのは事実だ。そして、平行世界。この平行世界も彼等が人工的に創ったらしい。らしい…と言うのより「出来てしまった」と言うのが正しいかな。

で、セブンズ達は管理している平行世界は全部で9個だ。それ以外は消えてなくなる。

管理されていない野良の平行世界はあるようだが不安定で消える定めだな。

…ミッシェル。アンタが言った話は本質をついていたよ。

平行世界はそれぞれ、チャンネルが違うんだ。我々が持つ周波数の基礎の数字が9つとも全部違う。周波数が合わないんだ。だから、他の平行世界は、こちらからは見えないし、こちらも向こう側からは見られないんだ。

巷で言われる「マンデラエフェクト」現象は、そのチャンネルが合ってしまい、平行世界同士が重なった時や、あの繰り返すタイムループで発生した融合で現れた時の異常現象だな。

現在の地球の地理はドンドン変化してきている。島の数が増えたり、大きくなったり、国の地形が怖ろしく変化しているのを知っているか?

日本では「神社」が多数出現してきている。また知らない人間が出現したり、聞いた事の無い歴史的事件や、有名な事件の真相が明らかになってきたりしている。世界的な絵画や著名な美術品が変質を繰り返してるそうだ。亡くなったと思われる人間が翌日に普通に生活していたりするそうだ。世界線が融合したり離れたりした時に起こる現象だ。

殆どの人類は、その変化には気が付かない。魂が繋がっていながらな。ま、彼等はゲームで言う所の「NPC」みたいなモノだな。

ここのCERNの加速器が、世界線融合の全ての原因だと思われたが違ったようだ。

俺も、それを知るまでは加速器が原因だと思っていたんだ。

ロレンツォの記憶では、どうやら、それは発端であり導火線だったんだな…。」

言い終えてロレンツォは、何故か執務室のドアを開け放った。誰が来るのか?

そして振り向いて話を続ける。

「おかしな問題が発生した。それで全ての辻褄が合うんだ。

それは「J」達が、2000年にトカゲ討伐に成功した事。

その世界線がいつの間にか無くなっているんだ。」

ミッシェルとニールがビックリして反応した。

ニールがソファから勢い良く立ち上がった。拳を強く握り彼を睨んだ。

「ちょっと待てよ!ロレンツォ。あんた何で「J」を知っているんだ!アンタは何者なんだ!?」


ロレンツォはニャっと笑って、棚から取り出したモノをポケットから出した。

それを徐ろに頭に被ったのだ。

それを見た凄い形相をしたニールが突然、膝から崩れ落ちたのだ。

下を向いて震えていた。

ミッシェルは何が起こったのか理解できないで戸惑っている。ソファから立ち上がり不安そうに2人を交互に見た。 

そして、崩れ落ちたニールが笑いだしたのだ。

涙を流しながら大笑いしていた。

そしてニールはロレンツォに何か言って抱きついたのだ。小さな子供用の「白色の帽子」をロレンツォは被って笑っていた。

いや、あれは司祭が被る白色の「カロッタ」だ。

ロレンツォの中の人は仲間らしい。


どうやらロレンツォは、ニールが使っていた不思議なシステムで、ロレンツォの精神にサイコダイブしたのであろう。

2人は、ハグして固い握手をしていた。

お互いの近況を話しているようだ。ニールは面倒な顔をしている。

結構込み入った話をしているようだが彼等はミッシェルを見た。

そして不思議な顔をして2人を見ているミッシェルにニールが笑顔で振り返った。

「Hey!ミッシェル!彼は大丈夫だ。俺たちのエブリィワンのリーダーのインディだ!インディ・ホワイトだ。」

ニールに肩を持たれ、こちらを見るロレンツォが破顔で笑ったのだ。驚いた。あのターミネーターが笑うなんて…。

子供みたいに笑うロレンツォ。

あの怖かったロレンツォが?

