7,長く険しい岩場に心が折れる?
朝食のあと、山小屋に取り残されていた私たちもさすがに出発しないとマズイ?という空気に押されて宿を後にした。山小屋付近の斜面は大きな岩場の連続であった。斜面が急で素人の私には『ロッククライミングをしているのでは?』という感覚に襲われるほど、一つ一つの岩場が私の行く手を大きく阻んでいた。そんな中、小さな子供を激励しながら登る父子ずれと遭遇した。お父さんは、小学校低学年くらいと思われる男の子に『がんばれ!あきらめては駄目だ!男だろ!』とスポ根漫画バリの厳しい言葉を浴びせかけていた。ただ、どう見ても、この先その子の身長よりも大きな岩が無数にある、この先を制覇するのはいささか無理があると素人目にも言わざるを得なかった。2,3度そのような光景を見かけたが、しばらくしてその親子を見かけることはなかった。お父さんの厳しい言葉に必死に食らいついていこうとするその子の頑張りには、周りの多くの登山者に間違いなく勇気を与えていた。『あんな小さな子供が頑張っているんだから、大人も頑張らなくてどうする!』
そんな思いが頭をよぎったのは私だけではないはずだ。と同時に『もう少し優しく声をかけてあげてもいいんじゃないかな?』と思ったのはまだまだ私に親としての自覚が足りないからなのか?