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トイレの幽霊
トイレの花子さんという都市伝説があるようですが、トイレという場所は幽霊が出没しやすい場所なのかもしれません。
今回は私が昨年まで働いていた会社での「トイレの幽霊騒動」の話です。
産業用地の会社
私は昨年まで地元境港市の港で、現場作業員の仕事をしていました。
ある頭にくる出来事があって、悩むことなくサッサと辞して今はプーをしております。
私のことは置いといて、この会社は埋め立て地の先端にあり、夜になって終業時間を迎えると、人っ子一人いない寂しい場所となってしまいます。
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ここには現場作業員の詰所と事務所があり、事務員の女性は3人いました。
月末になると色々忙しいらしく、現場の人が帰った後でも女性事務員は事務仕事に追われ、遅くまで残って仕事をしていたのです。
Tさん女子トイレへ
女性事務員のTさんは月末の仕事に追われ、この日も遅くまで残業をしていました。
当然トイレにも行きたくなります。Tさんは事務所のトイレに向かいましたが、トイレに近付くにつれて何だかイヤな雰囲気を感じていたといいます。
トイレに入り用を足して個室から出ると、隣の個室のドアが開いていてそこに白い影のような人型の者がボーッと立っていたというのです!
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慌てて事務所に駆け戻り、そこにいた男性事務員と女性事務員Kさんに事の次第を報告しました。
Kさんも「やっぱりいたの! 私も昨日見た!!」と大騒ぎになったそうです。
まなきねこ君、見て来てよ
次の日出勤してみると、現場詰所にも話が伝わったらしく、幽霊の話題で持ちきりでした。
この日仕事が終わり、同じ建物内にある別部門の事務所に用があって行くと、ここの女性事務員Yさんが私の顔を見てこう言ったのです。
「まなきねこ君、トイレに幽霊がいるかどうか確かめてきて! トイレに行きたいのに怖くて行けない、漏れたらどうすんのよ!!!」
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何という理不尽な要求。切羽詰まっているのは額の青筋でわかるけど、男が女子トイレに入るわけにはいかないし、廊下には監視カメラも作動しています。
断ると、「キーッ」というような声を上げてトイレに駆けていきました。
除霊師登場
この話は本社にも伝わり、社長も社員のモチベーションや世間体を考えたのか、さっそく有名な除霊師を呼ぶことになりました。
米子市の皆生温泉に住むこの除霊師は地元ではかなり有名で、あちこちの怪奇現象が起きた場所に出向いては除霊していた人です。
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除霊師はトイレに入ると、除霊を始めたとのことですが、その現場は見てないし、聞いてもいないのでどの様なことをしたのか知りません。
除霊が終わって除霊師いわく
「この場所で亡くなった人はいません。あの霊はあちこちさまよった挙句、偶然このトイレに居座ったのです」さらに「悪いことをする霊ではありません、せいぜい事務員さんの尻を見る程度です」
とのこと。
除霊代の領収書
除霊が終わり、総務部副部長が代金を支払いましたが、除霊師にむかって
「領収書をください」と言ったそうです。
領収書をもらったのかどうか分かりませんが、除霊も確定申告が必要なのでしょうか? メンドクサ。
湿気と霊
その除霊師の言う事には、霊は日の当たらない湿度が高い所を好むらしい、と教えてくれたそうですが、私がヘナチョコな霊感で幽霊の存在を感じる時も、湿気のある薄暗い場所が多いのです。
次の日から女子トイレの窓にかかっていたブラインドは取り外されて、昼間はトイレ内が明るくなり、ガラスは向こうが見えない模様入りのガラスに変更となりました。
この後、女性事務員に尻を幽霊に見られた感想を聞くと、大ひんしゅくをかいました。
霊感のあまりない女子事務員さんでも見ることのできた幽霊は、生前どんな人だったのでしょう。悪いことをしない幽霊にしては、姿が見えるくらい強力な存在感を放っています。
何にしても幽霊騒ぎも収まり、霊も成仏できたのは喜ばしいことです。