…ミッシェルは吹き出した。

彼女も2人と同じく笑い出したのだ。

その時。

先程、開け放っていた執務室のドアから突然人が入ってきた。

「Hey!Hey!Hey!なんだ?楽しそうだな?パーティ会場はここで合ってるかい?」

入って来たのは、スーツ姿の大柄な男だった。威圧感がある。

ロレンツォより、背は低いが、この男は幅がある分迫力がある。

ロレンツォとニールは、振り向いてハグをしていたので、この男も仲間なのだと察した。

陽気な男だった。

「このビューティフルレディーは何処のお姫さまなのかな?」

にこやかな笑顔をミッシェルに向けた時に彼女は気が付いた。

「米国の大統領!?トランプ大統領さん?…What's happen!ce qui s'est passé?」

握手された手が大きくゴツくて安心感があった。

「Johnとお呼びください。マドモアゼル!貴女の御名前は?」

引き込まれるような笑顔である。

「ミ、ミッシェルです。ミッシェル・フォーリーです…。」

ぎこちない動きで、目を丸くするミッシェルを見て、ニールとインディは爆笑していた。

「おいおい、俺を忘れるなよ。」

また1人、開けたドアから人が入ってきた。背が高い、ロレンツォと遜色ないくらいだ。

魅力的な笑顔のこの男は…何処かで見たようだ。

ニールが、その男と握手していた。

「Hey!「J」!貴方は何時も突然現れるね!ここのゲートがあったんですか?
あ!それより、僕の身体のメンテは誰が見てくれてるんですか?」

「あ!」

とミッシェルは気が付いた。モニターで見たイケメンのおじさんだった。

あのモニターでニールの下半身を盗撮した「J」と言う男だ。ジーンズ姿のお洒落でラフな格好だった。

「J」はニールの肩を叩きながら握手して

「このサン・ピエトロ大聖堂はゲートの巣窟だったよ。Johnも簡単にこちらに来れたしな。

あ、君の身体は心配するな。バイト代を弾んだら「Q」が急いで来てくれたよ!「Q」が君の面倒を見てくれている筈さ。」

困惑した顔になるニール。

「Oh My God…。彼女にアレを見られるなんて…。」

また崩れ落ちるニール。アレとはオムツ姿の事だろう。

どうやら「Q」は女性らしい。

それより、ニールが「Oh my god!」と叫んだ時、インディとトランプ大統領は腹を抱えて大爆笑していた。

崩れ落ちたニールの肩を、大笑いしながらバンバン叩く大統領。

インディも「J」の肩を叩いて「返事してあげればいいじゃないですか?」と爆笑していた。肩を抱いて爆笑していた。

何が可笑しいのか分からなかったが、よく笑う男達だ。

ミッシェルは何が起こっているかサッパリ分からないが、気持ちよく笑っている、この男達を見て何故か心地よかった。

彼女は、摩訶不思議なオカルトの世界に巻き込まれ、とんでも無い壮大な話を聞かされて不安でいっぱいだったのだ。

よく分からないが、この男達に全て任せていれば大丈夫な気がして肩の力が抜けたのだ。


…………………

賑やかだった。

ドナルド・トランプ大統領がロレンツォのデスクにドッシリと座り、タッチ式キーボードを楽しそうに操作してロレンツォに怒られていた。

それを見てソファで笑うJとニール。

テーブルの上にはトランプ大統領が持ってきた「変な形で変な味の御菓子」が置かれていた。

「J」は、それが苦手らしく嫌な顔をしてに見つめていた。そして立ち上がりインディの肩に手を置いた。

「ドグ…いやインディ。本当に君の献身には感謝するよ。君のお陰だ。本当に感謝するよ。」

彼は頭を掻きながら話した。

「止めて下さいよ。本当に…さっきも感謝貰いましたし…。俺はやりたいからやっただけですから。それより「J」や「A」が過ごした世界線の消滅なんですが…。」

「J」は横で突っ立っていたトランプ大統領を引っ張ってソファに一緒に座わらせた。

「…俺達が「2000年にトカゲ討伐した世界線が無くなってる」て話はやはり本当なんだな?」

