私はよくかわいいといわれる〈31〉
放課後教室の隅のいつもの場所で金井君と2人でいる。お互い床にじかにあぐらで座り金井君は売店で買ったジュースを吸っている。こいつといると最低限の女性らしさまでなくなっていくのが肌感覚でわかるのだが、どうしようもない。
最近鈴音がこちらの教室に来なくったことについて思うところがあった。おそらく森本君のことを諦めたのだろう。初めはアプローチしていたみたいだが、脈がないと気づいたら今度は会うのが気まづくなるのが人情である。よくこの教室に来る森本君とばったり会わないようにしてるという推測ができる。
しかし森本君もあんなかわいい子を袖にするなんてと思うが、こればっかりは個人の価値観なのでしょうがない。ということを金井君に言うと
「姐さんとほぼ一緒の感想でゲスね」と返ってきた。
姐さん…そしていつの時代のどのキャラなんだその話し方は…
この前屋上で話した時以来金井君の敬語が継続している。そして自らの立場を落としに落として町奉行と情報屋のような関係になっている。
「金井君は鈴音と最近話したりしてるの?」と聞けば
「いや~アッシも廊下であったら軽く挨拶するくらいっすね~」と金井君も鈴音と疎遠気味とのことだ。金井君は鈴音のことが好きだったから先ほどの理屈がこちらにも当てはまる。悪いこと聞いちゃったかな。
「姐さんは?」と問われれば
「いや~わたしも全然だな。鈴音は美樹とも仲が良かったはずなんだがな」と答えて
「お嬢(美樹のことらしい)と?そりゃ知りませんでした」
「そうだよ。だって美樹がエレメントガールのオーディション受けてるの鈴音から聞いたんだもん」
「そうだったんでゲスか…」