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MV撮影のテクニック BAND演奏シーン!!!その2、 ショットのバリエーションと撮れ高と時間と体力。

タイトルの写真は Pay money To my Pain【Out of my hands】
MV準備風景 in LA 以下撮影したMVの例です。

https://www.youtube.com/watch?v=d5ya8NcvbW8

https://www.youtube.com/watch?v=EcSQQqk95gA

https://www.youtube.com/watch?v=bV4vcr8E4HU

バンドのMV演奏シーン、4人編成で、G,Vo,B,Drsの演奏シーンを撮る場合。
上の図はよくあるメンバー位置の例で、オーソドックスな演奏感を狙い、
バンドの各メンバーを2サイズづつ撮り、演奏シーンでまとめた編集をした時に、
十分なバリエーションの編集素材数を確保する撮り方の一例です。

MVの撮影はカメラが1台が基本で、2台で撮る事も有ります。
毎回、楽曲をフル尺で流し、カメラ位置と狙いを変えていきますので、
毎回ベストなカメラ位置と構図を見つける事が最優先です。
カメラ台数が多いと別のカメラが写り込んでしまう位置関係に成るので
成立しません。
マルチカメラの1発撮りでは成立し得ないカメラアングルに入り、
撮影回数を重ねてベストな画を積み重ねます。

各ショットの内容

① 4s(フォーショット)のバンド全員のショット、楽曲の長さはフル、カメラは前後や左右にジンバルやレール移動車で移動したり、カメラワークでグルーブを付けつつ、全員の演奏がおさまったままの画角を保ちます。
もちろん狙いならばカメラはFIX(固定)の画角でも良いです。
楽曲の長さはフル。

※軽く1回、楽曲のプレイバックの音量などをメンバーにチェックしてもらいつつ、リハーサルを収録、直したい所が有れば修正し、本番を1回撮ります。

※撮ったものをプレイバックして、バンドメンバーに見てもらい、良ければ1テイクでOKにして進めます。

② Vo中心のミドルショット(中くらいのサイズ)
Ns(ニーショット,膝上くらいのサイズ)からBs(バストショット,胸上サイズ)
くらいの間で、Voの ”歌とアクションを狙う。
背景や画面の余白に他のメンバーを上手くからませても良いし、
あえて ”変” な構図にしたり、楽曲に合っていてカッコ良ければ自由。
楽曲の長さはフル。

③Vo中心のタイトショット(よりのサイズ)
Bs(バストショット,胸上サイズ)〜顔のアップサイズ。
Voの良い表情を余す所なく撮るショット!!
楽曲の長さはフル。

※ ここまででVoの正面意外の角度も良さそうだったら横顔なども追加して撮る。
Voの撮れ高が一通りOKで有れば、他のメンバーのショットに移ります。

④ G の楽器込みのサイズ。おのずとNs(ニーショット,膝上くらいのサイズ)になる事が多い。
顔の表情と、左右の手元(ピッキングと運指)をおさめたままの構図で1曲撮り切る。
背景にDrを入れるか、または、あえて1s(ワンショット)にするか、後に撮る他のメンバーのショットを考えておきます。
楽曲の長さはフル。

⑤ G の楽器の手元の中心のサイズ。楽器がカッコいい構図で左右の手元の動きは逃さず、1曲取り切る。(intro,Gソロ,outroだけで良い場合など、曲の一部分の時も有る)

⑥B の楽器込みのサイズ。おのずとNs(ニーショット,膝上くらいのサイズ)になる事が多い。
顔の表情と、左右の手元(ピッキングと運指)をおさめたままの構図で1曲撮り切る。
背景にDrを入れるか、または、あえて1s(ワンショット)にするか、バランスを考えて撮る。
楽曲の長さはフル。

⑦ B の楽器の手元の中心のサイズ。楽器がカッコいい構図で左右の手元の動きは逃さず、1曲取り切る。(intro,Bソロ,outro,スラップなどだけで良い場合など、曲の一部分の時も有る)

⑧ Dr の1s(ワンショット)のルーズサイズ
オーソドックスな1バス、スネア、ハイハット、2タム、フロアタム、2シンバルだとして、まずはこの楽曲でのベースのリズムパターンで良く使う打面が見える構図にし、メロの間のオカズなども漏らさずに1曲収める。

リズムキープ時とフィルイン(おかず)で画角が大きく2パターン有る時は、
Voの歌のキメ所(メロ終わりの歌詞や、サビなど)はVoの画を使う前提で、
2拍くらいの間で素早く画角を変えながら、1テイクで2サイズの画角を撮る事も有ります。
ドラムの素材は編集時に短く入れる事が多いので、安定したカメラワークの方が使いやすい画になります。
また、歌やギターのフレーズと違い、AメロとBメロの間の2拍とか、楽曲の展開の節目に挟まる事が多いので、編集で使える様に気をつけて、そう言うタイミングに不用意にカメラワークを動かさない注意が必要です。
逆にメロ頭、サビ頭、などは編集で使う可能性が無いので、構図を変えるタイミングとして利用します。

⑨ Dr の1s(ワンショット)のタイトサイズ
先に撮ったルーズサイズ対して、印象の違う切り取り方で、顔の表情や髪を振り乱すアクション、シンプルに手元の寄りサイズなど、アクションのカッコ良さメインで切り取っても良いと思います。

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※ ここまでで、全部のバンドメンバーの素材が足りていると判断したら、基本的な演奏シーンのバリエーションが揃ったので、楽曲と演奏感のシンクロしたONな感じの素材はここまでとし、さらに時間的とバンドメンバーの体力的な余裕が有れば、もっと遊びの効いた自由な切り取り方で、凄いアップとか、早いカメラワークとか、フォーカスが激しく合ったりボケたりとか、思いつくままに自由に撮るフェーズに移ります。

ここから先はノリ(グルーブ)で撮るので、どのメンバーの何を、どの位のバリエーションの数撮れば良いかは、ディレクション(演出)の感覚で決めるしか無いので、とりあえず、面白そうだったら撮れ高を気にせず、やってみましょう。

➓ イレギュラーな遊びショット。
今までの演奏シーンの素材は比較的、1回の演奏をマルチカメラで同時に撮った様なシンクロ感が有り、編集で繋げやすい素材になっているはずなので、
ここからは、つじつまが合わない様なアクションや、違う歌い方の表情、立ち位置の違い、ノリの違いをあえて狙いでやっても大丈夫です。
もちろん、バンドメンバーに説明して、理解した上で撮らないとうまくいきません。

各メンバーの1ショットを撮る度に、イレギュラーな遊びショットを追加で撮りながら進める方法もありますが、何回も撮影しているお馴染みのバンドだったら、ペース配分がわかるので、成立すると思います。
また、オーソドックスな演奏感の有るショットが、初めから狙いでは無く、
個性的な画でまとめたい時はその限りでは有りません。

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広いロケーションで手の込んだ照明をあまりせず、
楽器や撮影機材の搬入と設置が楽な場所だとして、
準備2時間、撮影3時間、撤収1時間くらいはかかります。
暗い建物の中や、照明で工夫をする事が必要な場所では、
さらに時間をみる必要があります。

激しいアクションを持ち味とするバンドなどでは、
10回くらいが限界の場合も有りますので、
全体のプランを説明して進めるのが良いと思います。
全てのショット、1テイクOKで進めるのが基本です。
バンドと撮影クルーの一体感でノリ切るのが重要です。

以上、MV演奏シーンの例でした。

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