トランプ大統領が強引に座らされたのを根に持って「J」の口に「変な御菓子」を掘り込んだ。

「J」は目を剥いたが、何とか飲み干したようだった。

そして不味そうな顔でロレンツォ…中の人のインディに訪ねた。

「間違いないですね。この俺…ロレンツォの記憶では、それ自体が消えて無くなった世界線になったようですね。学者達も全員確認してるようです。」

彼は、トランプ大統領が触っておかしくしたパソコンを修正しながら答えた。

トランプ大統領は、今度はテーブルの「カエルの形」をした「変な御菓子」を見つけ「J」に見せびらかしてから、うれしそうに頬張っていた。

ミッシェルは思わず吹き出してしまった。

これでは、インターナショナルスクールのヤンチゃな学生寮の男の子達のようだ。いい大人なのに…滑稽で笑ってしまった。

「J」は、John事、トランプ大統領の嫌がらせに眉を潜めながら話した。

「なるほどな…まさか、こんな現象が起きるとは思わなかった。
サン・ピエトロ大聖堂だぞ?あの質量を移動させるとなると意図的に行われる可能性しかないぞ。
こうなるとあれだな?John…。【M.e  hypotheses】や【Project M.e】は、仮説では無くなったのかもしれないな…。」

トランプ大統領は、お菓子袋からまた変な形のお菓子を見つけようとガサガサやっていたが…

「それは否定できないな。だから仮説なんだが…。実際にソレが発現するとは思わなかったけどな。それが事実なら大騒ぎになるな。」

急に険しい表情になったトランプ大統領を見てミッシェルはビックリした。

「それでも、シナリオの修正には問題ないんだろう?それより「A」は一体どこに行ったんだ?」

真面目な顔つきのトランプ大統領は迫力がある。

「これを見てください。」

インディが、トランプ大統領がイヂったタッチ式キーボードの修正を終えたのか、改めて操作して部屋の大型モニターに映像を映した。

そこには、サン・ピエトロ大広場にある「オベリスク」が写っていた。

「その【M.e】ってのは、よく分かりませんが。…取り敢えず学者達が纏めた案件を情報として報告しますね。

今回の「サン・ピエトロ大聖堂移動」はセブンズ達が関与して無い事がハッキリしています。

別の存在ですね。

で、学者達は、この「オベリスク」が大聖堂を移動させる核として指摘してますね。

このオベリスクはセブンズ達が作ったゲート移動用システムです。

ベネディクト16世やヨハネ・パウロ2世に福音を齎した「神」は、どうやらサイコダイブしたモノはセブンズ達では無い…他の大いなるエネルギーの塊だったようですね。

そいつがセブンズ達の「オベリスク」を勝手に利用してゲート移動させたようです。

セブンズ達とは違う、何処かの別の宇宙人?がコンタクトしてサイコダイブしたのでは?と結論付けていますね。

で、この身体の持ち主、ロレンツォがベネディクトに内緒で聞いた話では「それは無邪気で無垢なエネルギーの塊」だそうで、何故かバチカンに好意を持ってくれていたそうです。「愛を感じる」とも言ってました。

最初は「主の導き」と感じたそうでが、200年もの長い間平行世界に居たベネディクトが出した結論は「その存在はセブンズ達と匹敵するエネルギーを持った者」だそうです。

そして不思議な事に、自分達バチカンの願いを具現化してくれたとも言ってました。

バチカンの「聖マラキの予言」の出現もマンデラエフェクトではないか?と考えていて、セブンズ達は関与していないのでは?バチカンを応援してくれている。その「別の存在」の仕業だろうと考えていたようですね。都合よく使徒の12名を指定している点も解せないようです。

そしてバチカンにトカゲ人間を滅する科学力を得られるよう後押しした…。また死海文書のシナリオも理解しているようで邪魔を全くしていないのが不思議である、と。その存在は未来視を持っているかのようだとも言ってます。

