縄文旋風 第9話 シロのイエのクンヌ
磐座(いわくら)の上に、ヌリホツマとハニサは座っていた。
「シロクンヌ、こっちから登れるよ。」
ハニサが指さした方に回ってみると、ちょうど石段のようになっていた。これなら子供でも登れそうだ。シロクンヌが磐座に登ると、ハニサが敷いていた毛皮を横にずらした。そこにシロクンヌもハニサと並んで座った。
「月浴びは、もういいのか?」
月浴びとは、子を宿したい女が行う儀式であった。と言ってもただじっとしているだけだ。満月の夜に、できるだけ薄着をして、場合によっては全裸で月光を浴びるのだ。