#22 暗さの秘密!? 竹内まりや「駅」
RADIO BERRYで放送中の「ミュージックメモリー 〜音楽のSDGs」担当のケンです。
今日ご紹介するのは竹内まりや「駅」です。
デビューからカラッとしたアメリカンポップス風の作風で活動してきた彼女が突然発表した「駅」。
異色の作風ながらファンからの人気も厚いこの曲は元々は中森明菜に提供されたものでした。
竹内まりやの艶やかな低音が特徴の声は当時主流の女性シンガーの繊細な声とは全く違うカラッとした明るさをそなえ、音楽界に衝撃を与えました。
これまでの歌手ではできなかったアメリカンポップスを表現できるということで彼女のもとにはザ・フォーク・クルセダーズの加藤和彦、さらに現夫の山下達郎まで様々な作曲家が集うことになります。
近年のシティ・ポップ特集ではもはや定番といった感のある「プラスティック・ラヴ」も山下達郎のシリアスなトラックに彼女が艶やかな声で朗らかさをプラスし、見事に受けきった好例と言えるでしょう。
ところが、この「駅」は彼女としては暗めのバラード。
人によっては「演歌」とも捉えられるこの曲は彼女の作風から考えれば異色ともとらえられますが、この曲はあの中森明菜に依頼された曲であると言われれば納得していただけるでしょうか。
~『一方、異を唱えたのが竹内まりやの夫でシンガー・ソングライターの山下達郎だ。達郎は、まりやが提供した「駅」に対して明菜の歌い方が気に入らなかったという。
まりやの書き上げた詞の世界は、藤倉がコンセプトとして示した通り「二十歳過ぎの女性が誰でも経験しそうなドラマチックな物語」だった。まりやは詞の中で別れを乗り越えた大人の女性の力強さをイメージさせた。逆に明菜は吐息のようなボーカルで悲壮感を漂わせたのだ。当時を知る音楽関係者はいう。』~
たしかに、中森明菜の「駅」は悲壮感の漂うもので、竹内まりやの曲に合わせるには少し感傷的すぎるアレンジかもしれません。
ただ、「駅」が収録されたアルバム「CRIMSON」は全曲をささやくような歌唱法で統一しているコンセプトアルバムのため、少し気の毒なような気も?
中森明菜の「駅」、竹内まりやの「駅」、世の中に二つの「駅」があるのは不幸なすれ違いが原因だったんですね。
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