CERNの科学力のある場所に、バチカンのサン・ピエトロ大聖堂を引っ付けて出現させたのも「科学力を身に着けさせる」意味が大きいようです。

で彼等が、200年分の先の科学力で得られた「神の粒子」もセブンズ達に比べれば、稚拙です。しかし、この世の秘密を解明させられるくらい重要でしたね。

そして「人の特異点」。

これも未来視があっての事だとも。この「人の特異点」がサン・ピエトロ大聖堂に出現した時点で「リアルタイム/現世」と融合し、死海文書のシナリオにキレイに繋がる仕掛けをした。とも話してます。

そもそも、その存在は、オベリスクを利用の仕方を知ってました。これはセブンズ達が移動用に使っていたのを知ってる証拠になる、と。」

モニター映像が古いエジプトの風景に切り替わった。インディが続ける。

「お2人は、既にご存知の話だと思うのですが…地球創生から始まった「人類の歴史」は、エジプトから始まっているとされてます。現在でも「創造神話」という夢物語がありますが史実を指したモノと認識していますね。

トカゲ人間やドラゴニアンヒューマノイドの獣人やらの労働用アバターが混在していた時期でした。「創造神話」はセブンズ達が地球を創造した事柄を指しているようでした。

ピラミッドも多数あったのは宇宙から「物資」「エネルギー」を送るためのゲートでした。現在の巨大なピラミッドは「ギザの大ピラミッド」と呼ばれてますが、あれより大きなピラミッドが「電気の貯蔵庫」または「発電所」として稼働していたそうです。

オベリスクは周波数を限定広域に限り強力なエネルギーを出せるので、場所ごとの移動用に設置されたものだそうです。

実は、200年の研究でエジプトから始まったとされる文明は、本当は東の国「日本」から先に始まったそうです。

日本の文明は、エジプト先王朝時代より古くて、日本はピラミッドだらけだったそうです。

一番大型のピラミッドは日本の邪馬台国と呼ばれる地にある「不死山」と呼ばれる大きな山を利用したのもでした。

現代では「富士山」と呼ばれてますが、この元ピラミッドは、世界線が重なる毎に世界中の国で「富士山と似た同じ様な山」がマンデラエフェクトで出現が確認されてます。いろんな世界線で、このピラミッド山が利用させれていたるのでは?と仮説が立てられてます。

その元の日本のピラミッドは、現在は今でも各地に多数存在し、それは「神体山」と言って使い古されたピラミッドの遺跡みたいに「普通の山」として実在しているようです。

日本の文化カルチャーでは「山には不思議なエネルギーがある」と昔から恐れられているのは、実は昔はピラミッドとして稼働していて、本当にエネルギーを生む場所だったから、に起因しているようです。

その日本では、オベリスクではなく「Torii」と呼ばれるゲートを多数用意していたそうです。

日本は、地球で最初の文明が栄えていたそうですが、エジプトに空間ごと転移したようです。

これも「あの存在」が関与したのか…それとも、セブンズ達の気まぐれなのかは分からないそうですが、ピラミッドは日本が最初だったようです。

で、オベリスクなのですが、先程ニール達とここに来る途中に実際に確認しましたが…やはり改造されてましたね。

ベネディクトもロレンツォに話してましたが12名の中に「怪しい動きをする裏切り者がいる」と。

どうやら12使徒達は一枚岩では無いようです。この科学力を持って何かやろうとする者がいるようです。」

黙って座って聞いていたミッシェルが我慢できずに話の腰を折った。

「あれよね?サン・ピエトロ広場に来た時に貴方はオベリスクを調べてたわよね?何か見つかったの?」

いろいろ聞きたい事があったが、過去のトンデモ話より、現在進行形で危なそうなのは「オベリスク」だからだ。

「ああ、電力が繋がっていた。これまでは「謎の存在」が「サン・ピエトロ大聖堂」を気まぐれに世界線移動させてたが、裏切り者が任意で自由に「サン・ピエトロ大聖堂」を移動できる改造だと思う。タイムマシンの実験機で見たケーブルのデカいのが連結されてたよ。」

黙って聞いていた「J」もインディに向かって聞いた。

「なるほどな…。ドグ、情報は理解したよ。俺達の世界線は消えたと言うのも納得できたよ。俺達が2000年にトカゲに戦争を仕掛けて勝利して…それで平和な世界が訪れた筈。

