私はよくかわいいといわれる〈4〉
私と金井君と美樹は同じクラスだが。森本君と鈴音ちゃんはそれぞれ違うクラスだ。
1年の時は私と森本君と鈴音ちゃんが同じクラスでそこで仲良くなって、森本君と同じ中学の金井君とも話すようになった。
森本君と金井君は廊下で会うといきなりプロレス技のようなものを掛け合い、男子同士のあいさつをよくしている。
しかしこの過剰な触れ合いに違和感がないわけではなく、その違和感はこの2人の現状があまりに違うことからやってくるのだろうか。
サッカー部のエースで成績も良い森本君には森本ガールズという1年のファンがいてよく練習を見に来たりしている。かたや帰宅部のエースで成績も悪い金井君は帰宅部で時間があるくせに帰っても何もせずぼーっとしているらしい。
この2人の高校卒業後の進路の違いは明らかだ。
進路が違えば疎遠になるのは自然の成り行きで、それをお互いわかり合った上で同じ空間にいる間は親友を演じている様に見えた。そこまで含めて2人の波長は合っているようだ。
少年2人が親友でいる最後の期間に今、私は立ち会ってるんだと思うと貴重なものに触れてる気がしないでもなかった。