欧州のクリーンテック、VC不況に直面しながらも回復力を示す
SDGsへの関心の高まり、気候関連の自然災害の頻度増加によって、クリーンテックは欧州VC界の低迷から免れることができている。
PitchBookによると、第3四半期のVCは、クリーンテック新興企業が大型案件の半数を占めた。欧州VC全体の不況の中で、前年比のディール額、件数の減少についてもクリーンテック業界は他のセクターよりも健闘している。フランスの電池開発会社Verkor(ヴェルコール)など、現在欧州クリーンテックには複数の大規模な企業がある。 加えてEUのネット・ゼロ産業法案などの規制も、今後のクリーンテックへの投資を後押しする可能性がある。
第3四半期における欧州のベンチャーキャピタルの大型案件の半数がクリーンテック新興企業であった。
PitchBookのQ3 2023 European Venture Reportによると、今年最初の9ヶ月間で748件のディールに総額91億ユーロ(約96億ドル)が投資された。これは、2022年と比較して、ディール額で42.8%、件数で38%減少したことになる。
欧州のクリーンテック業界におけるVCの活動が急増し、昨年のような高水準に達する可能性は低いが、この業界は他の多くの業界よりも健闘している。例えば、フィンテックは2022年と比較してディール額が73%減少しており、SaaSは71.4%減少している。
第3四半期までの欧州VC市場全体のディール額は、2022年の年間レベルの40%に達しているが、クリーンテックは57.2%に達している。
多くの大型案件がこの業界の総ディール額を押し上げ、その中には今年これまでで欧州最大のVC案件も含まれている:Macquarie Asset Management( マッコーリー・アセット・マネジメント)が主導した、フランスの電池開発会社Verkorの21億ユーロのシリーズC案件がその一例だ。その他の注目すべき案件としては、スウェーデンのグリーンスチール・メーカーH2 Green Steelの15億ユーロの資金調達があり、Altor Equity Partners、GIC、Hy24などが投資家として名を連ねている。
地球保護に対する消費者の関心の高まりと、気候関連の自然災害の頻度増加により、クリーンテックは、より広範なベンチャーキャピタルの低迷から免れることができた。
2030年までにクリーンエネルギー技術の少なくとも40%をEU内で製造するという目標を盛り込んだEUのネット・ゼロ産業法案など、好意的な規制がこの地域への投資に拍車をかける可能性がある。
https://pitchbook.com/news/articles/europe-cleantech-vc-q3