それを嫌がるDSの残党がCERNが悪意を持って加速器を回した事。その歪で時空に異変が起こった事。2000年から201☓年を何度もタイムループした事。

討伐成功→平和→討伐前に逆戻り→討伐成功→平和→…。

「A/エース」がそれを阻止すべく加速器を止めに単身乗り込んだ事。そして「A」が行方不明になった事。その世界線が無くなってしまったんだな?」

これは大問題であった。その世界線はセブンズ達のシナリオ、所謂、死海文書のシナリオ通りの事しか起こらないからだ。

それ程、セブンズ達のシナリオは絶対である。

地球や人間を創造した絶対的な科学力を持つ神なるセブンズ達。そのシナリオが狂う事は有り得ないからだ。

セブンズ達に匹敵する大きな力で、その世界線を消してしまった。トカゲ討伐のない2000年の世界線に強引に消されたのだ。

そして、インディが淀みなく答えた。

「その通りです。別の存在が関与した結果、その世界線は野良になり消えてますね。セブンズ達の科学力を凌駕する凄まじい科学力ですね。

しかし、ソイツの動きは死海文書のシナリオに即した動きでもあるので「エース/A」はまだ消えてはいないですね。

何より「エース/A」はキーワードになる「特異点」でした。

俺が日本の「イヅモタイシャ」で「エース/A」と「マックス」と一緒に任務に着いて居たのですが「エース/A」がその場で消えました。

「J」も知っている通り討伐対象のオリジンは実は仲間でした。

オリジンは「Y/ Yehûdâh」と名乗ってました。何らかの影響か作用で消える寸前だったようです。

ファーストトカゲの身体では無く、でっかい菩薩様の身体で、でっかい広間で寝ていましたよ。何億年寝るとかトボけた事言ってました。

アイツ…何だが中間管理職のおっとりしたサラリーマンみたいでしたよ。」

と、インディが話した瞬間に「J」とトランプ大統領が膝を叩いて大笑いした。

本当によく笑う男達だ。ミッシェルとニールもよく分からないが釣られて笑っていた。

インディも何がツボで笑ったのかよく分からない風体で顎をポリポリとかいていた。

「えー…で、ですね。彼は「エース/A」を知っていました。消えた事も理解してました。

何でも、世界中の何千と言う複数の魂の思念をキャッチして「世の中」を見ていたそうです。

何千台のテレビモニターを一度に見てたイメージだそうです。だから、世界情勢は誰より詳しく俺達が潜入するのも知っていましたね。

たぶん、このサン・ピエトロ大聖堂が出現と「Y」が世界線から消える事は関連性があるかと今は思います。

ヤツも「エース/A」を助けたがったようですが、消えかけの身体らしく俺の魂を飛ばしました。

「Y」は「A/エース」のいるCERNサン・ピエトロ大聖堂に俺の魂ごと此処に飛ばしたようです。

まぁ、どうやって来たか全く覚えて無いんですがね。

この男…「ロレンツォ」に強制的にサイコダイブさせられました。

「Y」の力で「ロレンツォ」は眠っていますね。起きてもいないので今の出来事も見てもいません。「Y」は、それで力尽きたのか消えて無くなった感じはします。

で、この男、ロレンツォからの情報は貴重です。ここの全てが理解出来ましたから。チートですね。でロレンツォの記憶からは「エース/A」の居所は分かりました。」

ザワつく男達。誰彼ともなく

「何処だ?」「何処にいるんだ?」

3人とも立ち上がってインディを見た。

インディは自分のデスクに座ったまま、冷静に指を差した。

「目の前にいますよ。ま、本人の「エース/A」の魂は寝てますけどね。」

指を差されたのはミッシェルだった。

「え!?わたし?」

彼女は、素っ頓狂な声を放って、慌てて立ち上がった。


【エピローグ/Epilogue】

「ああ、わかった。ビル・ゲイツが3人の研究員とロバート博士を襲って逃走中なんだな?
で、襲われた彼等の様態は?ロバート以外は絶命か?…わかった。
今のままジョーが、この件を仕切れ。
人員は好きなように使え。
俺は、ドミニクと一緒に、これからCERNに向かうが別働隊と言う事で期待するな。連絡だけは入れてくれ。」

