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「勇者の門」:現代ダンジョンハック英雄譚 4

「勇者の門」遺失物探索記

探検ぼっち場「勇者の門」では、モンスターを倒すことで様々なアイテムが手に入る。一般的な探検場では、ドロップアイテムは、帰還後の後精算方式である。しかし、カズマはこの後精算方式に満足していなかった。彼は古き良き「モンスターの懐から直接奪い取る」方法に憧れていたし、それこそがダンジョンハックのだいご味であると信じていた。だからこそ、カズマはそれぞれのモンスターにふさわしいアイテムを持たせた。投資以上のこのわくわく感は、そりゃもうたまらないわけだ。そんなある日、ルナが真剣な表情でカズマに近づいた。「ウィッチのパンドラちゃんが、知能のクリスタルを紛失してしまったんです...」

カズマの心は、まるでオークに握り潰されたかのような衝撃を受けた。「えー!それって、うちの目玉ドロップアイテムじゃないか!」ルナの後ろで、パンドラが怯えて泣いているのが見えた。

「店じまいして、探し出さないと。全員に指示を出してくれ、ルナ」とカズマは言った。ルナとパンドラは、叱責されると思っていたが、カズマの決断にほっと一息ついた。しかし、安堵する間もなく、彼らは遺失物探しの大作戦を開始した。

「勇者の門」のモンスターたちは総出で宝探し...いや、遺失物探しに参加することになった。レッサーデーモンのゴロタス(自称)は、鼻くそをほじりながら、哲学的な一言を漏らした。「かつては人間の恐怖こそが最高の糧であったが、今はこの『てんてこまい』が最高に飯ウマ!」。

カズマの「おまえも探せよ」という声に、ゴロタスは「へいへいほー」と軽快に答えた。全員が一丸となって遺失物探しに励む中、カズマとルナはこの事態をどうにか好転させることができるのか、そして知能のクリスタルは無事に見つかるのか。

この物語は、カズマが運営する「勇者の門」で起きた小さな危機を描いたものである。経営者としての重圧、ティーフリングとウィッチの友情、そしてモンスターたちの日常が、コミカルかつ真摯に描かれている。探検ぼっち場の日常が、予期せぬアクシデントによって、新たな絆と成長の場へと変わる瞬間。それが「勇者の門」遺失物探索記の真髄である。