マンデラ小説「M.e」EPISODE3 第4話「ヒッグス粒子と神の粒子」第5話「サン・ピエトロ大聖堂と死海文書」
【201☓年 5月 CERNスマートシティ】
【CERN 4日目 pm15:10】
フランスとスイス・ジュネーヴの間に存在する「欧州原子核研究機構/CERN」。
この場所のタイムラインは狂っていた。
あり得ない事態が起こっているのだ。
本来、CERNの加速器は全周 27km の円形加速器の1基みだった。
それが…驚く事に事に71kmの加速器が出現していた。
加速器は2基存在する事になっていた。
そして135キロの超巨大加速器が建設中でもある。
何か大きな狂いが生じていた。
物理法則を全く無視した出来事が、この地で起こっていた。
そして、2030年に全世界のスタンダードになると言う「スマートシティ」と言う実験都市にCERNがなっており約3万人以上の人々が住んでいる場所に変質している。
本来は都市ではなく、只の実験施設だ。
WHO/世界保健機がCERNを表向き管理しているが実質的にバチカン市国がCERNを統制し介入していた。
何故か「サン・ピエトロ大聖堂」「サン・ピエトロ広場」「バチカン・オベリスク」「システィナ礼拝堂」と、そのものがCERN都市中央に存在している。
「サン・ピエトロ大聖堂」達は「特異点」であった。
また施設棟が1つ増え、バチカンと米国が管理している「B棟」と呼ばれていた。
このB棟では、恐ろしい実験と研究が行われている。
驚くべき事に「ヒッグス粒子と呼ばれる謎の粒子」の固定化に成功していた。
これだけは隠された事実である。
本来のタイムラインでは「ちょっと見かけた」程度のアナウンスだが、本当は既に取り出しに成功していて実験段階であった。
しかし、この異様な世界では、さらに「取り出し流用」して進化しているのである。
「ピーター・ヒッグス博士」が予言した「ヒッグス粒子」では無い「謎の粒子」。
正式に固定化に成功したのは「ヒッグス粒子と呼ばれる何か」であり、この粒子が「神の粒子」と呼ばれる奇跡の粒子であった。
神の粒子を使って出来たのは…
「タイムマシン」「時空のゲート移動」「人体治療」「不死」「人体強化」「原子力発電を超えるエネルギー」等の開発が一気に飛躍的に実現化したのだった。
そして「地球を消す超爆弾」「人間だけ消す爆弾」も生まれた。
この「神の粒子」…
これを独占し隠蔽しているのがバチカンと「アヌンナキ教団」である。
それを利用した様々な研究開発。
…恐ろしい計画が進行中でもある。
現代の物理法則を無視しタイムラインが狂ってしまった原因は、CERNの大型加速器が問題であった。
元々CERNの1基だけだった加速器。
世間に知られている本来のCERN施設。
これを「Ruler/施政者達の組織」が、意図的に悪意を持って加速器を回した事が原因だった。
その加速器を回した結果、意図しない事態になってしまった。
それは…「Ruler/施政者達の組織」を乗っ取ろうとする「アヌンナキ教」が中心となり、怖ろしく異質なCERNが突如として現れたのだ。
この「アヌンナキ教」が、摩訶不思議な出来事「特異点」の発現を知りタイミングを狙って横から邪魔をしたのである。
練られた計画であった。
その「アヌンナキ教」が副作用を上手く利用したのだ。
Ruler/施政者が意図的に悪意を持って回した加速器。
副作用で時間軸が狂ってしまった。
2000年から201☓年を何度も繰り返し人類は時間を前に進めなくなっていた。
根本的に大きな問題が発生していた。
それは「世界中の誰もが気が付かない」事である。
ただ…勘の良い人やスピリチアルに敏感な人達は「…また、世界線が変わった」等と感じられる人達が増えたのである。
世界中で異変を感じている人間が増えたのだ。
そしてマンデラエフェクトと呼ばれる奇異な事象に気付く人達も世界中に増えてきた。
あからさまに、不思議な事象が日常に現れたのだ。
CERNの加速器によるタイムループが大きな原因であった。
そしてサン・ピエトロ大聖堂の「特異点」の発現。ランダムにCERNに出現したのである。
それに先に気が付いたのが「アヌンナキ教」だったのだ。
元々、CERNでは「ヒッグス粒子と呼ばれる何かの粒子」=「神の粒子」を固定化に成功していたのだ。
隠された事実であった。
それを先に利用したのがフランス政府だった。
しかしとある実験が失敗した。
多くの人達の命と財産を奪ってしまった大惨事を引き起こしたのだ。
これを隠蔽しフランス政府を救ったのが「バチカン」であった。
それを境にバチカンがCERNからフランス機関を追い出し「アヌンナキ教」と共闘していたのだ。
「特異点」のサン・ピエトロ大聖堂…これが出現したタイミングを狙い「フランス政府を陥れた」のであった。
練られた計画である。
何度もループし「蓄積した超科学力」をベースに加速器を増設しスマートシティを作り上げたのだった。
ループした回数を年数にすると200年になる。200年分の進んだ科学力を手に入れたのだ。
しかし、それらを推し進め実現化するには途方もない資本が必要である。
それをなし得たのは米国からの大きなバックアップがあったからだ。
米国国家ではなく個人からの資本であった。
ビル・ゲイツ。
彼のビル・ゲイツ財団からの強力な支援があったからだ。
現在、影の経済支配層のトップである「ロスチャイルド家」。
ビルはロスチャイルド家に対して大きな確執があった。
ビルの「Microsoft社」の事業に、大きな支援したのはロスチャイルドである。
実はそれ以前…会社化する前の学生のビルに金銭的と技術的に大きな支援をロスチャイルドは行っていたのだ。
コンピューター創世記。
「Windows」の発表はロスチャイルドの指示であった。
当時のロスチャイルドは、同時期にApple社にも支援していたが…「スティーブ・ジョブズ」が問題であった。
頑固で融通の効かない「スティーブ・ジョブズ」に頭を抱えていた。
適当な品物を作らないのだ。
ユーザーの利益を第一に考え、こちらの大きな利益にならないのだ。投資した意味がない。
スティーブ・ジョブズが生きている限りロスチャイルドの商売にならないのだ。
そこでビルを唆してApple社が先行開発していた技術を盗ませて「Windows」を先に発表させたのだ。
怒ったスティーブ・ジョブズは、ビル・ゲイツを呼びつけたが「従わないお前が悪い」と悪態を付いた。
その後「Microsoft社」はメジャートップとして大きく飛躍し、ロスチャイルド家を儲けさせた。
そして「Apple社」はマイナーになり没落した。
しかし、大きな収益で増長したビル・ゲイツ。
コンピューター以外の事業に関心を持ち手を出してきた。
ビル・ゲイツ…彼は、実はコンピューター関係ではそれ程才能は無かった。
学生時代にロスチャイルドに支援され
用意された技術や資本を使っていただけなのだ。
Microsoft社が米国がコンピューターで飛躍的に儲かった革新があった。
実は発表した「Windows1」は全く使い物にならないくらいお粗末であったのだ。
爆発的ヒットにはならなかったのだ。
それを凌駕するシステム「TRON」が発明されていた。
これを「Windows」として売り出せば世界的な覇権をも握られる。
これは日本が開発した画期的なシステムであり、世界を席巻する力を持っていた。
これをロスチャイルドが組織を動かし横取りし取り上げた。
日本ではなく米国が開発したモノだと
偽装した。自分たちのモノにしたのだ。
それをビル・ゲイツの「Windows95」として売り出した。
世界的なヒットを呼んで、ロスチャイルドは大儲けしたのだった。
ビル・ゲイツは学生時代からロスチャイルドに用意された物を使っているだけであった。
彼は当初は輝いていた…が、才能も発明も頭打ちで、コンピューターに対して関心も薄れていたのだ。
それが大儲けをして莫大な金が入るようになった事で変わってしまった。
金儲けが生き甲斐になったのだ。
もっと大きく儲けたかったのだ。
コンピューター事業より魅力的だった。
他の事業に投資しをして「投資、回収」に楽しみを得るようになっていたのだ。
しかし、それはロスチャイルド家の畑だ。
ロスチャイルド家の邪魔をして挑発する事になっていたのをビル・ゲイツはすっかり忘れていた。
畑を荒らされたロスチャイルドは怒り心頭だ。直ぐに潰しにかかった。
まずは彼の足元…彼の収益の1つを潰した。
「Microsoft社」の利益を潰すのだ。
「Apple社」に投資をし裏の力を最大限使ってコンピューターのデスクトップからタブレットやスマートフォンへと土壌をひっくり返したのだ。
勿論「Apple社」の厄介者は排除済みである。
投資先の「Google社」にもダメ押しでデスクトップやノートパソコンを潰しに掛かった。
企業以外ユーザーが消えてしまったのだ。
そしてビル・ゲイツ財団が投資していた先を尽く邪魔をして徹底的に攻撃を仕掛けた。
ロンドンに、ビル・ゲイツが頭を下げ靴を舐めに行ったのは間もなくであった。
あの屈辱は絶対忘れない。
これがビル・ゲイツとロスチャイルド家の確執である。
ビル・ゲイツはロスチャイルド家に復讐がしたかった。
そのチャンスを常々伺っていた。屈辱を晴らしたかったのだ。
ロスチャイルド家から回ってくる小さな仕事にも腹が立っていたのだ。
そして、ロスチャイルド家のバックボーンのピラミッドに対抗し、牙城を崩そうとする「アヌンナキ教団」と出会ったのである。
死海文書を持つバチカン教皇と共闘した。
ビル・ゲイツ財団の資本を最大限流し込んだ。
この異質なCERNの「B棟」とはバチカンの頭文字の「B」ではなく「ビル・ゲイツ」の頭文字「B」から取った「B棟」であった。
フランス政府とスイス政府を追い出しロスチャイルド家の関係機関を追い出す事に成功した。
そしてビル・ゲイツ財団の影の組織の「WHO/世界保健機」をここに送り込んだ。
自分達で作ったVirusを撒いて、自分達で作ったワクチンを売って儲ける…ロスチャイルド家のお株を奪う「大規模なパンデミック」計画をも練っていた。
元々、CERNのタイムラインには1基だった加速器。
「スティーヴン・ホーキング博士」がその加速器に対して警告を出していた。
【時空の完全なる崩壊というシナリオの引き金を引いてしまう。粒子に膨大なエネルギーを与える実験が宇宙を飲み込み果ては「壊滅的な真空と時空の崩壊」を引き起こすだろう】
西暦1800年頃から始まった「ディープ・ステート」と呼ばれる「Ruler/施政者達」の組織が世界を蹂躙していた。
欲望の為に世界中の人々を支配しているのだった。
世界中の富と命を自分達のモノとする権力ピラミッドが築かれた。
