私はよくかわいいといわれる〈19〉君の彼女は魔女なんだ (1)
君の彼女は魔女なんだ 鍋島葵
「え~今から転校生を紹介しま~す」
担任の声にクラスは鎮まる。
入ってきた生徒は超絶×100のイケメンだった。クラスがどよめく。女子生徒はそのイケメンさに誰かが叫べばそれにつられて全員叫び声を上げそうな爆発寸前の状態だった。ただ1人、渡辺マリアを除けば。
「初めまして京極成政と申します」
京極のあいさつに新藤シュンはすごいイケメンているもんなんだな~となぜかしみじみ感慨にふける。
休み時間、すぐに女子生徒に囲まれる京極。恥も外聞も投げ捨てたように女子が群がる。そこで質問攻めをしてるのは中沢かなえだった。シュンはマリアをちらっと見る。マリアは静かに読書をしていた。
「新藤くん!」
下校するシュンが振り返るとどうやって女子をふりきったのか京極が1人でいる。京極が話しがあると言うので2人で近くの公園に行くことにした。
夕暮れ時に、シュンと京極は公園のブランコに座る。公園には2人以外誰もいない。
「突然だけど僕は悪魔だ」京極は満面の笑みで言った。
「はあ?」シュンは何の話かわからない。とその時シュンの視界は全てが逆さになっていた。
「うわー!何?何?」シュンは叫ぶ。シュンの視界がぐるぐる回りようやくブランコごと自分が体操の大車輪のように回っていることに気づく。
「信じてくれたかい?」京極は笑いながらシュンを見ている。
「信じる!信じるから止めてー!」
ピタっとブランコは止まり、シュンは三半規管の乱れとそれによるめまいと吐き気でぐったりしているとまた京極が話し始めた。
「うちのクラスに渡辺マリアっているだろう?」
「お、おう…彼女がどうかした?」シュンは辛うじて答える。
「君と付き合ってるよね?」
「ま、まあ」
「実はねえ、君の彼女は魔女なんだ」