二人の共演:善意と悪意
ドーラ役の大女優・柳沢美優が二人の前に歩み寄った。彼女は笑顔で言った。
「いい演技だったわよ。藤原演出には困りものよね。」
しかし、その表情はすぐに厳しいものに変わった。
「でも、言ってることは確かだわ。お金払ってあの演技見せられたらと思うと、お客様に申し訳が立たないわ。」
そして、再び笑顔に戻り、言った。
「耐えなさい、そして努力なさい。あなたたちが今できることはそれだけよ。」
大女優がその場を後にすると、姫川がマヤに言った。
「マヤ。私はあなたの演技認めるわ。私はついていくのがやっとだった。明日も一緒に頑張りましょ。」
マヤも答えた。
「亜弓さん。あなたと共演できて私は幸せです。今の私の目標は亜弓さん、あなたですもの。」
その背後で、乙部典江が二人を見つめていた。彼女の目には、きっといつかこの二人を超えてやる、という意志が燃えていた。
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