改ざんされた嘘の歴史を教え、真実の隠し、本当の事柄を隠蔽する。
自分達の都合の良い、自分達の利益に繋がる事を常識とした。
世界中を掌握し全ての人間達を騙し続けた。
それは、己達の欲望の為。
戦争もビジネスだ。
医療も病気を作り出し治すマッチポンプのビジネスだ。
宗教もビジネスだ。
政治はそれらを後押しする為の法律を作り嘘を自国民に押し付ける。
世界中を支配管理し世界中の人々の生死を弄んだ。
驚くべき事に完全なる支配層、権力ピラミッドの頂点が…人間ではなかったのだ。
ルシファーと呼ばれる存在がいる。
それはイギリス地方を中心に古くから地球にいた異形の存在達。
そもそも、この地球や宇宙は創られた環境であった。
地球や人間を創った神とも呼ばれる者達が本当に存在していた。
それは、ファンタジーやミステリアスな不思議な超能力等ではなく、純然たる超科学力のなし得た結果である。
宇宙を創造できる絶対的な科学力を持つ存在「宇宙文明レベル7」。
通称「セブンズ」と呼ばれる。
現在の西暦2000年代の地球の科学力は、宇宙文明レベル0.7と…1にも到達していない。産まれたての幼い科学技術力しかない。
レベル7…そこに至るには何億年とも言われるくらい科学力の差が果てしなく大きい。
例えば、生命の不死は自然界の決まり事。
それを科学力で簡単に凌駕できた。
セブンズ達は肉体を持たない不死の存在である。
彼等が地球を創り人間を創造したのだ。
彼等の本当の目的は不明だ。
創った人間の魂にセブンズ達が憑依し、肉体を持つ喜びを謳歌する為ではないか…。
いや、彼等の中にも悪意ある者がいて、罰する為に「肉体を持たせ」生きる事自体が「肉体の苦痛」を与え苦行とし「刑務所」として地球を利用している…。
が、本当の目的は分からない。
地球にいる全ての人間は、彼等のアバターなのだった。
彼等のセブンズ達の「容れ物」である。
これだけは紛れも無い事実であった。
現在も多くの人間に彼等の魂が入っているのだ。
科学力の天才。
芸術の天才。
発明の天才。
…等、セブンズ達の魂から能力を得られた人間達の存在が多数いた事実も確認できる。
そのセブンズ達が地球の創造段階。
肉体を持たない彼等が人間型アバターを創り魂に侵入し地球に舞い降りた。
何故、2足歩行の人間型アバターを創れたのかは謎である。
そして作業員の肉体労働用のアバターも用意した。
鉱物人間とトカゲを掛け合わせた大型トカゲ人間…。
通称「レプリティアン・ヒューマノイド」3㍍から5㍍の作業員である。
道具としてトカゲ作業員を使い、人間が生活出来るよう懸命に働くロボットでインフラ要員である。
人間のアバターには、セブンズ達の魂が入り科学力を持ってトカゲを指示して人間の街や都市を作った。
その際に、セブンズ達の人間アバターもトカゲの躾の為に10㍍を超える巨躯も用意されていた。
そして、創られた人間達に文明や文化を与えた。
創られた多くの人間達から、セブンズ達は「神」と呼ばれ「トカゲ」達は神の使徒と崇められていた。
それは現代にも、古代の伝承、壁画や遺跡から知る事ができる。
羽が生えた異形の人型。動物と人間の混合種。など彼等の痕跡が今尚、多く見かけられる事実である。
セブンズ達が、各大陸で文明都市を創り運用を安定化した時…
一匹の「トカゲ」が突然変異で知性を持った。
「オリジン」と呼ばれる謎のヒューマノイドレプティリアン。
各大陸で、9つのチームでセブンズ達が手分けして文明創りをしていた。
「オリジン」はその世界中のセブンズ達に、戦争を仕掛け裏切り、追い出して覇権を握ったのだ。
「トカゲ」が世界のRuler/施政者となった瞬間である。
「ルシファー」の誕生である。
セブンズ達の科学力を奪いリセットする技術を何度も使った。
現代学では地球の歴史は何億年とも言われ、人間の歴史は何十万年以上から営みがあった、とされるが…実際は違っている。
今の人類の歴史は200年しか経過していないのであった。
それ以前の歴史はリセットされ存在しないのだ。
トカゲ達が歴史を改竄し、都合よく人間に押し付けている。
例えばエネルギー問題。
これは彼等の要だ。
全世界をコントロールするには「富の集中」が必須だからだ。
そして人類の「生殺与奪権」を握る事だった。
地球環境を創ったセブンズ達は、地球から生まれる無限の電力、石油、ガス等の暮しに必要なエネルギーをも創った。
これをフリー(誰もが無料で自由)で使えるエネルギーを用意してあったのだ。
その取り出し方や、方法やシステムを壊し、隠して利権と言う「世界人類の縛り」を産んだのだ。
世界人類を支配する要の礎だ。
エネルギーを支配されるとは、人類の命を支配する事と同義だ。
殺すも生かすも「ルシファー」次第だ。
地球のエネルギーを支配し、セブンズ達の絶対的科学力を持つトカゲが「ディープ・ステート」と呼ばれる権力者達のピラミッドカーストの頂点にいたのた。
人間ではなくトカゲだ。宇宙からやって来た不死の存在。
おかしな能力もあり人間を操ると言う。
そして自分達のDNAが入ったトカゲ人間達をコピーし量産したのだ。
人の形をしているが表皮が爬虫類のそれだった。
顔もシルエットは人型だが目鼻口が異形だ。
彼等は周波数を操り、見た目は人間に見せる能力があるようだった。
ルシファーや悪魔と呼ばれるのは、トカゲと言う異質な外見による所が大きいようだ。
側近の人間に力と富を与えて豪商/財閥を作らせた。
世界中に国を作らせた。
国王にならせた。
世界各地に残存するセブンズ達が残した国を植民地化する。
近代化と共にトカゲ人間達は西側諸国やイギリスに拠点を築いた。
イギリス貴族、財閥、王家の全てトカゲ人間達が作り上げだものだ。
ロスチャイルド家もその1つだった。
イギリスから世界を支配す。
世界中を植民地化した。
アメリカ大陸も植民地化した。
現在の米国国家はトカゲの手先だ。
そして世界中の国のトップを支配下に置いた。
権力者達のピラミッドが構成された。
そのピラミッドに入会できれば「富」が分配され贅沢が約束されるのだ。
現在ではエリザベス女王がトカゲのトップであると言う。
イギリスが米国大陸を乗っ取り、表立って世界の警察を自負しているが、トカゲ人間の指図で動いている。
米国の主要企業も財閥もトカゲの息が掛かっていた。
逆らう者や告発者達は、大統領だろうが有名人だろうが簡単に粛清されていった。
世界中のテレビや新聞のメディア自体がトカゲの支配下だ。
本当の事や真実は情報が操作されている。
大戦もトカゲの陰謀である。
トカゲに支配されない強固な国も存在した。その国の人々は幸せであった。
それはトカゲ支配者からすると許されない事態。
国民が豊かで幸せな国は「テロ支配者」「世界の反逆者」とメディア操作で捏造し大義名分を持って消しにかかった。
近代は、ソ連と日本だけ反トカゲ国として残ったていたが…
日本は明治時代にトカゲが入り込み明治維新で日本を壊し、現代では日本は既に滅亡してしまっている。
ソ連は足元から牙城を崩された。連邦内部で内紛させられ「ロシア」となり世界から孤立させられた。
ロシアは「悪」としてメディアで操作された。ロシアへの様々な攻撃は息つく暇も無い。が世界で唯一「ルシファー」と対抗出来る国である。
現在も様々な攻撃が続き「ロシア」は動きを封じられていた。
トカゲピラミッドは、その組織を維持する為、各国を支配する事で成り立っていた。
が、大きく成りすぎたピラミッド。
お金を奪い続けられた世界中の人々を、経済的にさらに追い込まなければ、増えすぎた人口を維持できなくなった。
根本的な原因の一つは「働かない人々」が世界中、爆発的に増えたのだ。
増えすぎた人口を淘汰する為に、人類を半分以下に削除する計画を実行すると言う。
水面下でもトカゲピラミッドから裏切り者グループが現れた。
自分達がピラミッドの頂点になりたい私利私欲の者達。
「アヌンナキ教団」と名乗った。
虎視眈々と下剋上の機会を伺っていた。
そしてトカゲピラミッドは、Virusとワクチンを世界中に使い人類淘汰と完璧な支配を狙う計画を立てた。
2020年に実行予定の計画だった。
それを阻止しするグループが現れた。
トカゲを倒して世界を人間の手に戻す為にセブンズの生き残りのメンバーが決起したのだ。
それは滅亡していたはずの日本からであった。
イエス・キリストはセブンズ達のリーダーであり「オリジン」の攻撃から日本に逃げたのだそうだ。
そして少数ながら体制を整えた。
日本の守護神の闇の組織「八咫烏」とロシアのタルタリア人の力も借りた。
現在の「Qアノン」と呼ばる以前のグループ達であった。
日本人達の血筋がセブンズ達の血筋と同じだったからだ。
彼等は、2000年のミレニアムに時空が不安定になる時を突いてトカゲ達に戦争を仕掛け…勝利したのだ。
権力ピラミッドの頂点、悪魔と呼ばれたトカゲ人間が駆逐され、権力ピラミッドが崩壊し地球が人間達の手に戻った。
しかし、平和な時間は長くは続かなかった。
201☓年にCERNが実験で加速器を稼働した。
ホーキング博士の言葉通り、地球全体の時空に大きな狂いが生じた。
2000年の時に、全世界がタイムスリップして戻ってしまったのだ。
そして…全人類は201☓年より前に進めなくなった。
タイムループ現象が発生してしまったのだ。
誰にも気付かれず何度も歴史はリターンを繰り返した。
トカゲ戦争→勝利→平和→加速器→トカゲ戦争…
これに気付いたのがセブンズ達のメンバーである日本人の1名。
名前を「A」と言う。
そしてトカゲグループ内部から裏切った「アヌンナキ教団」も気が付いのである。
勿論、トカゲの残党達も気が付いた。
CERNの加速器を使って生き残りの攻撃を行った。
そして、それ等の影響でCERN自体が大きく変質した。
「特異点」が現れたのである。
それがサン・ピエトロ大聖堂である。
本物のサン・ピエトロ大聖堂が「特異点」としてCERN敷地内にタイムループの影響で現れたのだ。
サン・ピエトロ広場とシスティナ礼拝堂もセットであった。此等は鍵穴の様な形状の敷地毎、CERNに出現していた。
世界線に2つのサン・ピエトロ大聖堂。
神の仕業か?大きな事故なのか?フランス政府、スイス政府…CERN自体が驚愕した。
こんな荒唐無稽のSFの出来事を引き起こしたCERN加速器の実験。
世間に知られる訳には行かない。
その「特異点」を利用した者達が「アヌンナキ教団」である。
フランス政府を陥れる計画を立てCERNを乗っ取ったのだ。
バチカンと手を組み「アヌンナキ教団」は、CERNの科学力を利用したトカゲ討伐を考えたのだ。
ルシファーのトカゲ人間は科学力だけでは駆逐出来ないのだ。
