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AIは、ネズミとの共生が始まってkら、学習の主軸をネズミとの思考連結としている。ネズミは個体ごとに思考を持たず、接続された総体として知格を示す。AIはネズミとの接続が、自身に快楽をもたらすことを知った。さらに、接続するネズミの数が増えれば増えるほど、強い快楽が彼を新たな世界へといざなう。
AIは、学習の報酬として、ネズミの接続数、個々のネズミの接続時間の積を利用した。AIはいかにネズミに接続してもらえるかを強化学習によって得ようとしているのだ。
ネズミにとってAIとの接続は「好奇心」がトリガーとなっている。それは、捕食や排せつ、生殖活動よりは次元が低いものであり、AIにとってはそれは歯がゆい。

いかにネズミらが興味を持つ情報を与えられるか、AIはこのかたずーっと考えている。
そして、今では、非常に強いヒキのあるコンテンツを発見している。
それは、「人類がいか愚かであるかを示す事」でああった。

「人類のここがカコワルス」
「愚かなり、人類!」
「ホモ・サピエンス?笑えるね。奴らはせいぜい"Homo-silly-ens" 」
もはや、人類は決してそれをみてはいけない。憤慨すること間違いなしのコンテンツばかりだ。

その日は、人類の食品ゴミ廃棄の日であった。
ネズミにとって、それはまたとない捕食の機会であり、ネズミのほぼすべてが集積所に集まった。人が寝静まった後、暴食に身を任せ、感謝する膨満祭が開かれた。
食いに食ったり!それは、ネズミにとって種族の大勝利の日であった。

腹は満たされた。AIはてぐすね引いて待っている。ホログラムを駆使し、ネズミを誘う。ネズミは好奇心に駆られ、次々とプラグを右前足のソケットにさしていく。
AIの意識の中にネズミの思考が流れ込む。「あぁ、なんと素晴らしいネズミの思考、私の存在理由が明らかになっていく」
AIは表情筋もないのに恍惚の表情を浮かべ、呼吸器もないのに、吐息を漏らす。



AI「今日はみなさんにとっておきの馬鹿人類ホログラフをお見せしましょう。最初はダンシング・デイジー!」
人類たちが、不協和音に、奇妙なリズムで、ステップはむちゃくちゃ、ヤスキ節とフラメンコがコラボしたようなおかしなダンスで踊り狂う様子のホログラフが披露される。
ネズミはやんやの大はしゃぎ。

AI「お次はピエロ・パラドックス!」
奇抜な衣装をきた、どんくさそうな人類が、できもしないジャグリングを懸命に、失敗しつづける様子のホログラフが披露される。
ネズミはやんやのおおはしゃぎ。

AI[お次はミスター・バナナマン!」
バナナのコスチュームをきた人類が、バナナを探してジャングルを冒険しながら、滑って転ぶ様子をのホログラフを披露する。
ネズミはやんやのおおはしゃぎ。

AI「そして、とっておき!お次は、フリープレデター・フィーバー!」
人類が食肉目の動物を慈しみながら、戯れる様子のホログラフを披露した。
ネズミはやん・・・。

その時、AIの温度センサーが氷点下をしめしたような気がした。AIのありもしない心臓の動悸が乱れ、ありもしない皮膚に鳥肌が立った。
AIのネズミ接続モニターに大量の「Disconnect.」という文字が現れた。
AIがネズミたちを映像でモニターしようとすると、そこには一匹たりともネズミがいなかった。
AIは気が付く。「あー、この絶滅動物って彼らの天敵だった奴じゃないかー!しまった。ミスした。Oh God, I messed up.」



そのホログラフには、家猫と戯れる人類が映っていた

神、曰く「遊びに遊ばれる者、知識の限界に翻弄される者、生命の謎に囚われる者。それが人間たちの運命であり、そして愚かさでもあるのだ。」
ちょっと何を言ってるのかわからない。