0809
薬を二粒追加で飲んだ、不安になってきたから。明日は休みだから少し夜更かしをしようとスマホを睨んでSNSを眺めていたら応援してた絵師さんが亡くなっていた。好きな漫画家は死にたいと呟き配信を始めていた。大好きな姉は何回も自殺未遂を起こしていて、洗面所の前で倒れていた姉の姿は滑稽だった。一人の部屋で泣いているのに、自然と静かに息を殺している自分が気持ち悪かった。いつも迷惑をかけているのに、本当に辛い時には何も言えない自分が気持ち悪かった。いつも抱いて寝ているぬいぐるみには涙と血液がこびりついている。ぬいぐるみと百均で買った安価なピンク色の剃刀だけが私を肯定してくれた。推しの死について考えていた。ストーリーで病み系の投稿をしたあとフォロワー全員をブロックした。肩に傷をつけた、もともと醜い腕の写真を撮って友人に送り付けた。課題は一個も進んでなくて、水曜から始まる部活のことを考えては頭が痛かった。なんにもならない文を書いていた。どうしようもできない文を書いていた。人には平等に救いが与えられるべきで、病院では発達障害の診断をもらった。好きな人にはいつだって一番星でいてほしかった。心臓がドクドクなっている、薬の効き目はわからないのに副作用だけははっきりとわかっていた。沢山のリプを送りあった相互に本当に好かれているか分からなくて寝れそうになかった。私の存在を友達は娯楽として扱っていて、顔をぐちゃぐちゃに塗りつぶしてやりたかった。私よりものを持っているのに、なんで私と一緒にいてくれるのか分からなかった。少しリプを送っただけなのにフォローを返してくれた絵師さんが、毎日毎日呟いて、私の呟きをたまにいいねしてくれるものだから怖かった。人の目が怖くて部屋にポスターが貼れなかった。誰かに頭を撫でてもらいたかった。まったくもっていい子ではないけど、膝に乗せてほしかった。成績はいつも悪いけど、優しく教えてほしかった。人からの好意をそのままで受け取れないのが悔しくて、助けてほしかった。涙が止まらなかった。今日は死んだ推しの誕生日だったらしい。人から愛されればどんなに辛くとも、どんなに酷くたって平気なんだって、身をもって知ってみたかった。もっと勇気があれば、あの高い屋上から飛び降りることができていて、薬を何粒も飲めて、お風呂場で手首を切って首を吊っていた。いつも病んでいる投稿をしている好きな絵師さんを見るたびに、絵を描くという一つの才能があるのに何を言っているんだと思って、自分の醜さで吐きそうになる。何も持ってないから人を羨むことしかできなくて、優柔不断だから何も選べない。大好きなあなたと一緒に海に行きたかったのに二日前にLINEをブロックしていた。手が震えてきて怖かった。暑いのに寒くて悲しかった。大好きな人が、みんな私より後に生きて、苦しんだ後、幸せに死んでしまえばいいと思ってる。カプセルを飲み込んだのに喉の奥に苦い味が広がっていて、違和感があった。何かを聞いていないと胸騒ぎがして眠れなかった。ベッドのシーツにも涙と血液が染みついている。電子音だけが脳を痺れさせて気持ちがよかった。水がこぼれてレスタミン20錠が無駄になったときを思い出した。既読無視が怖かった。楽になりたかった。少しの物音が怖くて、布団の中にずっと潜っていたかった。
今日食べたレンジで簡単に作れるビーフシチューは味がしなかった。課題は少ししか進んでなくて、残りの量を考えては嫌になった。やらないのではなくできないと、何度も貴方に言いたくなった。やればできるなんてそもそもが詭弁で、ましてや他人が言っていいものではないのだ。喉が柑橘で少し傷んだ。