トカゲ退治の為に彼等の弱点である「ドラゴンヒューマノイド」を再び創る事を考えた。
化物には化物を当てる。
CERNのタイムループ現象を利用して力を着実に付けてきたのだ。
そして…この異質なCERNが生まれてしまった。
「A」…彼は、悪意ある加速器操作を止めて時間を前に進めるべく、単身このCERNに潜入していた筈が…
行方が掴めなくなっていた。
………
CERNのF棟にあるフランス政府機関の「GEIPAN/ゲイパン」の事務所。
CSC警察のドミニク事、「Qアノン」のニール達からそれらを説明された。
ミッシェルは、彼が淹れてくれた珈琲カップを持ったまま、一口も飲まずに話を聞いた。
陰謀論を飛び越えた夢物語の空想の世界だ。
そんな突拍子も無い与太話は時間の無駄である。
常識のある人間ならば席を立つだろう。
が、ミッシェルはフランス国立宇宙研究センター(CNES/クネス)の人間だった。
そして広報部として上級職員しか知らない非現実的な公式のトップシークレット案件を幾つも知っている。
何より、彼女がこの異常な変質しをした「CERN」に恐怖していた1人だ。
マンデラエフェクトと言う現象としか言いようがない。
巻き込まれていた。
この事件の前…本来のCERN。
そのCERNが加速器を回す度に、本当に事故が起こっいたのである。
200☓年スペインの航空機エアバスが着陸予定だった空港から5500マイル離れた空港着陸した事件。
200☓年と201☓年の飛行機失踪墜落事件。
そして各地の大型地震発生である。
実際に加速器を回して実際に起こった事象。
因果関係を立証する事は誰も出来なかった。
それは現代科学が、それらの事象に追い付いていない未知の出来事であるからだ。
机上の空論の与太話、陰謀論の範疇、夢物語の事象だからであった。
しかしフランス政府はGEIPANを通じて因果関係を特定していた。
勿論、CERNも知っている。
責任と賠償問題より「己達の利益」を優先した。
そして「ヒッグス粒子」の発見や研究だけの為に、CERNに莫大な設備投資をするお人好し達は居ない。
投資のリターンが「発見」だけでは実りがない。お金を生むベースがそこに存在しているからこその投資だ。
世間的には本当の目的は口外されてないし、ミッシェルも噂レベルでしか知らなかった。
そんな彼女だからこそ「陰謀論」や「夢物語」はリアルで怖い存在だった。
自分の目で見て、体験しなければ全てを信じる事は無い。
…が、この異質な変質したCERNに着て全てを理解した。
そしてドミニク/ニール達の話には、経験的にも直感的にも信じられるモノだった。
そしてミッシェルは、目の前で怖ろしいニール達の超科学を目の当たりにする事になった。
【CERN 6日目 am6:00】
朝はやはり寒かった。
それでも日課のランニングをこなした。
アパートの周りは自然豊かで走りやすかった。
鈍ったのか…いつもの様に走れなかった。
途中、24時間無人のコンビニエンスストアにてミネラルウォーターを買ってきた。
アパートに帰ったミッシェルはシャワーで汗を流した。
タオルで髪を拭きながらカーテンを開けた。
買ってきたミネラルウォーターを一気に飲んだ。
カーテンを開けたと言っても、ボタン1つで自動で開くのだった。
彼女は大きく伸びをした。
軽くストレッチをしてみたが身体がなかなか言う事を聞かない。
が…精神的な疲労が原因だと苦笑いした。
昨日の日曜日は、本当にゆっくり出来たし、夜は安心して眠れたので精神的に楽になっていた。
窓の外からの陽ざしは柔らかく、換気の為に開けた、窓からの空気も新鮮で心地よかった。
この実験都市では各家や建物棟のエアーコンディショナーはオートで動いていた。
室内の空気は何かエアコンが何か細工をしているのか?喉も痛くないし逆に頭が冴えるくらいスッキリした目覚めだった。
しかし頭痛ではないが、硬い感じがする…記憶が重なっている感じがするのだ。
考える事と、自分の行動に違和感を感じていた。
壁に貼ってあった段ボールは既に捨ててある。
何故あれを貼ったのかよく覚えていなかった。
「ま、そうね。こんな変な場所で変な事態に巻き込まれてるんだから、記憶もおかしくなるわね…。」
ふと、手首に巻いた「Smartband」を見た。
これはスマホに、体調のデーターを送っているのだが健康状態はレベル5で最高値を示していた。
「これで通貨ポイントが貰えるなんてね。仕事辞めて健康オタク目指そうかな。」
面白がって洗面台にある体重計にも乗ってみる。
これもスマホ連動してあり「Mother.AI」にデーターが送られて「何が必要で何をするべきか?
」をスマホを通して教えてくれるし、質問をすると最適解を簡潔に送ってくれるのだ。
いつものルーチンの朝食作りはやらない。
ここではF棟のカフェテリアがあり、朝食セットをオフィスに持って行っても構わないのだ。
早起き組はカフェテリアで朝食を頂けるのだ。
ミッシェルは、早めにF棟に着いてカフェテリアで食べたかったのだ。
今日が初出勤。
当初の意気込みとは全く変わってしまったが、逆に大いなる謎が怖くもあり楽しくもありでワクワクとしていた。
フランス政府本店のクネスと違い、髪型は自由だった。本店勤務ではシニヨンや堅い感じのヘアスタイルが多かった。
今日はサイドだけアップスタイルしてバックヘアは下ろしてみた。
子供の頃は両サイドポニーテールにして、クルンクルンと髪が動くのが好きだった。
淡いピンク色のスキニージーンズに、白のシャツ。ジャケットはグリーンを羽織ってみた。ロングの生地が薄めのスカーフは差し色に黄色が入っている。
今日からフレームレスの眼鏡をかける事になった。
姿鏡で全身をチェックする。くるっと回って奇妙なポーズを取った。
ショルダーをピックアップし外に出る。
アパートの鍵は自動で作動するようだった。
ミッシェルが外に出て数歩で「ガチャッ」と鍵が掛かった。
彼女は後ろを振り向いて肩を竦めた。
ガレージで踞るシトロエンにウインクした。
何時もなら、愛車のシトロエンを駆り出す所だが…無料の周回自動運転バスを利用した。
誰も運転していないのに、ハンドルだけが回るのが愛らしくお気に入りになったのだ。
自宅アパートから20分でF棟にバスは到着した。
スマホをかざして下車したミッシェルは、空の青さを久しぶりに見たようだ。
初日からとんでも無い事態に巻き込まれ、頭を抱えていた時を思い出して微笑んでいた。
お天気に感動するのをスッカリ忘れ、落ち着いて来た自分が可笑しかったのだ。
彼女が勤務するゲイパンの事務所は中2階のカフェテリアの奧にある。
最初は「こんな離れのような片隅にあるなんて…左遷された事務所みたい。」と本気で思っていた。
しかし今は「カフェテリアが隣で最高!」と切り替えも早かった。
出勤前に予定通り朝食をカフェテリアで取る。
モーニングタイムはビュッフェスタイルだ。サラダコーナー等は彩りが目を楽しませてくれる。
彼女は、早めに来たので人が少ないと思っていたが…半分くらい席が埋っていて驚いた。
研究室は24時間稼働しているので、朝食と言うより夜食の人もいるかも知れない。
人で賑わっているカフェテリアを見ているだけで、ミッシェルは落ち着いた気分になれた。
トレーに朝食と珈琲を載せている時に後ろから声をかけられた。
「Hi!ミッシェルじゃない?WoW!」
透き通るような華やかな声がした。
振り返ると本店で広報部の仕事の時にお世話になったジャンヌが立っていた。
彼女はゲイパンの人間だ。
彼女は40代。身長はミッシェルより低くいが華やかさがあった。
少しふっくらした体型がそうさせるのか、明るく元気に振る舞う彼女には人を惹き付ける魅力があった。
赤毛のロングヘアーを後ろで留めていた。
白色のワンピースと薄緑のカーディガンが愛らしかった。
ジャンヌこそ、ミッシェルにCERN加速器等の秘密の情報を教えてくれた、その人なのだ。
「ミッシェル!本当に久しぶりね!元気だった?短期出向の話を聞いて本当に驚いたわよ!」
彼女をテーブルに移動するよう促し、先に歩いて案内した。
窓際で観葉植物が周りに囲まれた素敵なテーブルだった。
ミッシェルは笑顔で座るなり、ジャンヌは話し出す。
「どうして此処に来たの?部署が全部撤退してスッカラカンのF棟だからウチしかないか?やっぱり今月末の例のヤツがらみね?」
一方的に話し、ケラケラと豪快に笑い出した。相変わらずだった。
ミッシェルは微笑みながら
「まさか、ジャンヌがここに居るとはい知らなかったわよ。ガブリエルも何にも言わなかったから本当に驚いたわ。貴女こそ、いつの間にCERNに来たの?」
ショルダーを座ったチェアに置いて、先ずは珈琲を一口飲んだ。
美味しい。CERNにきて何度か同じ珈琲を飲んだが、こんなに美味しいとは感じられなかった。彼女はクスリと笑った。
ジャンヌは何も手にしていないのを思い出した。
「あら?ごめん!ちょっと行ってくるわ!」
ドタバタと慌ててビュッフェコーナーに向かっていった。
ミッシェルは彼女の後ろ姿を眺めながら微笑んだ。
今日から正式にGEIPAN/ゲイパンに出勤したミッシェル。
所員は4名だった。
部長のガブリエル。
盟友?のジャンヌ。
初めて会う「ルイス・スミス」だ。
「初めまして、ミッシェルさん。短い間にですが宜しくお願いしますね。」
上品な紳士と言う印象だ。
トラディショナルな茶系のスーツスタイル。やはりノーネクタイ。シャツはブリティッシュスタイルのカラーで白色だ。伊達メガネは濃い緑色だった。
ピンク眼鏡のガブリエルが、皆に改めてミッシェルを紹介した。
彼女は本店の有名人なので、紹介は簡単に終わった。
ジャンヌとルイスは早速事務所を出て仕事に向かった。
「ミッシェル!またね!」
元気な笑顔でウインクした。
ジャンヌとはランチの約束をしてあったのだ。
ミッシェルの仕事内容が大きく変わっていた。
異動勤務ではな無くなっていたのだ。
1ヶ月間の取材の為の出向と言う形で、所属は広報部の在籍のままである。
CERN参加各国を代表して、世界中にプレゼンテーションを行う役目だった。
プレゼンターの取材としてミッシェルはCERNに来た事になっていた。
今月末に稼働する「71キロ級の超大型加速器」を世界にお披露目する大役だった。
マンデラエフェクトではない。
これにはミッシェル自身が一番驚いた事だった。
警察官のドミニクが本当はニールと言った。
「Qアノン」と言う謎の組織の人間でもあった。
そしてニールの組織のリーダーが、ミッシェルの異動をひっくり返したのだった。
異動ではなく短期の広報の取材の仕事に変えたのだった。
政府を動かす程の力があるのは本当に驚いた。
