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連続テレビ短編ドラマ「峯山みどり」=節約の最前線=
「家庭菜園」
峯山みどり、26歳、独身。ベランダのプランターは、まさに金(かね)の鉱脈。
みどりさんは呪文を唱えます。
「土を耕し、陽に照らし、水を注いで、旬を味わう」
<農高>それはまさに人類の軌跡、自然との調和、生命との対話、みどりさんは続けます。
「諭吉が減らずに済みますもので(テヘペロ)」
隣の主婦の水田アヤさんはみどりさんの節約ソウルメイト。
ベランダから大きく身を乗り出して、みどりさんに声をかけます。
怖くはないのでしょうか。ここは5階ですよ。
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「ねぇねぇ、峯山さん。今朝のチラシ見た?」
「えぇ、二人で出張りますか?」
二人は声をそろえて言う。
「財布にきっかり、カードは持たず、的に向かって、まっすぐに!」
近所のスーパー「吉田屋小平店」は、庶民の味方。店長は、パート上がりのたたき上げ。チラシの商品すべてに目を光らせ、その価格たるや、見るものを圧倒させる。
めずらしく、仕入れ担当の男性が、野菜コーナーの前に立っている。
「奥さん、うちの野菜は毎朝入荷。朝取り、朝摘み当たり前。私に声をかけてくれたら、5%オフシールもつけちゃうよ」
彼は、5%オフシールおじさんと呼ばれている。仕入れ担当なので普段、店ではめったにみかけないレア店員。財布を取りに帰るか悩む、みどりさん。
それを見かねたアヤさんが「的に向かって」というと、みどりさんは意を決し「まっすぐに!」と、野菜コーナーを後にした。
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家庭菜園と吉田屋を天秤にかけると、微妙。
みどりさんの悩みはどこまでも、果てなく続いていくのです。
チラシの目玉
吉田屋チャバネ駅前店で、バカ売れ。台湾高雄「龍蝦広東饗宴」副料理長、陳建國の本格レシピ。
肉まん一個、68円。おひとり様5個まで。売り切れ御免。
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