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奇祭 隠岐の島「でやんなまつり」

島根県の隠岐の島では3月と10月に世にも奇態な祭りがおこなわれます。屋台や花火とは縁のない、全く想像だにできない奇祭が開催されるのです。

今回はこの隠岐の島の奇祭「でやんなまつり」をご紹介します。

隠岐の島西ノ島町

隠岐の島は江戸時代まで「隠岐の国」という一つの国でした。
国というくらい大きな島が連なる列島で、後醍醐天皇や後鳥羽上皇が島流しになった場所としても有名です。

この隠岐の島の中に「西ノ島」という大きな島があり、断崖絶壁の国賀海岸など見所いっぱいの風光明媚な島で、観光客もたくさん訪れます。

隠岐の島と境港を結ぶフェリー「おき」

でやんなよー 

ここ、西ノ島町では毎年3月と10月に「でやんなまつり」が行われます。
この祭りはカーニバルとは違い、文字通り神様が主役の「神を御祭りする」という行事で、花火大会はおろか、屋台や神社参拝などは許されないのです。

この日は誰もが早めに仕事を切り上げ、家に帰ります。
午後7時30分、町内の有線放送でスピーカーから
「でやんなよー でやんなよー でやんなよっ」と男の人の声が町内に響き、皆家に入って鍵を閉めるのです。
どうやら出会うなよ、とか出歩くなよという意味と聞いています。

8時前にもう一度放送があり、どの家庭もカーテンを閉め、声を立てずにじっと息をひそめ、絶対に外を見ないようにします。

何という重苦しい雰囲気、私なら発狂しそうですね。

神事のあらまし

街の神主さんとお付きの人がちょうちんで足元を照らしながら、町はずれの「耳浦神社」に向かい、歩きます。

神主さんも神事の意味を知らない


手には麹と米を持っているとのこと、二人は神社(とは言っても小さな祠)に着くと、祠の隣にある甕から半年前に仕込んだ酒を神様に捧げます。
その酒の出来具合によって、町の吉凶を占うとのこと。

その後、甕をきれいに洗って新しい麹と米を入れ、水を注いで蓋をして半年後のでやんなまつりで、また神様に捧げるのだそうです。

イラストは夕方だが、神事が行われるのは夜の闇の中

祝詞を上げ、神事は終わります。
その間、神主さんとお付きの人は口を聞いてはいけません。
祝詞を上げ終わって、ようやく会話できるそうです。

怖い神様

町の人は神事が終わるまでひっそりと家に閉じこもっていなければならないのですが、万が一神主さん一行を見てしまったら・・・
目がつぶれる、あるいは災難が降りかかると言われています。

なぜ見られるのを嫌うのか、町の人も神主さんも分からないとのことで、とにかく決まりを破ると、とても恐ろしい祟りがあると信じられています。

なぜ私にこの奇祭を知らせたのか

私は隠岐の島にフェリーが就航している境港市に住んでいますが、この奇祭は知りませんでした。

あるとき家でくつろいでいたら、じっとしていられない気分になり、テレビのリモコンがとても気になり始めました。
こういう時は何かあるのです。

テレビをつけなければ、という抗いがたい思いを感じ、夢中でリモコンの電源スイッチを押すと、NHKで「でやんなまつり」の特集をやっていたのです。

テレビをつけると「でやんなまつり」の特集が


なぜだか、とても偶然だとは思えなかったのですが、まつりを知らなければならない理由は、今もってよく分かりません。

意味などなく、偶然見ただけと言われれば反論できませんが、とてもそうではない気がします。

外部の人は入れない

この日は町の外から人を入れないという決まりがあります。テレビクルーは、何度も交渉した挙句神事そのものは写さない、見ることもしない条件で取材したそうです。

という訳で、私もでやんなまつりの日に西ノ島町へ行くこともできませんし、興味がおありの読者さんもこの日は町に入れません。

残念ですが、謎は謎のまま続きそうです。



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