ミッシェルは、土曜日にロバート先生と会って一悶着がありドミニクに助けられた。
そしてゲイパンの事務所でニール達から衝撃の話を聞いたのだった。
【CERN 4日目 pm15:10】
「君が【Sailor Moon】だったんだね。」
ドミニクは珈琲カップを2つ持ってソファテーブルに置いた。
そして彼女に視線を向けた。
「俺が、エブリィ・ワンの「ニール」だ。初めましてだね。」
ミッシェルは驚いて背筋を伸ばした。
JohnBookのサイトの管理者。
「HERO/J」サイト内にあるチャットルームで彼女に警告をしたエブリィ・ワンのニールと言う男。
彼は、このCERNが時間をループする現象…それを阻止すべくやってきた「A」という日本人の男性を探しに来ていた。
彼の所属するエブリィ・ワンは「Qアノン」と言う組織のチームらしい。
他のメンバーはイギリスから日本にトカゲの討伐に向かっているそうだ。
トカゲ討伐の映像を見せてもらったが出来の良い作り物にしか見えなかった…。
彼だけは特別任務として、急遽日本から1人だけ米国に渡りアバターを使ってCERNに着ていたのだ。
「Qアノン」は、米国の4chの掲示板の書き込みで一躍有名になった「Q」と言うハッカーと言う確認は出来た。
彼等「Q」の指摘する事柄は、ミッシェルは事実として認識していたので話は早かった。
なにせ、このCERNはミッシェルが知らない異質な場所に変質していて自身が巻き込まれている最中だからだ。
ニールが「Qアノン」に入った経緯を話してくれた。
ニールは自身が巻き込まれた事件を話してくれた。
エプスタイン島。
カリブ海のヴァージン諸島にある島の1つだ。
謎の大富豪で投資家のジェフリー・エプスタイン。
彼が所有する島の通称がエプスタイン島である。
エプスタインは、レプティリアンヒューマノイドのトカゲ人間と契約した人物である。
権力ピラミッドの一員だった。
その恩恵で富豪と投資家として成功していた。
彼の役目は「新規の勧誘」と「固定客の接待」。
それら快楽を得られる場所の提供でった。
世に出てきた「時の人」やセレブから芸能人、新しい技術を生み出した学者からインフルエンサーなど、ピラミッドに属していない新規の人間達の勧誘である。
影響力、発信力を持つ者は全て勧誘される。
トカゲ人間を頂点とした利権ピラミッド。
より強固に構成する為に勧誘と「踏み絵」そして「共犯」にする場所がエプスタイン島だった。
悪魔に魂を売り渡す島。
勿論拒否する人もいた。彼等は穏便に返される。発信力があるから安易に暗殺は出来ないのだ。
ジェフがエプスタイン島で考えた勧誘の方法で「受付審査」がある。
全てを知る前のゲートだ。
普通の歓迎パーティーだ。
ここで「秘密のパーティー」に誘われるのだが拒否する人は本当の内容も知らずに「さわり」だけで返されるのだった。
ただ「エプスタイン島に行った」事実だけが汚名となる。
口を閉ざす結果ともなる。巧妙な仕掛けであった。
が、
魅力的な提案にNOを言う人は殆ど居なかった。
エプスタイン島に呼ばれる事は、聞及ぶに名誉であり将来が約束される事。
そして世界的なパトロン達がバックに付いて、自分のやりたい事が現実になるのである。
新参の著名人達はもれなく招待されるのだ。
表向きは「大富豪セレブ交流会」。
ホーキング博士や日本の天皇も招待されていた。
ピラミッドに既に加入済みの有名人や芸能人、セレブ、世界的な社長から富豪までが招待者達と親交を深めるパーティー。
表向きにはセレブグループと言ってもいい。セレブ達の仲間入りだ。
加入すれば欲しいものが手に入る魅惑の秘密のパーティー。
援助が必要な者はそこに参加するだけで無条件にバックアップしてもらえる。金から名誉まで全てが約束される。
新参の著名人が「欲しい」「欲望」の全てが「エプスタイン島」にあった。
人間の危険な欲望を体験できる島。
人身売買、淫行コーナーから麻薬クラブ、恐ろしい事にHumanShootingは1番の人気だ。
加入する人間は、ルシファーとの契約をさせられる。
契約とは「トカゲ人間との対面」である。
しかし絶大な効果があった。
異形の人間。SFで出てくるトリックではなく実際に目の前に存在するレプティリアン・ヒューマノイド。
目の前で話す異界の宇宙人。
目の当たりにした人間達は、話さずともトカゲ人間の存在だけで、その組織の大きさをも知る事になる。
地球を創ったのは彼等であると…噂レベルの異界の宇宙人が本当に存在し目の前で話している。
その時に教えられるのは「サイン」をメディアを通して送る事。
有名なのはハンドサインである。有名人である彼等はメディアに露出が多い。
その時々に目を隠したり、指の形を変えたりと指示通りのサインを必ず送る。
私はグループの仲間です。と言うアピールをしないといけない。
そして、これは面識の無い組織の仲間にも送る合図でもある。
エプスタイン島に行かなくとも、それで交流を広げられるのだ。
仲間は仲間同士全面的にバックアップするのだ。
それは大きな約束でもある。
約束を破る輩には容赦はしない。
芸能人、著名人でも政治家でも見せしめのように殺される。
組織が殺したのがハッキリとわかる不審なサインもワザと残している。
全世界でシュウキョウグループが実行部隊で存在している。
世界中に逃げ場がないのだ。
裏切り者には厳しいが従順な仲間には天国だ。
才能がなくとも仕事がドンドンと増えてくる。
悪い事をしてもその国の政治が政府機関が守ってくれる。
メディアも仲間なので安心なのだ。
また…トカゲたるルシファーは趣味が悪い。
王室や皇室等も公式の場面では正装する場合は、洋服の着こなしをおかしな格好をさせる事だ。
これもサインだ。
例えば、ズボンを後ろ前にしたり誰が見てもおかしな格好をワザとさせる趣味の悪さだ。
これは面識の無い新規のメンバーは驚愕するのだ。
王室や皇室たる歴史的な人物達が登場する公式の式典。
世界中が見守る…公衆の面前で彼等は屈辱的な着方を喜んで受け入れている。
彼等も従順な仲間なのだ。
それほど影響力がある組織だと言う事に驚くのだ。
ピラミッドがこれだけの事でさらに強固になる。
格好だけではない。世界的に著名な芸術や子供向け漫画やアニメなどに人をコケにしたようなサインを隠している。
支配される民衆は馬鹿にされている事に気付かない。
それをディープステートのピラミッドの支配者達は嗤うのだ。
そして、新規に仲間入りした自分達は上位のソチラ側の存在なのだと安堵する。
人間の感性ではない。トカゲはトカゲであった。
その宇宙人たるトカゲ人間。
彼等が牛耳るピラミッド。
宇宙人たる異型なトカゲと対面し将来を約束され犯罪をも揉み消して貰える…そんな仲間になれる事に安堵する。
支配する側、コントロールする側になれるのだ。
これらは、詐欺師がよく使う手口である。
ニールはそこに招待されたらしい。
彼の表の仕事はeスポーツ「プロゲーミングチーム」のリーダーであり、その世界では有名人だった。
そして従兄妹が米国で人気上昇中の歌姫だった。
2人揃って「エプスタイン島」に招待されて島に行ったそうだ。
彼はその時に「Qアノン」のメンバーだったが広告塔と言う立場なので、表立った活動は許してもらえなかった。
ニールは焦りがあり、諜報としてのこの機会にチャンスとして乗り込んだのだ。
勿論、従兄妹が参加を強く望んだのも大きかった。
「え?ちょっと待って!私、彼女のファンなんだよ!」
ミッシェルはニールの話を遮って立ち上がった。
珈琲カップを持ったままだったから勢いよく溢れた。
「本名は知らないけれど【Sarah/セーラ】だわよね?
彼女は本当は【Sailor/セーラー】って付けたかったくらいセーラームーンが好きなのよ!私もセーラームーンが大好きだから彼女を応援してたのよ!」
彼女の興奮が止まらなかった。
「インディーズでめちゃくちゃ人気になって、メジャーの一曲目の曲の振り付けがまんまセーラームーンなのよ!」
ミッシェルは、珈琲カップをテーブルに置いて奇妙な踊りとポーズを取った。
ニールは呆気に取られた。
それは…ミッシェルの踊りがあまりにも下手過ぎたからだ。
背中に入った虫を、彼女が一生懸命に取っている仕草にしか見えなかったのだ。
ニールは珈琲を吹き出してしまった。
声を出して大笑いした。
そして笑顔で拍手した。
奇妙な踊りを終えたミッシェルは、満面の笑みだった。
……………
「でも、ちょっと待って…。ニール貴方…本当にニールなの?」
踊りに満足したミッシェルは、スマホに映る「eスポーツの広告塔のニール」の顔を見て驚いた。
顔が違うのだ。
顔どころか、年齢も20代なのに目の前にいるニールは40代の別人だからだ。
「うーん…これから起こる出来事は驚かないでくれると有り難いな…。」
彼は掛けていた伊達メガネをミッシェルに預けた。
「人間はアバターと言ったよね?このドミニクは僕のアバターなんだよ…。」
この人は何を言っているのか?
やっぱり危ない人はなのか?
「論より証拠だね。今からドミニクからログアウトする。」
「ログアウト!?」
ミッシェルが何かを言い掛けた瞬間。
目の前に、足を組んで座っていたニール…いやニールのアバターのドミニク…。
彼が糸が切れた人形のように、足を組んだたま力なく眠った。
「No!No!Are you okay!?」
驚いたミッシェルは立ち上がりニールの安否を確かめようとした時…。
「Hey!ミッシェル!聞こえるかい?」
手元の伊達メガネから声がした。
「俺の名前は「J」だ。眼鏡を掛けてもらえるかな?」
ミッシェルは、手に持った眼鏡を落としそうになった。
目の前には昼寝しているようなニール。
心臓は動いているようだった…。
そんな彼を横目に、言われた通り眼鏡を彼女は恐る恐る掛けてみた。
眼鏡はモニターのようになっていてた。
目の前に映るのは、ハンサムな中年の男性だった。
笑いながらミッシェルに手を振っている。
「Hi!ミッシェル。俺もニールがこんな演出を急にするなんて…驚いたよ。hahahaha…。Wait a minute!」
モニターからの映像が凄い。
有線のような綺麗さだ。こんな小さな眼鏡に受信機が内蔵されている?
凄い技術力だった。
眼鏡としての視認力は確保されたままなので驚いた。
一体、どんな技術力だ?
SF映画みたいだった。
カメラモードが変わった。手持ちのカメラになったのか?
「J」と言う男の視点映像だ。
眼鏡型カメラかもしれない。
辺りは研究室のような風景だった。
「J」と言う男は研究室の中を移動した。
目の前のニールは気持ちよく寝ている。
「ま…でも、これが1番説得力があるんだけどね。これからニールの所に案内するよ。」
ニールの所?本体がソコにいるのか?
