私のお気に入り書籍② 少年時代の本
前回は猟奇マンガの巨匠諸星大二郎を記事にしたが、第2回目として私の精神形成に大きく関わった少年時代の書籍をご紹介したい。
本大好き少年
私は少年の頃から外で遊ぶのが大好きな少年だった。それは今でも変わらず、ヒマがあれば山登りなどに出かけている。
だが、雨で外に出られない日や外遊びに飽きた時などは、家で本を読むことが多かった。
当時は小遣いも雀の涙程度で、とても本など買える金額をもらっていたわけではなかった。
仕方なく買ってもらった本を何度も読み返し、最低でも1冊10回以上は読んでいたと思う。
当然内容も全部わかっていたし、読み返せば内容が変わるものではないことぐらい知っていたが、それでも十分楽しかった。
中学生になると外に出ることは稀になり、部活以外では家でじっと本を読んでいたと思う。
SFやファンタジー
中学生の頃は文庫本の横溝正史『金田一耕助』シリーズなどを読んでいたが、それより幼少の頃はSFとファンタジーが大のお気に入りだった。
キャプテンフューチャーやレンズマンシリーズも好きだったが、何故かあまりメジャーではない小説に魅了されていった。
それが今回ご紹介する小説たちだ。
①『五次元世界のぼうけん』マデレイン・レングル著
この小説は嵐の夜、主人公メグの所に3人の見知らぬお婆さんが現れる所から始まる。
お婆さんのガイドで異世界に捕らわれた、行方不明のお父さんを救出する物語だ。
何事も独裁政権の決めたルールに従わなければ、ひどい目にあわされる世界に君臨する、カプセルに入ってテレパシーで話す「脳」と戦う少女メグの物語。
②『もえる貨物列車』カッシーリー著
ロシアの作家が書いた第二次世界大戦の悲惨な状況の中、少女がたくましく生き延びる物語。
途中主人公と一緒に旅をする大人二人と、ドイツ軍の爆撃をしのぎながらロシア政府の命令で、極秘の荷物を積んだ貨物列車に乗り安全な町まで逃げていく主人公。
途中悲しい別れや、えっ!と驚く貨物の内容など、子供心に戦争の悲惨さが胸に突き刺さる作品だった。
③鬼窩山戦争
毎日少年新聞に連載されていた小説で、親友「ハマシ」と毎日話題にしていたファンタジー作品。
夢の島共和国の少年ウクとオシラケは、独裁国家から自由を取り戻すため闘っているシンドワン大陸自由解放軍に合流して、少年戦士として戦う物語だ。
ナメクジ義勇軍、ゲリビエランド、ゲツカンゴング大山脈、ゴキブリ保護区など、ふざけた名前や地名に反して、実に的確に現代にも通じる社会情勢を描いている。
ゆうれい船
戦国時代、親を亡くした少年が各地を巡りたくましく生き抜くさまを描いた大佛次郎作品だ。
松永久秀が子供たちを殺そうとする悪人として描かれている。
この時代の侍は、すべて似たようなものだと思うが・・
大人になって、手に入れる
写真にあるこれらの本は、すべて子供の頃に手に入れたものではない。
大人になってから再度買い集めたものである。
50歳になった辺りから、子供の頃読んだこれらの本が急にまた読みたくなった。
何故だか分からないが、居ても立っても居られないくらい、もう一度手にしたいという気持ちが湧き上がってきたのだ。
古本屋に行っても無く途方に暮れていたが、『五次元世界のぼうけん』がオークションに出品されたことを知り、急いで入札した。
奇跡的に対抗相手が現れず、最低価格で落札することが出来たのだった。
これ以後も何度かこの本が出品されていたが、すごい入札競争が繰り広げられて高額で落札されていた。
とても幸運だったと思うが、さらに信じられないことにAmazon経由で他の古本を購入した際、店が間違えて『五次元世界のぼうけん』を送って来たのだ。
それに気づいた店は注文の本を改めて送ってきたが、間違えて送った『五次元世界のぼうけん』も無料でもらえることになった。
という訳で、この本は現在2冊本棚に鎮座している。ラッキー !
『もえる貨物列車』は題名を忘れていたため探しようがなかったが、偶然にもAmazonを暇つぶしに見ていると、古本として売りに出されているのを発見し、即座に購入した。
『ゆうれい船』はAmazonで手に入ったし、『鬼窩山戦争』はつい最近手に入れたばかりだ。
すべて子供向けの小説だが、この本たちのおかげで今の私の物の考え方が形成される一因となったのだ。
子供の頃の読書は何物にも代えがたいと、今つくづく思っている。