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Number_i、No.I 歌詞から楽しむJELLY

2025.1.12更新
Number_iの楽曲の好きなところに、日本語でとことん遊ぶという点がある。
英語でがなるのではなく、日本語を意味も含めてがっつり言葉遊びとして歌詞に使うところ。
これってすごい、ローカル、オタクっぽいというか。
日本語だからこそ通じる複雑かつ天才的な言葉遊びを歌詞に入れるということは、他言語でこのlyricの遊びを説明するの難しいわけで。
(実際そういった機会があったんですけど、自分がまずきちんとその日本語をわかっていないと説明ができないし、日本特有のものが伝わりにくいことも)
ほとんどの場合、翻訳してしまうとその言葉のトリックが意味をなさない。

それを日本語で堂々とやっている。言い方が悪いが、堂々と一人遊びをしてる、みたいな。
それくらい前面に日本語を打ち出しているところが、すごく潔ぎよくて好きだし、楽しい。
そんな言葉遊びについて書いてみた。


はじめに

Number_iのファーストフルアルバムNo.I、
楽しいし、聴きごたえもあるし、最高ですね。
みなさんはどの曲が好きですか?

私はどれも好きなんですけど、音と歌詞の言葉遊びに関しては、ダントツにJELLYとNumbersが楽しすぎて。
やってんなー。Number_i。
やってんなー。Pecori氏。っていう感想。

どんな感想やねん、って感じですが私的にNumber_iが支持される要素って、楽曲一つで表現、音、言葉、文字といった全方位での楽しませ方をさせてくれる、っていうのがあると思っていて。
だからこそどこかで誰かの琴線に触れる、感情が動くような付随するものが出てくると思っています。
私にとってはその一つが、彼らのHipHop要素を含んだ言葉遊び(とその歌い方)のメッセージ。
もうね最高。毎回言葉遊びが天才的。
暗号読解みたいでわくわく。

ということで、変わらず感動を与えてくれるリスペクトをこめて、歌詞に関して私の感じたものを思うままに書いていきます。
もし彼らの楽曲を聴くうえでの新たな楽しみのひとつになれれば幸いです。

(素人なので韻などはかっ飛ばし、言葉に重点を置いています)
※管理者が某サイトに記載している内容と同一のもありますが、転用ではありませんのでその点ご留意ください。

JELLY 歌詞

君がコンビニ前で酔ったフリしたのはヒントで
俺はそのヒントに全くピンときてねーし
ご近所さんも空いた口開きっぱ
チャンスはやっぱ1回だけあった
あの赤信号の時だったかも
ヒヨって紳士ぶった
これは舞台じゃない
ましてやBuddhaでもないし
普段ならあんなにクールにカマせんのに
君の前じゃなんかどうにもお祭りの金魚
これはNot仮病
Tシャツと一緒に跳ねる心臓だピョン
I’m Super Player Like Fukatsu
なのに自分にムカつく
気分はDのVooDoo
ブッ刺さったBull
人1倍努力した俺はPlayer
人にとやかく言われる筋合い無い
籠るStudio
たまに思い出す君の匂いにやられてベイベ

I Love Youを込めたJellyどんな味する?
ねぇもしかして俺の夏終わってもう腐ってる?
言えない言えない言えないよ
そんなヒドい言葉
どうにもこうにもいかねぇ日
夏のPerfume溶けてくJelly ☆

俺の思いが溶けていったJellyが蒸発して
君の鼻にどうにか入ってくれたら
きっと思い出して後ろを振り返る
そこに俺らはもういねえ(Number_i レツゴ!!)
綺麗に打ち上がった花火跡地
燃え尽きたまっ黒が匂った半年
今ハマってるフレグランス収集(シュッシュッ)
華麗にキメてえロマンス90
君が歌った夏の終わり
別れ告げられてるみたいで終わるのが怖い
Do You Remember My Smell?
おあいこでVoice Count
ストロベリー味のゼリー
カブトムシが食っちまった夏のBullshh
このVerseも君に届いたら嬉しい^_^


1.文字の表記

❝これはNot仮病

スペースがなく文字表記が多用されても、
ワンフレーズだとわかる

日本語はおもしろい。
ひらがな、カタカナ、漢字、英語の4種類が混じって言葉や単語になる。
そして私たち(日本人)は、この4種類がスペースやカンマで区切られていなくても、それぞれが独立した単語であることを認識できる。

これって英語やローマ字表記では不可能な表現方法なんですね。
そしてNumber_iの楽曲歌詞を改めてみて欲しんですけど、意識的にスペースのある、ないがハッキリわかれているんです。
つまりこれでワンセットのフレーズだよってあえて説明せず、歌詞だけには表現していて。

加えて日本語って言葉によってはどこで区切るかで意味が変わるので、区切りやスペースって実はすごく大事な要素です。
(例:いいなまえだ/いいな、まえだ/いい、なまえだ)
海外のストリーミングサービスだと、日本語歌詞の基本表記は向こうに合わせた半角スペースが常用です。
しかしNumber_iの楽曲って、あえて全角スペースも使って歌詞表現をちゃんとしていたりして。
ほんとにすんごいマニアックちっくな位言葉のこだわりを感じられるんです。だからこそこの意図は大切にしたい。
彼らの言葉を、ただの文字以上として、ぜひ意識して観て欲しい!