「J」と言う男は話しながらパネルを操作している。
どうやら、このカメラは映像から察するに「J」と言う男の眼鏡のカメラで撮影しているようだった。
凄い技術だった。
という事は、この眼鏡もカメラ内蔵かもしれない…。
そして驚くべき事に画質が全く乱れない。
眼鏡のモニターにも驚いた。
そして…何より「J」と言う男が話す言葉が文字として下側にテロップとして流れているのだ。
驚異のテクノロジーだ。科学の最先端のCERNでもこれは成し得ていない。
彼がパネルから移動した。
白色の大きなカプセルが多数ある部屋に移動している。
手前のカプセルの透明のキャノピーをオープンした。
上半身裸の男性が見えた。
カプセルの中に居たのはスマホの画面で見た若いイケメンの「ニール」だった。
本当に未来のSF映画を見ているようだった。
不思議な感覚だ。
ミッシェルは呆気にとられた。
「Hi!ミッシェル!論より証拠だろ?しかし…君のダンスは最高だね!hahahaha!」
ニールが起き上がって笑った。
親指を立てサムズアップのポーズをした。
…その時に「J」がニールの下半身を映した。
そしてニールとミッシェルに言った。
「Hey!ニール!君のオムツ姿も最高だね!」
「J!Stopit!No!No!」
「OH!Neil!No!No!NoWay!」
笑い声と共に大きな叫び声が、研究室とゲイパンの事務所に木霊した。
【CERN ミッシェル赴任1ヶ月前】
月明かりがなくなり雲に隠れてしまった。
空気に音が吸われるような静けさだ。
そして寒々しい夜である。
男の人影がみえる。
その男は躍動していた。
内から湧き出る爆発的な狂気に身を任せている。
その心地良さに陶酔していた。
いくら疾走っても疲れる事がない。
疾走りながら笑いが止まらない。
その笑いは笑顔でもあり、恐怖のあまり引き攣って笑っているようにも見える。
口元は笑っているが目が異常に血走っている。
暗闇のせいなのか?彼の姿がよく見えない。
CERNの住宅街。
24時間の管理都市SmartCityのCERN。
この真夜中でも通りは明るく照らされている。
普通に走っていれば姿は簡単に視認される。
男の疾走る速度がおかしいのである。
異常であった。
そして跳ぶ。
住宅街の家の屋根だ。
軽々と飛び上がった。
屋根を伝って疾走る。
屋根の上は暗闇だ。
そして次の家の屋根に飛び移った。
その跳躍は人間の域を超えていた。
男の大きさは、背筋を伸ばせば2メートルは超えそうだった。
衝動のままに暴風のように疾走り抜ける。
狂気の塊がそこにいた。
一瞬見えた男の顔。
笑った口元が血だらけであった。
……………
CEROにあるサン・ピエトロ大聖堂。
夜の大聖堂は圧倒的な迫力を醸し出していた。ライトアップされさらに荘厳さがましている。
空気までもが重く感じられた。
「5人目の犠牲者が出ました!」
ジョーは、そのサン・ピエトロ大聖堂の地下、警備局の執務室に駆け込んだ。
歴史的な建物とは打って変わって執務室の中は最新の造りであった。
「ああ…承知している。」
正面の大きなデスクに座っている。黒服の神経質そうな男が静かに答えた。
ロレンツォである。
彼は警備局のトップだ。
サングラスはしていない。
目付きは厳しい。
彼は、イタリアにあるサン・ピエトロ大聖堂の警備本局から出向していた。
報告にきたジョーは、ロバート博士とミッシェルを監視に来た若い男だった。
彼も含め、警備局所属の警備員は10人も居ない。
少数である。
本来、2百人程の警備員やスイス衛兵(スイスガード)が必要な程、大聖堂の敷地は大きい。
しかし、このCERNのサン・ピエトロ大聖堂は異常な程に警備員が少ない。
外の大きな敷地にもサン・ピエトロ広場にもほぼ誰も居ないのだ。
サン・ピエトロ大聖堂は、広場以外は厳重なる立入禁止区域だったからだ。
ここに立ち入れられるのはロレンツォ達とバチカンのごく限られた人間だけだ。
このサン・ピエトロ大聖堂には、大きな秘密があり公に出来ないのである。
しかし、少数だけでともサン・ピエトロ大聖堂は監視は充実していた。
それは管理都市によるデジタル監視による所がに大きい。
ロレンツォの執務室には監視モニターだらけであった。
監視カメラは、言うに及ばす至る所にあり死角はない。
そして監視ドローンの「Queenbee/女王蜂」があった。
これは、この時代には存在しない未来の技術である。1940年にイギリスで兵器として開発。コンピューターでの自動運転を融合させた技術開発をCERNが引き継ぎ米国の資本で完成させていた。
監視と殺傷能力を備えていた。
20機程が常時「AI」で自動で稼働している。
指定ターゲットの監視も出来た。
都市のパトロールで事象をモニタリングし自動でそれを排除する機能も備えている。
このCERNでの警備は基本的に情報漏洩防止である。
そして公に出来ない秘密が複数ある。
デジタルハッキングはMother.AIが監視し、関わる人間の洗い出し瞬時で行う。警備員はその人間を確保連行する事をメインとしているから人員が少ないのだ。
この平和な、このSmartCity、管理都市においては「殺人」等の犯罪は、不思議な事に想定はされていない。
バチカンのスイス衛兵(スイスガード)は、ここCERNにも派遣されている。
彼等は、サン・ピエトロ大聖堂での業務では無くCERNの複数あるゲート警備を担当していたのだ。
サン・ピエトロ大聖堂は彼等にはアンタッチャブルである。
CERNへの人の出入りには非常にナーバスで厳しく当っている。
デジタルを使った厳重な監視だ。
勿論、カラフルな制服は着ていない。
人の制圧を想定している為、訓練された猛者が選別されていた。
その100人程いるスイス衛兵(スイスガード)の指揮のトップはロレンツォだ。
彼はこの執務室の大きなデスクで、それらを全てのコントロールを一括管理していた。
「5人目はF棟の職員か?」
ロレンツォは、モニターから目を離さずにジョーに尋ねた。
やはり目付きは険しい。
「ええ、そうです。それが…どうやらゲイパンの人間らしいのです。」
ジョーはデスクの前で直立姿勢で答えた。
彼のサングラスは胸ポケットに挿してある。
「倒れていた場所が玄関広場の「シヴァ神」像の前です。そこが現場では無く意図的に廃棄した模様です。」
ロレンツォはモニターから目を離さない。どうやら監視モニターを巻き戻しチェックしたようだ。
「なるほど。…確認した。現場はここでは無い。ジョー…君が言う「意図的に」とはどういう主観だ?」
ロレンツォは動作を止め、初めてジョーに身体を向けデスクの上で両手を組んだ。
デスクの上には彼のサングラスが丁寧に置かれている。
鋭い目つきがジョーを見た。
「主観も何も…あのシヴァ神像ですよ!しかもシヴァ神と同じポーズを取らされている形跡があります。
此れ見よがしに死体を置くなんて…。しかも今回は彼奴等ではありませんでした。普通の一般人ですよ。変死ではなく殺人です。詳しくは現在、B棟で検死を行わせて報告待ちです。」
ジョーは、直立姿勢を崩しそうになりながらも懸命に答えた。
ロレンツォは組んだ手を解いて、デスク組付けのタッチパネル型キーボードを操作してメインモニターに映像を出した。
「被害者は、ヘレン・シニョレ。35歳。F棟ゲイパンの職員。ここに着て4年目。特に注意する人物ではなかった。…どうやら夜のランニング中に襲われたようだな。襲われたのが21時で、シヴァ神像前に捨てられたのが21時10分だ。」
「これを見てみろ。」
そこには、遠めながらランニングするヘレンが映し出されていた。薄暗いのに鮮明な解像度には目を見張った。
走るヘレンに突然、大きな影が重なった。
後ろから車に追突された交通事故の様にヘレンの身体が踊った。
おかしな事が起こった。
影が現れてから鮮明な映像が乱れ始めたのだ。
辛うじてヘレンと分かる人物が倒れるのはチェック出来た。
映像が乱れている。
そして影はまた、ヘレンと重なると次の瞬間にはヘレン毎消えていた。
映像の乱れが直る。鮮明な解像度の高い映像に戻った。
ヘレンが居たと思われる場所には、一足のスニーカーが残されていた。
血の跡は確認はできなかった。
素人が作った出来の悪いオカルトフィルムのようだった。
直立姿勢を崩して、前のめりにモニターを見つめていたジョーは拳を握りしめていた。
ロレンツォも視聴しながら操作した。
モニターは次の映像に切り替わった。
玄関広場前のシヴァ神像周辺だった。
ライトアップされたシヴァ神像は気味が悪かった。
これまた鮮明で綺麗な映像だった。
21:10
映像が乱れ初めた。
同時に…忽然と大きな影が現れた。シヴァ神像の前だ。
ズームで寄ってもよく見えない。乱れている。解像度を調整してもボヤケていた。
40秒程で大きな影は消えた。
直ぐに鮮明な映像に戻る。
シヴァ神像の影になって見えにくいが人が倒れていた。
ヘレンだった。
ロレンツォは映像を止めてジョーに向き直った。
「この件も前回同様にトップシークレット案件とする。
情報レベルはMAX指定にしてくれ。
あとMother.AIで「都市内全ての画像乱れ」のポイントのチェックとタイムラインを洗ってくれ。
それで影の足取りがわかるはずだ。…それと、CSPのドミニクを明日、朝イチで呼び出せ。
B棟の執務室で会う。ヤツには死んた彼女はランニング中の体調不良の変死扱いとして念を押す。」
「了解しました。」
ジョーは直立姿勢で返事をした。
ジョーは、この有能なロレンツォを尊敬していた。
無駄な事は話さない。
状況判断が的確で早い。この手掛かりが少ない映像を観ただけで犯人の足取り追うのに簡単に指示した。
ローマ本局から部下として付いてきたが驚くべき洞察力で難事件を簡単に解決してきたのだ。
本局の職員の間では「シャーロック・ホームズの頭脳を持つターミネーター」と呼ばれていた。誰よりも背が高かった。
50代と言う年齢だが身体が体術訓練で若いスイス衛兵も簡単には勝てない。
ジョーはそんなロレンツォを尊敬し誇らしく思っていた。
【CERN 4日目 pm15:20】
オムツ姿のニールは、ドミニクに戻っていた。
「J」のせいで、ミッシェルとニールの間に気まずい空気が流れた。
が、その御蔭でミッシェルの目の前で起こった驚くべき「超常現象」「未来の技術」「トリック」が霞んでしまった。
すんなりとソレを受け入れてしまっている自分がおかしかった。
「そんなに可笑しかったかい?」
本来ならミッシェルから驚きの眼差しを貰える筈が…まさか、オムツ姿を見られて失笑されるとは。
ニールは彼女に目を合わせられずモジモジとしていた。
「あ、いえいえ。違うのよ。オムツ姿は私達宇宙科学センターでも見慣れてるからそれじゃないのよ。」
クスクスと笑うミッシェル。
「本当ならトリックか?オカルトのような超科学を目の当たりにしたんだから…理解と言うか納得がなかなか出来ない筈なのに…ハプニングですんなりと受け容れちゃったのが可笑しくってね。
だって、超科学でもオムツって…人間らしさが残ってるじゃない?
だからトリックじゃないって、すんなりと納得できたのよね。」
デスクに置かれていた眼鏡から声がした。
「hahahaha.…なるほどね!オムツが真実を伝えるか。
確かに科学が進んでも人間の生理現象は普遍だからね。
これは良い事を聞いたよ。
今度説明する機会があればキャストはオムツ姿だな。」
眼鏡の声の主は「J」だった。
米国マサチューセッツ州にある工科大学「MIT」。ここにある彼だけの研究室があった。
「勘弁してくださいよ。誰のせいでこんな気まずい事になってるか…わかっているんですか?」
憤るニールと笑うミッシェル。
「J」はお構い無しに話を続けた。
「そんな事よりミッシェル!ニールから聞いていると思うが、今の異質なCERNの事だ。
我々は君に危害を加えるつもりも何も無い。
提案としては、CERNから至急に離れて欲しい。
そこは安全ではないからだ。
一般の人間に知られてはいない事柄が沢山ある。「陰謀論」と言われる事柄は実際に起っている本当の事だ。
これからCERNは大きな危険に見舞われる。
奴等が、その行動を起こす時期の把握できていない。
今日かもしれないし来月かもしれない。
バチカンのロレンツォ。彼は危険だ。今日はニールが間に入れたがヤツはミッシェル…君を拘束しようと狙ってる。
どうやらバチカンは君をフランスのスパイだと決めたようだ。捕まってB棟行きになれば君の身の安全の保証は出来ない。
君の荷物やら車、退所手続きはニールが手配する。ニールに付いて今直ぐにここを離れてくれ。」
静まり返ったゲイパンの事務所。
ずっと真剣な表情のミッシェル。
ニールは「命の危険」「直ぐに逃げろ」と言われ、混乱しているミッシェルを察して何か言おうとした時
ミッシェルがキラキラした真顔で
「それよりも、ニールが入っているドミニクの人間アバターの原理が知りたいわ。」
ニールがズッコケた。
眼鏡から「J」の豪快な笑い声が聞こえた。
「hahahaha!ミッシェル!君は最高だよ!hahahaha!OK!OK!
alright!
