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風の人


 広い池のある公園をぶらぶらと歩いていた。
僕は池を覗きながら優雅に泳ぐ鯉を見て
「ここに糸をたらしたら入れ喰いだろうな」と
アホみたいな事を考えながら歩いていた。
小学校の頃、休みの日に竹竿を持って学校の小さな池に行き釣ってはリリースして楽しんでいたら
警備員のおじさんに見つかって速攻で学校を後にしたのを思い出した。

錦鯉や三色鯉、黄金色した鯉、ノーマルの鯉
色んな模様の鯉たちが泳いでいる。
僕はそれを見るのが好きだった。
ひとつ残念なのが、僕が好きな独鯉がいないのが残念だった。あの独特な鱗が好きなのだ。

 公園から帰りに自転車で、知り合いの盆栽好きのおっさんの家の前を通った時に「よおっ」と
声をかけられた。「盆栽見ていくか?」と言ってきた。実は、盆栽を眺めるのも好きなのだ。
僕は、久しぶりにおっちゃんの家の庭にお邪魔した。あい変わらず全ての盆栽と植木の手入れがいき届いている。好きじゃないと出来ないなぁと心で思いながら緑に癒されていた。

暫く盆栽に見とれていると棚の隣り下に真っ赤なアマリリスの鉢があるのを見つけた。

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アマリリス


アマリリス(英語:Amaryllis)は、ヒガンバナ科ヒッペアストルム属 Hippeastrum の植物の総称、原種は中南米・西インド諸島に約90種があり、数百種類の園芸品種が作出され、現在もその数は増え続けている。学名のヒッペアストラムはギリシア語で騎士の意味のhippeos(ヒッペオス)と星、astron(アストロン)から、アマリリス Amaryllis は旧属名であり古代ギリシャやローマの詩に登場する羊飼いのアマリリスから取られている。 学名上の園芸品種の総称はヒッペアストルム・ヒブリドゥム Hippeastrum × hybridum 。
           ウィキペディアより引用

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僕は、おっちゃんに、「この花どうしたの?」と
聞いた。おっちゃんは、「あぁ、これかぁ~ これは、知り合いのヤツに盆栽をやったらお礼にもらったけどワシは花はやらんでな~断ったのだが、ただでは申し訳ないからと置いて行きよった」と
少し困った顔で言った。「あっ、そうだ ケン坊これ持ってかないか?」と僕に振ってきた…
少し面倒くさいと思ったがアマリリスは好きな花なので、部屋に持って帰って育てる事にした。
帰り際におっちゃんに「盆栽も花も一緒だから、お前なら大丈夫じゃ」と勝手な事をいうおっさんを後に自転車の前かごに乗せたアマリリスを眺めながらペダルを早めにこいで家に向かった。


しかし、家に向かっている途中にアクシデントにあう…。

スマホの着信音が聞こえた為、反射的にジーンズのポケットに手をやった時、バランスを崩してガードレールに接触して転倒してしまった。
固定してなかったので籠から鉢は吹っ飛びスマホも手から離れて地面に落ちた。幸い軽い打撲と擦り傷で済んだ。スマホも裏側と角に傷が付いただけで画面は生きていた。しかし、ぶっ飛んだ鉢は
破損して、事もあろうにアマリリスの茎の部分に腕から落下した為、つぶれて重症である…。
「あぁ〜あぁ やってもうた」ひとりごとを言いながら破損したアマリリスの鉢を大事に自転車の籠に戻した。スマホを拾ってまた、自転車のペダルをこいでアパートに向かった。

部屋について、折り曲がったアマリリスの茎の部分を折り曲がった少し上の方から切って細長いタンブラーに差した。部屋には花瓶なんて洒落たものはないからそうした。 ごめんよ、そう心でつぶやきながら残念な気持ちで、無事だった真赤な花の部分を暫くの間見つめていた。

次の日にホームセンターへ行き鉢を買って来て球根と根っこの部分を植え替えた。もしかしたら
新しい球根が生まれるかも知れないと思ったからだ。

 ワンルームの小さなテーブルにぽつんと存在感のあるアマリリスがあまりにも綺麗だったので
“べっぴんさん”と名前をつけた。

            第一部 完


♦いきなり書いたものですが、最後まで読んで
いただきありがとうございます。
マガジン用の記事を書いているうちに、何か書いてみたいと、以前の感性!?
書く事の楽しさ!?
みたいのが急に湧いて来て、今回、マガジンそっちのけでUPしてしまいましたw

次回はマガジンの制作記事になるのか、続きを書くのか分かりませんが、とりあえず今日は失礼致します。


アンリ・ギス /  アマリリス(原曲)









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