❝I’m Super Player Like Fukatsu

I'mにはそれぞれの言葉
Super /Player /Like Fukatsuの意味がかかる遊びもあるかな

2.JELLYの楽曲意訳

ざっくりと意訳すなら、
過去の恋愛を断ち切れず、新たな出会いの中でも時折思い出す、ちょっと(かなり)未練がましい恋の曲。
人間が五感で一番忘れにくのは嗅覚といわれていて、そんな匂いにフォーカスを当てた曲でもある。

過去の恋の回想から始まり、ここにあるのは季語や暗号のような言葉遊びだ。

3.状況の言葉遊び

❞ご近所さんも空いた口開きっぱ
❞あの赤信号
❞お祭りの金魚

空いた→周りに人がいない様子
→❞口ひらっきぱの、口が開いた様子にもかかっている
赤信号は金魚の赤にもかかる
金魚は口がパクパク開閉している様子の比喩であり、
❞ご近所さん~口開きっぱ へとかかる遊びでもある

4.季語

❝君の前じゃなんかどうにもお祭りの金魚
❝Tシャツと一緒に跳ねる心臓だピョン

下はわかる人にはわかる、ぴょん吉の比喩だが、
ぴょん吉はヒキガエルがモデルといわれており、
金魚(加えてカブトムシも)とともに三夏夏の始まりの季語

❝ストロベリー味のゼリー
❝カブトムシが食っちまった夏のBullshh

いちごは初夏の季語
カブトムシは夏の季語

※ストロベリーには「イチゴ白書はもう一度」から”終わった恋の比喩”と、「イチゴ白書」の有名なセリフから”意味がない”、という比喩もかかっているだろう。

日本語は語彙が圧倒的に多いと言われる。
季語をとっても多様にあり、特に季語は季節や時期を表現する言葉の手段だ。
JELLYは時間の流れが
過去の夏→半年後の日常の初夏→さらに3ヵ月後の夏の終わり
と明確に季語によって表現されている。
これを全部意図して書いたのなら、どんだけ造形深いのPecori氏。
どこまで意図して作ったのか、どっかでぜひ種明かししてほしい。

5.暗号的、言葉遊び

季語で情緒を刺激したかと思ったら、次は暗号のような言葉遊びだ

❝気分はDのVooDoo

DはD'Angelo、彼のセカンドアルバム名がVoodoo
Albumでのリズムの不揃いさを、うまくいかない気分の比喩に使用

❝ブッ刺さったBull
❝カブトムシが食っちまった夏のBullshh

●Bull(ブル)はダーツの真ん中のこと
”直撃した””大ダメージ”といったところかな
またBull(shit)にはでたらめやばかばかしい、最低だ!
という意味があり、続く歌詞へとかかる
●Bullshhは2つの意味、Blue(青色=おあいこ)とBullshitの造語で
夏の終わり(カブトムシの季語)と過去の恋への未練が
かかっているのだろう

❝籠るStudio

スタジオに閉じこもる
また”籠る”は英語でshut up→黙れの意味もあり、
前の歌詞にかかる言葉にもなる

❝華麗にキメてえロマンス90

華麗にキメて(え)/えロ/(ロ)マンス/(マンス)90
マンス90はmonth90日で、(約)3ヵ月
時間としては終わった恋から9ヵ月(半年+3ヵ月)たった初夏を表現し、
新たな恋への意気込みだろう

❝I Love Youを込めたJellyどんな味する?

Jellyは食べ物のゼリーやジャム、
スラングでは妬む、うらやましい
❝Youを込めたJelly は、"U Jelly?"(嫉妬?の意)
愛を込めたゼリーであり、
嫉妬さえも愛おしい、的な。
※サビはゼリーではなく、ジェリーと発音されて歌われている

6.音遊び

❝言えない言えない言えないよ
そんなヒドい言葉

ここ、❝言わない も歌われていて。
”Iwanai”→Iはない→"I"で"ai"
→aiwanai→あいはない→愛はない
もヒドい言葉に含まれてるんだなぁ・・・
(しかも歌詞にも書かれていない=言えない っていう遊びまで)  

❝Number_i レツゴ!!

ここ"_"をバーって発音しているんですよね。
アンダーバーって空白っていう意味なんで、Number_iと
i /Let goっていう言葉遊びかと。(過去感情を手放す的な意味)
※蒸発したJellyによって振り返るのは「君」
しかし❞もういねぇ とあるように君にとってはすでに完結した過去。
だから俺自身も進もう、といった比喩だろう

7.言葉の対比

❝夏のPerfume溶けてくJelly
❝今ハマってるフレグランス収集

●パフュームは香りが強く、持続性の強い、特別な日につけるもの
●フレグランスは反対に日常で用いられるもの
濃く強烈な記憶と日常の対比よ・・・

8.回文

❝おあいこでVoice Count

ぱっと見の歌詞だと「せーの!」的な意味
しかしcountは重要という意味があり声が重要を踏まえた途端、
ひらがな部分だけを注視して「おあいこ」を反対から読むと、
こいあお→濃い青 となり、
Blue(青色)は❝Bullshh とも繋がる

9.日本発祥のもの

変わらず歌詞に日本のものが入っているのも、いいですよね。

・(仏陀)
・ド根性ガエルのぴょん吉
・夏祭りの金魚すくい
・スラムダンクの深津一成

結論、楽しすぎるし、すごいなぁ。

私がNumber_iの楽曲が好きな理由に、彼ら自身の思いが歌詞に入っていることがあります。
歌詞を通して私が楽曲と対話できる、というのがすごく好きなんです。

加えてこうやってずっと日本語を使って表現、遊んでくれる姿勢がマジで好きです。
かわらずの Made in Japan.の姿勢にリスペクトを。

ということで歌詞から見るNO.I(JELLY)の楽しみ方でした!

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