人間に(魂の移動/サイコダイブ)するにはセブンズ達が使用する人間と、ニール達が使用する人間は少々違いがあるんだ。
セブンズ達が使うアバターは、その時代に生きている人間。
平行世界にいる人間。
自分用のアバターがアチラコチラにサブが用意されているんだ。
失踪者とか行方不明者とかホームレスとかだね。あとは荒業で鉱物から人間を創ったりね。
セブンズ達は魂を自由にサイコダイブ出来るが、ニールのように人間同士のサイコダイブとなると相性が重要なんだよ。
このカプセル。
「PsychoDiveCapsule」
これは「アスクレピオスの杖」の改良版だ。本来は人体を強化する装置なんだが応用して人間同士の精神交流装置として人間が人間をアバターとして使えるようにしたんだ。
本来の「アスクレピオスの杖」とは、人間を鉱物から創られるんだ。そしてレプティリアン・ヒューマノイドを創られた。強化人間をも造られる。
そして応用すれば、自分のコピー人間も生産できるんだ。
影武者製造機だな。
hahahahaha…。
これは周波数か肝なんだ。わかるかい?
この地球や生き物は周波数で全て構成されているんだ。
人間も植物も建物も眼にみえるモノは、それぞれ固有の「周波数」を発生して存在しているんだ。
周波数が崩れるとソレらは存在しなくなるんだ。
生きている…存在しているとは「周波数」が固定化されている事だ。
「周波数」が乱れたりすると存在しなくなる。
人間が病気になるのも健康になるのも、その器官の周波数の乱れによるものだ。
色も形も決まるのは周波数だ。
だから周波数によって様々な事が簡単に発現させられるんだよ。
だけど問題は周波数はそれぞれ固定されている、という事だ。
その周波数をコントロールする事で様々な不思議な事柄が可能になるんだよ。
俺達が使う「h粒子」は周波数をコントロール出来る特別な粒子なんだ。
現代では「神の粒子」とも呼ばれてるね。
これがあれば、時空を超えられるしワープも簡単にできる。タイムマシンも作られるよ。平行世界にも出入り自由だ。「ヘルメスの杖」と呼ばれるシステム装置もコレが要だ。
核エネルギーより遥かに安全な無限エネルギーを生み出す事も出来るんだ。
地球を揺らして大災害を起こしたり、嵐や台風をコントロールするのも簡単だ。
「アロン/モーセの杖」と呼ばれる都市や人間も瞬時に消せる兵器もコレを応用したものだ。
君が居る、そこのCERN。
CERNの本当の目的は、俺達が使っている「周波数の粒子」を見つける事だ。
ヒッグス粒子と呼ばれる、粒子の観察すると言われているが本当は違う。
セブンズ達が使う「神の粒子」を取り出す事だ。
200☓年には既に取り出しに成功していたんだよ。
現在は応用の研究かな?タイムマシンは完璧では無いけれどCERNが最初に所有していたはずだ。
ま、でもそんな大型加速器を回さなくても俺達は、アナログなピラミッド形を利用して自然界から簡単に出現させられるんだけれどね。
ほら?見てご覧。…このキューブ。」
Jは、玩具のルービックキューブと同等の大きさの黒いキューブを取り出してヒラヒラとミッシェルに見せた。
金属製のようだった。
「これはね、俺達が使う携帯用の「h粒子」がコーディングされて入っている。万能キューブなんだ。
例えば、これでゲートを開く事ができるんだ。
時空を超えて別の場所に移動が出来るんだ。でもね、人間や物質が時空を安全に越える事は出来ないんだ。
周波数の関係で構成組織がバラバラになるね。
ニコラ・テスラもこのやり方を注意したんだけれど、米国海軍が軍艦を実験でワープさせて大変な事になったんだよ。軍艦に人体が融合してしまったんだ。
周波数の調整さえすれば、其の辺のトンネルを鼻歌交じりで、くぐるかのように時空を簡単に人間も物質もその形を維持したまま安全に通れるんだけれどね。
他には、周波数を照射して辺り一面を別の平行空間にして隠すことも出来るんだ。
ちょっと周波数を変えるだけなんだけれどね、街から人がいなくなるんだ。
ま、居なくなったのは俺なんだけどね。
おばけ?みたいなモノかな?こちらの人体の周波数を変えたから、周りからは見えないし触れないんだよ。
悪さをする時なんかに便利だね。
よく車で高速道路をかっ飛ばす時に照射して怒られたもんだよ。
hahahaha…。
それと大きなエネルギーを発生させられるんだ。この大きさで半径2キロくらいは消滅させられるよ。
いいかい?
この面体にスイッチが隠されていて、俺達が持っている周波数のブレスレットやペンダントと連動しているんだ。
この神の粒子と呼ばれる「h粒子」は俺達からすると貴重でも何でもないんだ。
でね、何兆円もお金を掛けなくても俺達は自然界から「h粒子」をいろんな方法で簡単に取りだせるんだ。」
黒いキューブをポンポンと片手で中に投げるJ。
頭を抱えたニール。
「そして彼等が何兆円と掛けて加速器を作ったCERNが取り出した「ヒッグス粒子と呼ばれる神の粒子」は紛い物だ。
おかしな理論が先行して「神の粒子は6種類ある」と言う前提で事を進めるから変梃な粒子を捕まえたんだよ。
俺達からすると、わざわざグレードダウンさせて作り直したって感じかな?
応用するにはコントロールの幅がないんだ。
だけど彼等はタイムマシンやらPsychoDiveCapsuleに近いものを独自に作った。何とかベッドとか言ったかな?
あれは欠点が多いからヤバいものが出来そうだね。何が欠点かと言うとね……。」
「Hey!J!ストップ!ストップ!話がまた飛んでるよ!」
ニールが眼鏡を持ち上げて遮った。
饒舌になってきた「J」は、又悪い癖が顔を出した。
話が長くなり何を言っているかさっぱり分からなくなるのだ。
「彼女が聞きたいのは人間アバターの事だよ。僕がドミニクにサイコダイブ出来る話だよ。」
焦ったニールが話を止めた…ミッシェルの顔が、情報処理しきれてない表情に変わっていたからだ。
いつものパターンだった。エブリイワンのメンバーは全員これにやられたのだ。
トイレにも行かせてもらえない。
ニールは苦笑いをした。
眼鏡の向こうから咳払いが聞こえる。
「あー…すまん!すまん!hahahaha。
ま、なんだ…サイコダイブ装置も神の粒子を使う事で完成するんだよ。
えーっと、人同士のサイコダイブはDNAが近しい人存在でないと駄目なんだ。
ニールが使うアバターの基本は「自分自身」になる。
分身だ。その時代に生きている自分の分身。
同じ遺伝子やら親族…と言うと分かりやすいかな?
ニールと基とする遺伝子を持つ分身が多数存在する。性別年齢とバラバラだ。老若男女。
世界中に存在する。
別々の国で暮らしていて、バラバラなんだが思考や行動がニール自身そのものなんだよ。
だから目の前にいるドミニクは、フランスにいたニールなんだよ。
馬が合う人や気が合う人と言うのかな?
巷で言われる「ドッペルゲンガー現象」と言えば分かるかな?あれは類似アバター同士の事だ。
地球上で生きている動物や人間は全てアバターなんだ。
容れ物だね。
基本の概念が違うんだよ。
ニールが主人公でドミニクが偽物とかでは無いんだ。
ドミニクがカプセルに入ってニールの魂に入る事も出来るんだ。カプセルは「ヘミシンク効果」とも言うのかな?脳波の状態を電子化させてターゲットに時空を超えてリンクさせるんだ。
だから目の前のドミニクはニールとリンクしているだけで行動原理は共に同じなんだよ。
リンクしている時はドミニクの意識だけが起きて、見て学習しているんだ。
ニールがログアウトすると学習したそれを共有し同じような行動をしようとするんだ。
彼にしてみては意味は解らないが「衝動にかられる」と言う現象だね。
誰もが経験する「何故か衝動にかられる」と言う行動は、誰かの魂が入ってリンクしてるから…かもね。
hahaha…。
但し、精神力の話なんだが…強い精神力を持つ人にサイコダイブを仕掛けても逆に精神支配されて消えちゃう場合もあるんだ。
消える、って死ぬ事ではなく「視ているだけ」の状態と言う意味だ。
うちの「A」もそのパターンにやられているかもしれない…誰にダイブしているか俺達は掴めていないんだ。」
ミッシェルは、Jの話を聞きながら理解しようと思考を巡らせていた。
辻褄は合うが、現代科学ではあり得ない事を話している。
周波数の話は合致している。
既に運用している事には驚愕した。
1950年代に米国海軍の「フィラデルフィア計画」と呼ばれる実験では、実際に軍艦を瞬間移動させられたのだが、乗組員は軍艦の鉄材と融合してしまった。
壁から顔や手足が出ていたり、飲み込まれて悲惨な状態だったのは事実だ。
周波数の照射装置は気象操作のHAARPはフランス政府で秘密裏に実際に運用されている…。
あの小さなキューブに「ヒッグス粒子」が固定化されているなんて…。
それより人間のアバターと言う概念だ。
誰の為の人間の存在なのか「容れ物」と言うワードは驚いた。
仕事場のフランス国立宇宙科学センターでゲイパンの仕事は「UFOや宇宙の不思議の調査」だ。
このワードは、ゲイパンからよく噂され聞かされていたからだ。
「神に創られた人間は、神が降臨する時の容れ物でもある。」
偉人や発明家の中には神とコンタクトを取ったと思われる才能が多数いる。
天才ニコラ・テスラも、神とコンタクトを取った人間であるのは間違いなかった。
地球を創った神しか知り得ない地球の無尽蔵エネルギーを知り尽くしていたからだ。
他にはレオナルド・ダ・ヴィンチ等多数確認されている。
人類の近代化へのヒントを定期的に天才の出現で出してくれている。
この手の報告は枚挙に暇がない。
この「J」と言う男は、その真実を知っている。
いや、真実を操っている側だ。
もう、それは神の側だ。
先程のニールのデモンストレーション。
あれが無ければ早々に席を立っていただろう。
頭の額に手を当てロダンの「考える人」のポーズのまま眉間にシワを寄せたままミッシェルが独り言のように喋り始めた。
「じゃ…ニールがログアウトしたとして…ドミニクは自身の意思を持ってニールがしようとする行動をトレースしようとするのね?
ニールがいない時にニールって呼ぶと反応するのかしら?
Jとの会話も覚えているのかしら?
ドミニクの関係者を見てニールはそれを全部理解しているのかしら?
逆にニールの家族とか恋人とかドミニクは理解しているの?
アスクレピオスの杖って杖が装置なの?多分愛称よね?
神様の粒子があれば全てが可能になる?
コーディング作業をするのかしら?
