見出し画像

欧州のVCは10年、15年の長期にわたって米国のVCを上回る 欧州のアクティブファンドのIRRは100%以上

欧州のベンチャーキャピタル(VC)は、長期的に北米を上回るリターンを示している。Invest EuropeとCambridge Associatesのレポートによると、欧州VCの10年純IRRは20.77%、15年では16.57%で、北米VCを上回っているが、20年では北米が優勢。投資家への資金回収は北米が早い(平均4.5年)一方、欧州は6.7年だ。特に2011年と2016年のファンドは高いパフォーマンスを記録した。老舗VCファンドの方が新参者よりも高いリターンを示している。


ベンチャーキャピタルは米国生まれかもしれないが、最近の欧州のベンチャーキャピタルも悪くない。

投資会社Cambridge Associates(ケンブリッジ・アソシエイツ)のデータに基づき、業界団体Invest Europe(インベスト・ヨーロッパ)が発表した新しいレポートによると、ヨーロッパのベンチャーキャピタルのリターンは、10年、15年という長いスパンで見た場合、北米のベンチャーキャピタルのリターンを上回っている。

10年間の純IRR(内部収益率)は、北米の18.18%に対し、欧州のVCは20.77%であった。15年間でも、北米のVCが16.09%であるのに対し、欧州のVCは16.57%と、より高いリターンを上げている。

しかし、20年間では、北米VCのIRRが13.03%であるのに対し、欧州は12.87%である。北米のファンドは投資家への返済も早く、LPは平均4.5年で資金を回収しているのに対し、欧州は6.7年である。

IRRは、プライベートエクイティにおいてファンドのパフォーマンスを比較するために用いられる(不完全な)指標である。IRRはファンドが生み出すべき年率換算の期待リターンを示し、IRRが高いほどパフォーマンスが良いことを意味する。ほとんどのアーリーステージのVCファンドは、30%以上のIRRを目指している。

良い年

インベスト・ヨーロッパとケンブリッジ・アソシエイツのデータは、ワインのように、VCのビンテージにも良い年とそうでない年があることを示している。

2011年は最近で最も良い年の一つであった。2011年に組成された現在も活動中の欧州VCファンドのTVPI(払込資本に対する価値合計)は7倍で、IRRは37%である。

2016年も良い年であり、この年に組成された現在も活動中の欧州のファンドのTVPIは3.7倍、IRRは33%である。

パンデミック後の好況期である2021年と2022年は、TVPIが1倍、IRRが1%と、ひどい年になりそうだ(これらのファンドにとってはまだ日が浅いが)。

TVPIはファンドの比較に使われるもう一つのパフォーマンス指標である。TVPIは、現在までに投資家に支払われたすべての分配金と、ファンドがまだ保有している投資の未実現価値を合計したもので、払い込まれた資本額に対するファンドの価値を示している。TVPIが1倍未満のファンドは、投入された資金よりも低い評価額となる。

新しいファンドvs古いファンド

2021年に発表されたPitchBook(ピッチブック)のデータでは、初めてファンドを運用したファンドのリターンは老舗ファンドよりも高いという結果が出ているが、ケンブリッジ・アソシエイツのデータでは、「老舗」ファンド(5代目以降のファンド)のパフォーマンスが最も高く、「新参者」ファンド(1~2代目のファンド)のパフォーマンスは最も低い。


初回ファンド(1986年以降の欧州の全データを対象)の平均TVPIは1.65倍、IRRは9.77%であるのに対し、設立済みファンドのTVPIは2.71倍、IRRは19.75%である。

勝者

欧州にも大きな外れ値がある。ある欧州のファンド(現在も活動中)のIRRは100%を超えている。

データ

ケンブリッジ・アソシエイツは、1986年から2023年の間に調達された223のヨーロッパのVCファンドのサンプルを使用し、総資本は423億ユーロであった。

半数以上(123ファンド)が1回目または2回目のファンドで、52ファンドが3回目または4回目のファンドである。

北米のデータセットははるかに大きく、2,500のファンドを含み、資本金は5,616億ユーロである。

↓Source link
https://sifted.eu/articles/european-vc-irr-2024


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?