015 2024年度末対外純資産について
1 対外純資産33年連続世界一
日本の対外純資産は471兆円で33年連続世界一という報道がありました。対外純資産は財務省によって年に一回通常5月末に本邦対外資産負債残高という名称で発表されます。それによって対外純資産が算出されます。ここでは対外純資産と呼ばれるものがどのようなものか考察していきます。
2 対外純資産とは
「対外純資産」は日本の政府や企業、それに個人が海外に保有する金融資産である「対外資産」から海外の政府などが日本で保有する金融資産である「対外負債」を差し引いたものです。
つまり
『対外純資産』=『対外資産』ー『対外負債』
対外資産:日本の政府、企業、個人保有の海外の資産
対外負債:海外の政府、企業、個人保有の日本の資産
という計算式により導き出せます。
海外勢よる日本の資産の購入 < 日本勢よる海外の資産の購入
がいえるということになります。
3 対外資産
対外資産は1488兆3420億円でした。
内訳は以下のとおりです。(カッコ内は前年度からの増減額、増減率)
直接投資 307兆6920億円(+32兆9430億円、+12.0%)
証券投資 617兆3380億円(+86兆480億円、+16.0%)
金融派生商品 62兆3320億円(+14兆4340億円、+18.8%)
その他投資 317兆8870億円(+24兆5950億円、+8.4%)
外貨準備 183兆0940億円(+20兆9540億円、+12.0%)
合計 1488兆3420億円(+150兆1060億円、+11.2%)
4 対外負債
対外負債は1017兆360億円でした。
内訳は以下のとおりです。(カッコ内は前年度からの増減額、増減率)
直接投資 50兆5180億円(+4兆350億円、+9.4%)
証券投資 505兆5130億円(+47兆2880億円、+10.3%)
金融派生商品 63兆7010億円(-13兆7020億円、-17.7%)
その他投資 397兆3040億円(+59兆4920億円、+17.6%)
合計 1017兆360億円(+97兆4280億円、+10.6%)
5 対外純資産
対外純資産は471兆3060億円です
内訳は以下のとおりです。(カッコ内は前年度からの増減額、増減率)
中央銀行及び一般政府 -13兆7070億円(+28兆3420億円、+67.4%)
中央銀行及び一般政府以外 485兆0130億円(+24兆3350億円、+10.3%)
預金取扱機関 42兆0220億円(-9兆0870億円、-17.8%)
その他金融機関 388兆6830億円(+49兆5160億円、+14.6%)
その他 54兆308億円(-16兆0940億円、-22.9%)
6 対外純資産が増えた要因
対外純資産が増えた要因は以下の3点が大きく関係していると考察されます。
(1) 円安
(2) 人口減による海外への投資
(3) 新NISA・ideco拡充による海外投資
(1) 円安
対外資産のほぼすべてが外貨建てであるため円安になれば円による価格は相対的に増加します。(1ドル100円時に買って、1ドル150円になれば+50円の利益となるように)
(2) 人口減による海外への投資
日本人の人口が減っていきます。人口の増減はその国の経済に大きく影響されます。そのため人口の多い国への投資が国内企業、個人問わず積極的に行われた結果海外への投資が加速されます。
(3) 新NISA、ideco拡充による海外投資
今年1月から新NISAがスタートし個人の海外への投資が活発に行われるようになりました。
一時は為替に影響を与えるほどとのことでした。今年末にはidecoも拡充されるため個人の海外資産購入の流れは継続されることが予想されます。
7 まとめ
日本は海外に積極的に投資をして海外の資産を多く保有している国です。新NISA、idecoの制度で象徴されているとも言えます。為替は対外資産の評価額に大きく影響されます。今後は国レベルの海外資産状況を把握し、個人レベルの投資に役立てられるよう努めます。