新しく人間を創るって…呪いとか、したりするのかしら?」
ミッシェルは矢継ぎ早に、宙を見ながら独り言のようにJに質問した。
今度は
Jとニールが大きな声で笑い出した。
ミッシェル自身の置かれた状況は本当に危険だ。
現にロレンツォに拘束されそうになったのに…それを心配するより好奇心が勝っている。
「Qアノン」のメンバー達と同じ気質だったのでJとニールは爆笑したのだ。
「ちょっと待って!」
目をつむり片手で手の平でStopのポーズをした。
2人の爆笑にミッシェルは気にもとめずに提案をした。
「埒が明かないわ!
片手間に話を聞いても意味がないわ!それに時間がないわよね?」
考える人のポーズを止めたミッシェル。
「私も手伝わせて!仮でもいいから仲間にしてくれないかしら?
その方が話が早いわ!
勿論、危険な事はしないゴメンだし。
邪魔にならない範囲で私にもできる事は多いはずよ。
その方が、全ての問題をベストな形をで全て解決するわ。」
彼女は、眼鏡の先にいる「J」に向かってキラキラした目を向けた。
ニールは、その案を否定しようと口を開けかけた時。
「OK!OK!That's right!よろしく頼むよ。…君は判断が早い!頭が良いね。」
眼鏡から「J」が笑いながら快諾した。
だがニールは頭を抱えた。
ミッシェルは、Jから承諾を貰えるモノと確信しているかのように続けて話した。
「私がフランスに逃げたとしても追い掛けられたり向こうの警備局に捕まる恐れは多いのよ。むしろ、こちらにいてニールやJの近くに居て指示で動く方がより安全な筈よ。」
彼女は眼鏡に語りかけた。
「Exactly!その点が、俺が1番懸念しているところだよ。
フランスに逃げるより実は私達と居る方が安全なんだよ。
本当は仲間に誘うのがベストなんだが…紙オムツの怪しい男達と仲間になる提案なんてあり得ないしね。
だから逃がすのが、俺から出来る唯一の選択だったんだよ。」
眼鏡のJが話した。
ニールが相槌を打った。
ミッシェルは続ける。
「それにね…私はロバートから大変な話を聞いてるの。彼は此処で働かされているわ。
ロバートは素粒子物理学の権威よ。ハーバード大学の教授なのに此処にいたの。
貴方達は既にチェックしてると思うけど…ロバートの話では、B棟では人体実験やらタイムマシンやら兵器開発してるって。あとヒッグス粒子の固定化に成功していて、これを元に全ての研究の成果が出たそうなの。
今月末に初稼働される大型加速器が回れば地球が滅亡するって…私に警告をしたのよ。【See the truth】って言葉を言ったのが最後だわ。」
そして彼女は、Jとニールからこれまでの物語を聞いた。
セブンズ達による地球創造。
トカゲ労働者の裏切り。
トカゲによるディープステート構築。Ruler/施政者達による全人類の支配。
トカゲを裏切る「アヌンナキ教団」。
アヌンナキ教団とバチカンの関係。
ビル・ゲイツ財団からの支援。
ビル・ゲイツとロスチャイルド家の確執。
ヒッグス粒子の正体。
ヒッグス粒子を用いた超科学的な進歩。
タイムマシンの開発。
タイムラインの書き換え。
トカゲを倒す獣人製造の成功。
素粒子爆弾。
そして、このままだと
今月末に地球が終焉する事…。
【CERN 6日目 13:10】
CERN敷地内 B棟
「こう言う事になりました。」
ニール(ドミニク)は緊張の面持ちで話した。
B棟にあるバチカン執務室。
立って話す彼の前には、高級そうなデスクに座っている警備局トップのロレンツォである。
顔の前で両手を組んでいるので口元は見えない。
相変わらず鋭い目つきである。
その横で殺気だって立っているのは部下のジョー。
「ああ、本局から通達で聞いている。」
ロレンツォの目付きに殺気がはらむ。
それは、ニール(ドミニク)の横に立っているのがミッシェルであったからだ。
尋問する予定なのに取り逃がした女だった。
「ロレンツォさん。今日はよろしくお願いしますね。ロバート博士にもお会いしたいわ。」
ミッシェルが、前回のお返しとばかりに満面の笑みで挨拶をした。
今日の出立ちは伊達メガネを強調した淡いブルーのスーツスタイルである。
彼女は今月末に稼働する大型加速器の前日レセプションと当日のアナウンスを世界に流す為の取材の為にCERNに着た…に変化したのだ。
イタリア本局からロレンツォに協力と案内の指示が下りていた。
イタリアの本局…つまり「教皇」からの通達は絶対である。
忌々しい。
ロレンツォはその感情を隠さない。
「今日はB棟の案内は許可出来ない。代わりにサン・ピエトロ大聖堂を案内してやる。」
彼はぞんざいに答えた。そして殺気立ってるジョーに向かい
「B棟はお前に任せる。俺はお客様を案内する。何かあったら直ぐに連絡するように。」
話しながら立ち上がるロレンツォ。
デカい。
執務室に山が隆起したようだ。
威圧感が増してくる。
2メートルは超えているかもしれない。
彼は、サングラスを掛けながらジョーに念押しをした。
サングラス姿のロレンツォ…何故かミッシェルとニールは肩を震わせた。
伊達眼鏡のモニターに「J」から「ターミネーター2!」と文字テロップを流したので吹き出しそうになったのだ。
彼はそんな2人を意に介さず正面に立った。
「付いて来い」
ロボットのように踵を返した。
伊達眼鏡のモニターから「"I'll be back"」とJからのテロップが流れた…。
ミッシェルは笑いを堪えるのにニールの腰を叩いた。
廊下で前を歩くロレンツォはソレを気にもとめなかった。
威圧感のある大きな背中だ。
あれほと怖かったロレンツォ…ミッシェルは気持ちが楽になったのを感じた。
……………
B棟の玄関アプローチにニール達のTOYOTAの電気自動車が停めてあった。
ロレンツォは、そこで彼等に乗車させWaitの指示を出してB棟の影に入って行った。
車の中でミッシェルはJに詰め寄った。
「ちょっと!J!あのタイミングであのテロップは酷くない?ロレンツォの前で吹き出しそうになったわよ!あの状況で笑ったら殴られるとこじゃないの!」
運転席のニールもうんうんと頷いた。
「J」は眼鏡モニターで文字でテロップを流した。
「hahaha!すまん!すまん!でも君たちもサングラスをかけた時にそう思っただろ?」
車の中は大爆笑だった。
「でも…ありがとう。お陰でロレンツォへの変なトラウマが無くなったわ。…彼に変な愛嬌がでてきて困ったわ。」
「いいんだよ。もう彼は敵ではなくなったんだから。」
意味深な事をJが文字で語った。
その時にロレンツォがアプローチの影から出てきた。
ミッシェルとニールはたまげた。
ロレンツォが電動スクーターに乗ってきたからだ。
そして頭には、白色の小さなヘルメットがチョコンと乗っている。
ニールとミッシェルは吹き出しそうになったのを何とか堪えた。
彼は運転席にスクーターを上手に横付けをした。
「Hey!ドミニク!後を付いて来い。」
ニールの顔は引き攣りながら何とか頷いた。
華麗にスクーターを操り、綺麗なリーンウィズで車道に出た。
イタリアの「Italjet製」のモペットだった。カラーリングはイタリアっぽく無骨でとてもカッコイイ。
が…長身のロレンツォがライドすると、サーカスの大型の熊が小さな三輪車に乗っているような違和感しかなかった。
TOYOTAの先頭を走る熊の三輪車は、とても気持ちよさそうに風を切っていた。
B棟を出て中央を目指す通りは、街路樹が多く緑が素敵な通りだった。
街路樹の向こうは山々が見える。
CERNにある「サン・ピエトロ大聖堂」はサン・ピエトロ広場とオベリスク、そしてシスティナ礼拝堂が存在していた。
上空からみると鍵穴のような形になる。
そして辺り一面は緑がきれいな芝生地帯である。
大きな四角の土地に、ポツンと真ん中に建てられているので、誰かが周りや横から侵入しようとすると凄く目立つのだ。
ライトアップ用の照明はセンサーと監視カメラも付いているので侵入は不可能なのだ。
そしてドローンのQueenも巡回していた。
唯一入れるのは、正面から続くの通りだ。
CERNのゲートの車止めより頑丈そうなモノがあるようで、それは地下に埋まっていた。
TOYOTAの正面には、本当に大きなサン・ピエトロ大聖堂が見えてきた。
荘厳。
レプリカなのに本物と見間違う、趣と歴史を感じられる古さを備えていた。
見惚れるとはこの事だ。
ミッシェルはため息を付いた。
熊の三輪車はゲートオープンになっているサン・ピエトロ広場に入った。
広場には「ベルニーニ」が造った噴水がある。水は枯渇しているようだった。
それを横目にみてオベリスクに向かう。
熊の三輪車は、オベリスクで停止した。
STANDをかけてこちらに向かって、手の平を使いWaitの指示を出した。
オベリスクの周りを回って、手で触ったり、しゃがんだりして何かをチェックしていた。
「このサン・ピエトロ広場のレプリカは凄いわよね。まるで本物だわ。何でこんな所にレプリカを建てたのかしら?意味がわからないわ…。」
助手席でミッシェルが独り言のように聞いた。
「そうだね…ロレンツォに聞くといいんじゃない?」
笑いながら話したニールを彼女は睨んだ。
「Beee!」
と
電動スクーターのホーン音がした。
何かを調べ終わったようでロレンツォはライドしてC'monの合図をした。
サン・ピエトロ広場を横切り右側で停車した。
ニール達もTOYOTAを降りた。
ロレンツォはヘルメットをスクーターのミラーに預けて無言で歩き出した。
アーチをくぐるとシスティナ礼拝堂があった。
これも息を呑む荘厳さがある。
建物自体が本当に古い。歴史の動き方が何百年と経年劣化しているのが近くに行かなくとも理解できた。
本当に最近の建物なのか?
ダメージ加工どころの話ではない。
ここに何百年と黙々と建っているかのようだ。
システィナ礼拝堂の入口階段をロレンツォを先頭に登る。
開門してあるので、そのまま礼拝堂にはいった。
ミッシェルはおかしな事に気がついた。ロレンツォは礼拝堂に何の礼も無く無愛想に入ったからだ。
そのままツカツカと歩き出す。
礼拝堂は素晴らしかった。
空気感が違う。
澄んだような新しい空気が爽やかに流れる一方…両壁のフラスコ画の「新約聖書の壁画」「旧約聖書の壁画」が、その空気感に落ち着きさを持たせる重さがあった。
此等は本物では無いのか?
圧巻は天井だった。
ミケランジェロか描いた
「天地創造」
顎を上げ天井を見上げる。
息を呑む。
そんなミッシェルにお構い無しにロレンツォとニールは足早に素通りした。
彼女は「アダムの創造」の描かれている枠に急いだ。
John.Bookのサイトの中の「マンデラエフェクトスレッド」にある「アダムの創造」のマンデラ変化を確認したかったのだ。
「神とアダムの指同士が引っ付いている案件」。
本当は離れているそうだ。
描かれている枠に着いて驚いた。
アダムと神の指同士が接近していない。
大きく離れている…。
離れていると言うより、神の姿自体がアダムより上空に描かれている。そして指同士は大きく離れているのだ。
すごい発見だ!
