猫は毎日鳴く~ある日声が聞こえた猫の話~
前回のnoteのおはなし。
前回のnoteを読んでくださった方、
Twitterでコメントくださった方、みなさま優しいお気持ちをくださり、
本当にありがとうございます。
同じく長年一緒に過ごした猫の話をしてくださる方や、
お写真を見せてくださる方もいて、
人の気持ちに触れ、猫に触れ、時間もたってやっと、
以前よりは穏やかな気持ちで、ごまやしまおの写真を見ることが出来るようになりました。
今は歴代猫たちの写真を集めて、家系図を作っているところです。
おおよそ20年くらい。遡っても、遡っても写真が出てきます。
少しでも多く撮影しておいてよかったな、と思っています。
声があまりに大きかった🐈
今日は、今も元気に家で過ごしている猫のお話をさせてください。
彼女の名前は『チロル』と言います。
我が家はとにかく過去に出会った猫の数が多く、
名前を付けようという度に悩むことになるのですが、
この時はとあるゲームのペットの名前候補から、可愛い名前だからと無事チロルに決まりました。
チロルは拾ってきた子です。
確か私が会社を午前休して、近所の歯医者へ車へ向かおうと走っていた時。
窓をぴったり閉めて、なんならカーステレオも音量大きく流していたのに
「ニャー!!!!」と大きく鳴く猫の声が聞こえたんです。
そこは家から少し離れたところ、田舎によくあるビニールハウスがある場所でした。
ビニールハウスのすぐ横には、高さのある水路がありました。
人間でもうっかり落ちたら足を怪我しそうなくらいです。
まさかこんなところに猫が?
季節は秋だったので、野良猫は発情期。子供が生まれていてもおかしくはありませんでしたが、
気のせいかな、と私はその場を離れ、歯医者へ向かいました。
歯医者が終わり、少し時間が早かったので、
直接職場へ向かう前に、一度家に帰ろうと、私は再びビニールハウスの前を通りました。
「ニャー!!!!!」
今度は先程よりも大きい声でした。
気のせいなんかじゃない。私は車を降り、水路とビニールハウスに近寄ると、
そこには、手のひらよりも小さな、小さな子猫がいました。
大きな声で何度も鳴いていました。
子猫がいるとはいえ、母猫がどこかへ移動する(※野良猫は一か所に留まると襲われることを懸念し、移動する習性があります)可能性がありました。
子猫に人間のにおいがつくと、母猫が育児放棄をすることもあり、
直接触るのはあまり良くありません。
一度私は車に戻って、少し離れ、様子を見ました。
けれど時間が経ち、周囲を探っても、母猫が来る気配はありませんでした。
私は車を離れ、猫を手のひらに乗せて、家に帰りました。
子猫はその間、ずっと、ずっと鳴いていました。
お母さんを呼んでいたんだと思います。
母猫がチロルを手放したのかは、私にはわかりません。
ただ、後日検査のために動物病院へ行った結果、
チロルは恐らくアメリカンショートヘアーの血統書がついている可能性があると言われて、驚きました。
番で猫を飼っていた家庭が、子供がうっかり増えてしまったので…ということも、
あんまりとは思いますがない話ではありません。
当時はそんな事を考えている余裕はなくて、
とにかくこの子を、母猫がいなくても生き長らえさせないと、
そう思って家に向かいました。
ひとまず家に帰り、その日非番で家にいた父に子猫を預け、
私は職場へ向かいました。
帰りに量販店に寄って子猫用のミルクを買い、
スマホで子猫のことをとにかく調べました。
寒さが体によくない、お母さんと基本的にずっと一緒にいる。
ミルクは3時間おきにあげるのが良い。
…3時間!?とびっくりしました。
でも、人間でも猫でも、子供はお腹が空くもの。
私はいろいろと覚悟をして、その日からチロルが大きくなるまで数か月
リビングのこたつに布団を掛けて、いつでも起きられるように、
いつでもチロルにミルクをあげられる体制をとることにしました。
私は人間で、大人で、住む家があってここにいるけれど、
チロルは自分でごはんを調達することはできないし、
母猫もそばにいない。
私がお母さんになることで、この子が大きくなるのなら、と思いました。
声が小さくなった🐈
それから6年。今はチロルはすっかり大きくなり、
ここまで大きな病気もせず。
たまに廊下で会う先住猫のごまやしまお、りゅうと挨拶しながら
毎日をのんびり過ごしています。
出会った時は、あんなに大きな声で鳴いていたのに、
実はいまでは、あまり鳴くこと自体しないようになりました。
たまーに、チロルが大好きな私の父が部屋を離れた時に
どこにいるの!と声をあげるくらい。
余談ですが、チロルを家に迎えた初日、あまりに声が大きすぎて、
昼寝をしていた父が「うるさすぎるから外に出せないか」、
なんて言ってきたことがありました。
私はその時、当時はもう外も寒く、カラスもいて何があるか分からない。
父が外で護ってくれるのか?と説明したのを覚えています。
本当に大きな声だったので(笑)気持ちはわかりますが、
人間は自分が安全な場所で暮らしているから、
弱いものへの気遣いを忘れることがあるんだな、と感じた覚えがあります。
※そのあと職場から帰宅した母に、あなたは子猫も守ってあげられないの!?と、父はめちゃくちゃに怒られていました。
疲れてる非番の日に連れて帰ってごめんね、という少しの気持ちも。
大きな声で何度も何度も鳴いていたチロルは、
買って帰ったミルクをあたためてあげると、突然静かになりました。
気付いた時には、まんまるのお腹を見せながら寝ていました。
お腹が減って不安で、お母さんもいなくて寂しかったんでしょうね。
その姿を見て、自分の寝不足なんて気にしていられないな、と思いました。
それに、自分のお腹の上で寝ている子猫、ほんとーーーにかわいいんです。
寝覚めも最高。チロルと一緒に寝た数か月、毎日癒されていました。
そんなチロルは今日も、家具の高いところに置いてもらった猫布団から、
私や家族のことを見下ろしています。
全員の姿が見えないと探して歩き、
時々にゃあん、と鳴いて探している、寂しがり屋です。
聞こえるはずのなかった声。
あの日、車の中でもまっすぐに届いたチロルの声。
動物病院の先生からは、本来はどんなに大きくても、
さすがに音楽も流している車の中までは、周波数的にも猫の声は聞こえないから、
チロルは誰かに届くように、音量の大きさというよりは、
ここにいるよ、探してと、
きっとそういう言葉で鳴いていたんですね、と言われました。
私が通りがからなかったら、違う誰かがチロルを救っていたかもしれない。
けれど、もし行くのが遅かったら、
真横にあった水路に落ちたり、カラスに狙われることもあったかもしれない。
チロルの大きな声を聞くことができて、本当に良かったな、と
今ではチロルの顔を見る度に思います。
たとえば、毎日撫でる度に手を噛まれたり引っかかれても。
今日は、そんな彼女、チロルとの出会いのお話でした。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
明日からもまた、がんばりましょう🐈
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