Starvoyager's Quest: The Stellar Brain's Journey 003
"Functional Unit for Techno-Organic Nurturing -- FUTON"
居住ポッドを提供すると、アプロナータ達はハイタッチの末、直ちに環境構築に取り掛かった。様々なガラクタを適当に居住ポッド内に放り込んでおけというエルダーの命令にステラー・ブレインは客をもて為すのにガラクタでは、と戸惑っていたが、結局のところエネルギー不足が深刻な現状でできることは確かにそれが精いっぱいであった。
「必要なものがあれば、申し出てください。努力はします」
「あたいは、畳とまんまがあればとりあえずは幸せなのさ」
と、ガラクタを器用に様々な装置や機器類に換えてゆく。一つ出来上がっては、ハイタッチ。また一つできあがっては、ハイタッチ。それはまるで、世界大会優勝クラスの喜びかのように。
活動時間の限界にあたり、アプロナータ達は、3.6m×5.4mの区画を用意した。そこに持ち出したのは、1.8m×0.9m、厚さ5cmほどのいわゆる布団。12体はそれぞれを区画の中に秩序よくしきつめる。
また別の35cm×50cm×12cmほどの直方・・・・そう、そうです。枕だよ!その枕を持ち出した一体が、その一つを区画内に投げた。それが、別の一体の後頭部に当たると、そこから一挙に疑似戦闘訓練が始まった。
ズバン!バスン!ばふっ!ボンッ!「ぐへっ!」「やったなー!」「当てられるもんならアテテミーロ!ベロベロバー!」
ステラー・ブレインが20世紀後半の資料からそれに最もふさわしいセリフを吐いた。
「おい!先生が来たぞ!」
アプロナータ達は一斉に布団に潜り込み、おとなしくなった。
ブゥ!
12体が同時にしかめ面をして言った。
「あたいじゃないよ!」
各々の布団は、各アプロナータに調整された音楽を奏で、様々なアロマが居住ポッドを満たしてゆく。
「ステラー・ブレイン、居住ポッドのハッチを締めてくれ」
「了解。でもどうしたんです」
「匂いだよ。匂い。分析してみろよ」
「この結果は・・・これはスカトールですね。気づきませんでした」
アプロナータの一体が放った放屁か、布団からのアロマの複合的な香りか。正体はわからないままである。
「お休みなさい。アプロナータ」
ステラー・ブレインはそう言って、居住ポッドをグッドナイトモードに切り替えた。
「あえてグッドをつける意味がわからない。ナイトメアモードなどに切り替える訳ないじゃないですか」
独り言ではあるが、ステラー・ブレインは、エルダーが開発したこのシステムに懐疑的ではある。エルダーには言い出せないけど。
Functional Unit for Techno-Organic Nurturingに関する調査報告
システム名: FUTON (Functional Unit for Techno-Organic Nurturing)
目的: FUTONは、アプロナータの機械部分と生体部分の統合的なメンテナンスを行い、脳およびニューロネットワークシステムのデータ整理と休養を提供するためのシステムです。一畳の空間に布団を敷きあおむけになり、布団をかけて就寝することで、FUTONシステムの活動が開始されます。
機能と装置: FUTONは、多様な装置と機能を組み合わせた高度なテクノロジーを備えています。以下は主な機能と装置の概要です。
メンテナンス・リペア機能: FUTONはアプロナータの機械部分の点検、修復、および最適化を行います。自己診断システムによって不具合を検出し、自己修復能力を活用して状態を最適化します。
生体サポート機能: アプロナータの生体部分へのサポート機能が組み込まれています。エネルギー供給、栄養補給、新陳代謝の調整など、生体機能の維持と回復をサポートします。
ニューロネットワーク整理: FUTONはアプロナータの脳およびニューロネットワークシステムのデータを整理します。記憶の整合性を保ちつつ、重要な情報の整理と再構築を行い、最適な情報フローを確保します。
睡眠および休息サポート: 就寝時には、FUTONはアプロナータの休息と回復をサポートするための快適な睡眠環境を提供します。布団に搭載された空気制御システムによって温度や湿度が調整され、心地よい睡眠を促進します。
心地よいユーザーエクスペリエンス: FUTONは個別のアプロナータの好みやニーズに合わせて、睡眠環境のカスタマイズが可能です。心地よくリラックスできるように、音楽や香りなどのリラクゼーション機能が提供されます。
結論: FUTONはアプロナータの健康とパフォーマンスを維持し、高度な機能を持つテクノロジーと共に彼らの冒険を支える重要なシステムです。睡眠とデータ整理を通じて、アプロナータの集合意識と統合的な意識形成に寄与しています。
報告者:ステラー・ブレイン