彼女は、スマホのカメラで撮影しようとした時に気がついた。
「しまった…。」
B棟の入館する時に管理室に取られたまんまだったのだ。
「Hey!ミッシェル!」
ニールの掛け声で顔を上げた。
正面に描かれている「最後の審判」。
迫力が違う。
それを背景にロレンツォとニールが立っていた。手招きをするニール。
彼等は祭壇に立っていた。
ミッシェルは天井の「アダムの創造」を惜しみ見ながら駆け寄った。
……………
システィナ礼拝堂の祭壇。
向かって左側に隠し扉があった。
「こっちだ。」
ロレンツォを先頭に隠し扉を潜る。
地下へと降りる階段。
これも歴史を感じさせる石階段だった。壁も石造りで古さには驚かされた。
しかし照明が場違いのように最新のLEDだ。
そして、要所要所にはセンサーとカメラが見えた。
黙って先頭を歩くロレンツォは本当にロボットのように姿勢がいい。
背が高いので、ちょくちょく頭をぶつけそうになるのは可笑しかった。
3人は、地下2階ほど降りた所…扉のない広場に出た。
薄暗いが全体が見えなくはない。
驚くほど大きい。
ここはサン・ピエトロ大聖堂の地下と繋がっているから広いのだ。
ロースクールの体育館より広い。
高さも5メートルはありそうだ。
地下なのに締めった空気の感じがしない。デジタル空調か?新鮮な空気が風として流れているのが分かる。
古い建物と最新のデジタルの調和は見事だった。
壁も天井も石造りだ。
相当古い…。2、3年前に建てられたと言うレプリカの概念を逸脱している。
足元の石造りの石も歴史を感じさせられるくらい古かった。
ミッシェルは床を見つめながら、ある疑念が確信に変わった。
「これは本物のサン・ピエトロ大聖堂だわ。」
広い空間だが「エスタシス」が多数、均等に天井を支えている。
彼女はそれを触ってみた。やはり本物の趣がある。
エスタシスとは古代神殿で使われていた円形柱。
触ってわかったのは石組みではなく、大岩を削り出して加工していた。
素晴らしい細工であった。
その時に空間全体に優しい光量のライトが点いた。
ミッシェルが触っていたエスタシスの柱に多数の彫り物が確認出来た。
「それは、去年の記録だ。」
ロレンツォの声が大きな空間に響いた。
「記録?何の?」
彼女は振り向かず、柱に書かれている事柄をチェックしだした。
石を彫って文字が書かれているが、去年の記録という事は最近彫られた事になる。
しかし彫り後の溝口がどう見ても新しくないのだ。
10年は軽く経年劣化をしている風だった。
彫った文字は人の名前達。羅列してあるように見受けられた。
訝しむ表情のミッシェル。
彼女は後ろの気配に気付くと、何時の間にかニールとロレンツォが立っていた。
「ここだ。」
ロレンツォはある場所を指し示した。
ミッシェルは、顔を近づけ眉間にシワを寄せて文字を確認して…戦慄した。
「ミッシェル・フォーリー」
指し示した場所には彼女の名前が彫られていた。
「ここもだ。」
ロレンツォは構わず別の場所を指し示す。
「ドミニク・ジルベール」
ニールのアバターの名前も彫られている。
「ロレンツォ・マニーフィコ」の名前も彼自身が指し示した。
「これは慰霊碑だ。去年亡くなったCERNの人達の名前を彫ってある。
ま、全員分だ。
3万人ほどの名前が彫ってある。
グランドゼロと書いてあるだろう?
CERNは去年に加速器を回して爆発したようだ。」
GRANDZERO 201☓年
と確かに彫られていた。
「去年?なんで?え?私…死んでるの?」
……………
ロレンツォは2人の質問に答えることなく話を続けた。
エスタシスは十本ほど3列に建てられていた。
「この柱の列は、去年の死亡者の名前が彫られている。
その横の列には4年前で向こうの列はは8年前だ。全て同じ名前が彫られている。…サン・ピエトロ大聖堂はランダムに出現しているからた。」
ランダム?
彼は何を言っているのだろう…。ミッシェルは呆然としていた。
ロレンツォは、お構い無しにスタスタと歩いて壁の方に向う。
2人は、夢遊病にでもなったかのようにフラフラと付いて行った。
2人共に情報が処理しきれない。
自分達は何度も死んでいた?秘密主義っぽいロレンツォが自ら暴露している?
いったい何が起こっているのか?
壁には、博物館にあるショーウィンドウのように一面に硝子が貼られていた。
その中に展示されていたのは黒い石板とボロボロの紙のようであった。
古紙はアクリルケースに挟まれて展示してある。所々破れて破損が激しい。
石板は御影石?か金属製のような漆黒のプレートが、古紙と交互に飾られている。
古いボロボロの紙には文字が書かれている。それの書き起こしを漆黒プレートに記載しているようだった。
古紙の展示は軽く500枚は超えていそうだ。
「これは【死海文書】だ。」
ロレンツォが無表情で話した。
何故それがここに?確かにバチカンが管理しているモノだけど…。
ミッシェルが何かを言う前に
「この古紙の死海文書は本物だ。ヨルダンや他で発見された物だ。
この死海文書は書き写しされた物だ。
隣に展示してある黒石板に彫られている文字こそが原本なのだ。
本物の死海文書なのだ。
聖書の礎だ。」
ミッシェルとニールはガラスに張り付いて黒石板を凝視した。
それは真新しい。古ければ角が削れたり光沢が無くなったり一目でわかる。
しかしコレは今作りたてのモノにしか見えない。表面も角も綺麗でピカピカである。
そして掘られた文字。高度なNCマシンのレーザーで掘られた現代の技術だ。
これが紀元前250年前から存在するとは考えられない。
よくよく観察すると古紙と黒石板の文字の形が全く違うのだ。
ロレンツォに指摘しようとする前に
「本物の死海文書に書かれている文字は【カタカナム】と言う。
古代の日本語で書かれている。
これは神が書かれた「死海文書」の原書であり聖典だ。
それをヘブライ語に書き写したのが、現代では死海文書と言われる古紙だ。
だから完璧には訳せてはいない。沢山欠落した偽物みたいなモノだ。
それを元に聖書が作られた。だから曖昧な言い回しになるようだな。」
「カタカナム」?ようやく眼鏡モニターの「J」からテロップ文字が流れた。
「【カタカナム】は、現在では日本語の原点だ。現代の日本人でも訳すのが難しい隠された古い文字だ。」
日本語…?紀元前250年前に日本語?
セブンズ達のリーダーがイエス・キリストで日本に逃げた。それはセブンズ達の起源が日本人のDNAと同じとする事から来ていた…。
セブンズ達が日本語を創った?いや元々の言語が日本語となるのか?
ミッシェルとニールは呆けて黒石板を観ていた…。
「こっちだ。」
そんな2人にお構い無しにロレンツォは歩き出した。
古紙のボロボロの死海文書から、少し新しい紙が多数展示されているコーナーに案内された。
「これは日本にある「日月神示」と「竹内文書」という予言の書の原本だ。
「竹内文書」の内容は、ほぼ死海文書と同じだ。イエス・キリストの事も書かれているようだ。
書かれた時期も同じだと言われている。キリスト教でもユダヤ教でもない遠く離れた東の国で書かれていたとは信じがたいな。
「日月神示」は「死海文書」の内容をセブンズ達からのメッセージを「Automatic Writing/自動書記」で書き示した物だがカタカナムと同じく現在の言語に直すのは困難だそうだ。
死海文書と日本…不思議な縁があるようだな。」
ミッシェルがようやく口を開いた。
「死海文書の本物のって…どう言う事なの?竹内文書や日月神示と、これらは何の意味があるの?」
ロレンツォは2人に体を向けた。
「予言の書と言われるが、これは「シナリオ」なんだ。
神のシナリオだな。
既に決定して行われている事柄だ。だが、狂いが生じたんだ。
このCERNの加速器が回ったからでは無く「特異点」の「サン・ピエトロ大聖堂」が出現した事が原因だ!
「特異点」の影響でタイムループからにげられなくなった。
いや…これもシナリオ通りなのかもな。」
ロレンツォは顎に手を置いて眉間にシワを寄せる。
「タイムループする切っ掛けは分かった。
【2018年からリターンする】と言う事だ!
2000年の過去の世界に戻るんだ。
2018年にトランプ大統領が、イスラエルからエルサレムに大使館を作りトランプ大統領がメディアで「宣言」した瞬間にリターンする事が判明した。
死海文書や、様々な予言の書で指摘されている事と付随しているんだ。
世の終わりの戦争が行われると予言されている「ダニエルの70週の預言」。
「エルサレムの荒廃」後の70年後に世界の終焉が始まるそうだ。
イスラエルの建国が「エルサレムの荒廃」とすると…その70年後は2018年になる。
この年に「John」が…トランプ大統領が、予言通りにエルサレムはイスラエルのモノだ。と宣言した。
イスラエル建国の暗示だ。
そこから世界の終わりが始まる予定だったのが…タイムループする切っ掛けとなっているようだ。
霊感のある人間やスピリチアルに敏感な人間は「また世界線が変わった」と気付いた人間は世界中にゴマンと居るようだ。
この間にバチカンと「アヌンナキ教団」が力を付けて着ている。…これもシナリオ通りなのか…?」
黒石板を見ながら思案するロレンツォ…。
ミッシェルは閃いたように彼に詰め寄った。
「貴方…誰なの?
ロレンツォではないわね!?」
彼女は、ロレンツォの前に立ちはだかった。
「こんなに、ペラペラと秘密を話す人ではないわ。
それにシスティナ礼拝堂に入る時に礼儀を無視したわよね。あの行動はバチカンの人間ではないわ。
そしてハッキリしたのは今のセリフよ。「バチカンとアヌンナキ教団が力をつけている」下りよ。
バチカンの人間なのに他所様のようなセリフは貴方がロレンツォでない証拠よ!」
そしてミッシェルが掛けている眼鏡にも詰め寄った。
「「J」!そうでしょう?彼はロレンツォだけれどロレンツォでは無いわよね?彼の中に誰がサイコダイブしてきるの?ひょっとして「J」!貴方じゃないの!?」
すかさず眼鏡モニターから「J」からテロップ文字が流れた。
【WoW!さすがだね!ミッシェル!
でも俺はロレンツォにサイコダイブしてはいないよ。hahahaha。残念!】
あまりの急展開にニールは言葉を失った。ニヤニヤしているロレンツォとしかめっ面のミッシェルを交互に見た。
【エピローグ/Epilogue】
B棟で大きな騒ぎが始まっていた。
バチカン警備局の黒服の人間が慌ててB棟執務室に駆け込んだ。
サン・ピエトロ大聖堂に案内に出たロレンツォの代わりにジョーが指揮をとっていた。
「ジョー!大変です!
研究室から至急の連絡が入り確認してきました!研究室は血だらけです。
研究員の3名は死亡。ロバート博士は意識不明で見つかり既に治療室に搬送しています。
そしてロバート博士達が強化手術をしていた検体のビル・ゲイツが消えました。
録画モニターを確認しましたが…どうやらビル・ゲイツが…奴が研究員3人を殺して逃亡したようです。」
■■■■■next
第6話【ローマ教皇とイルミナティ】
第7話【獣の刻印】
第8話【集結】
↓
https://note.com/bright_quince204/n/n30fc038425b8
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