部下のジョーから緊急連絡が入っていた。

4人に状況が聞こえるようにインディはスピーカーに切り替えた。

電話を切り4人に向き直った。

「ま、聞いての通りです。先程、話しそびれましたが例の「裏切り者」の話なんですが…。

このCERNで連続殺人事件が起こってます。

被害者は、F棟のゲイパンの女性を除くと、使徒12名の中の3人ですね。

それと今回の3人と合わせて6名が死亡です。死んだのは全て使徒の人物達ですね。」

インディは話し終えると額に手をやって、しかめっ面になった。

「うーん…たぶん、今回の連続殺人事件は、その使徒の人物達の「ベネディクト書記」のBlue Bookを狙っての犯行だと思われます。

あれは、貴重な本物の死海文書のシナリオです。12人のBlue Bookを揃えないと「読めない」ようになっているので。殺してでも欲しかったんでしょう。

3名ともBlue Bookは行方不明です。
今日の3人の分も調べますが…たぶん獲られているでしょうね。

でも…まかさビル・ゲイツとは思いませんでしたが…。」

「J」が話を切り出した。

「殺人事件は穏やかじゃないな…。ビル・ゲイツか?アイツは確かコピーがいるんじゃないか?精巧すぎて不思議だったんだか…ここで造られたなら辻褄は合うな。本物かどうか確かめたほうがいいぞ。」

トランプ大統領が暇そうにあくびをしていた。

インディがそれを見て苦笑いをした。外に出る支度を始める為にデスクを立ち上がった。

「で?お2人はどうします?俺はニールと共に「裏切り者」探しですが…ついでにビル・ゲイツも探してきますよ。」

「hahahaha!よし!俺もついでにお前達と一緒に探しモノに付き合うぞ。」

笑いながら立ち上がるトランプ大統領。腕をブンブン振り回している。

それを無視して話を続けるインディ。

「さっき話した、タイムマシンを使って他の平行世界線を全部破壊する為の「地球を消す超爆弾」「人間だけ消す爆弾」をこのサン・ピエトロ大聖堂で探すのか?

それともミッシェルを連れてゲートから出ていくか?どうされます?」

インディはスーツの上着を一旦脱いで、防弾チョッキを着込まながら「J」に聞いた。

「コイツは、今日はオマケだからゲートで仕事に戻らせる。」

「J」は立ち上がったトランプ大統領の横に立ち並んだ。肘打ちを食らわせた。

「Ouch!わかったよ。オマケは仕事に戻るよ!」

と立ち上がり姿勢を正し、真顔でインディの肩に手を置いた。

「Thank you. Farewell hero.」

振り返った彼は陽気な笑顔に戻った。

「じゃーな!若者達!励めよ!」

トランプ大統領は、笑いながら片手を上げ振り向かずに部屋を出ていった。

華やかで賑やかな男だった。

「さて、それじゃ俺達は、サン・ピエトロ大聖堂で探し物をするとしょうか。」

手招きされたミッシェル。

「え?俺達?私?」

目を丸くし狼狽えるミッシェルの「リアクション」が、やっぱりヘンテコで、3人は大笑いした。


ミッシェルは先程、インディから聞いた話が頭から離れなかったのだ。

「で…200年も先の科学力を進歩させて研究し尽くした結果なんですか…彼等は【この世界は実体のあるバーチャルリアリティ】だと結論付けてますね。セブンズ達が創ったのは、どうやら「生命」や「成長」「時間経過」やらの実体をともなった仮想空間になるそうです。そりゃそうですよね。だって、ゲートで時空移動したり。何より人間がアバターなんですから…ねぇ?」

インディがロレンツォの自分の顔を指した。

ニールはミッシェルは、共に仰天し驚いたが…。

「J」とトランプ大統領は実に陽気に笑っていたのだ。


■■■■■next

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?