おでかけ
おいさんと出掛けた。
おいさんは、いつも忙しい。前はよく遊んでくれたけれどとんと顔を見せなくなって数年経った。近くまで来るから寄る、とのこと。
家の外でおいさんの車を待つ。雨が降る夜だった。車のライトが走る狭い路地を減速しながら近寄ってくるのがおいさんの車である。
車に乗り込む。一番近い高速道路のインター目指して走り始める。
会社をドジョウに乗っ取られた、と私は言っているが、ドジョウの先見性と若さと実行力に信頼を置き、おいさんは会社の名前も建物も株式も全部ドジョウに渡した。
ドジョウが引き継いだ会社は私が建てた国への貢献度も高い。これはよくよく聞けばおいさんの指示だったそうだ。おいさんはそれから、ずっと料理人になりたかったのだと言い、修行に出ていたそうだ。最初の1年はポテトを揚げることしかさせてもらえないようななんともプリミティブな、しかしおいさんが憧れていた料理修行だったのだろう。
そんな話を聞きながら、隣県まで辿り着いた。
つづく(かもしれない運転)