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あなただけの幸せって、意外と近くに転がってる

大学に入学して、暫く経った頃。
初めてネイルを塗った時のワクワクを、今でも鮮明に覚えている。

一回、二回と塗り重ねていくうちに、ほんのりとしたピンクの爪に、小さな煌めきが灯る。
魔法みたいな感覚。自分の手を見つめる度に、心が躍った。爪を着飾るのってこんなにも楽しいんだ、という感覚は、いつまでも残っていた。

大学時代の友達は、ラインストーンでデコったりとか、個性的なネイルをしている子が多かった。なのに、就活が近づくと、染めた髪を黒く“戻す”みたいに、爪を着飾ることも、あっという間に大半の子はやめざるを得なくなる。

それってしょうがないかもしれないけど、何だかなあ。

虚しいというか、何というか、、、

私も以前の介護の仕事では、利用者さんの安全の為、ネイルは禁止されていた。

最初のうちは私も、「まあ仕方ないか、、」と諦め半分だった。でも。

私が働いていた施設で、音楽療法のレクリエーションを行う為に、時々来てくださる先生がいたのだが、その方がピアノを弾く手に、私は見惚れてしまった。

もちろんピアノさばきも素敵なのだけど、何より彼女の指には、小さな輝きが。

私にとっては眩しいくらい、まるでネイル自体が、手の届かないところにあるかのような感覚になった。

やっぱりネイルがあるのとないのとでは、自己肯定感が違うのだ。

人見知りでティッシュを全然配れない人が、キラキラのネイルをしたら、見違えるほどに貰ってくれるようになった。そんな実験映像みたいなものを、テレビで見たことがある。

あれって、ほんとかもしれない。

私も今、何となくそれを実感している。


今はありがたいことに、派手過ぎない程度のネイルが認められている職場で働かせてもらっている。

私の指には、レクリエーションの先生程ではないけれど、今なお、ほんの少しの輝きがともっている。ふと、キラキラの指を疲れた瞬間に見ると、私ってやっぱり可愛いなあって、ほんの一瞬であっても思えるのだ。

別に日常生活には必要ないかもしれないもの。それって、他にも沢山ありますよね。

でも、どんなに小さな輝きであっても、日常に取り入れたら、ほんの少しだけ自分に余裕が持てるかもしれない。なんて思います。

ちょっとだけ、明るいものを自分に取り入れてみる。髪色、服装、ネイル、メイク。日常の中で、出来る範囲で、出来る工夫を考えてみる。

そんな感じで、何とか働いている私。
体は正直、しんどい。肩も首もバッキバキだし、とっっっっっっっても疲れている。

ただ、気持ちは前ほど落ち込むことはなくなった。親からも、「前より状態、良くなってるんじゃない?」って言われた。

ネイルのおかげで、私はほんのちょっとだけ、幸せになれた気がする。気のせいかもしれないけど。

結局、自分の感情は自分にしか分からない。

あなたが幸せって思ったら、それが間違いなくあなただけの幸せなんです。