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ハードボイルドSF「ジャンヌを探せ」
第3章:影の時空担当官
霧雨が降る東京の夜。警察庁公安部特別課の薄暗い一室で、高木刑事は煙草の煙を吐き出した。彼の前には、中世の装いをした少女の写真が広げられていた。
「ジャンヌ・ダルク...まさか本物とはな」高木は呟いた。
ドアが開き、若手刑事の佐藤が慌ただしく入ってきた。
「報告です。例の3人組、銀座で目撃されました」
高木は煙草を揉み消し、立ち上がった。「やはり奴らの仕業か。行くぞ」
彼らが乗り込んだ車は、霧の中を静かに走り出した。車内で佐藤が尋ねた。
「課長、一体何が起きているんです? 本当にタイムトラベルなんてあるんですか?」
高木は窓の外を見つめたまま答えた。「ああ、ある。そして我々時空担当官の仕事は、それを秘密にし、歴史を守ることだ」
「では、あの少女は...」
「そう、本物のジャンヌ・ダルクだ。問題は、なぜ彼女がここにいるかだ」
銀座の雑踏。ジャンヌ、桔梗、レミの3人は、現代の喧噪に戸惑いながらも、必死に何かを探しているようだった。
「桔梗様、本当にここに秘密兵器があるのですか?」ジャンヌが不安そうに尋ねた。
桔梗は厳しい表情で答えた。「ああ、間違いない。だが気をつけろ。我々を追う者たちがいる」
レミが突然叫んだ。「あそこだ!」
3人の視線の先には、黒づくめの男たちが立っていた。胸には「天啓会」の紋章。
その時、サイレンの音が鳴り響いた。パトカーが現れ、高木と佐藤が飛び出してきた。
「動くな! 警察だ!」高木の声が響く。
混乱の中、ジャンヌは叫んだ。「私は...私は本当に正しいことをしているのでしょうか?」
高木は静かに答えた。「それを確かめるためにここにいるんだ、ジャンヌ」
銀座の街に、緊張が走る。時の歯車が、大きく動き出そうとしていた。
(次章に続く)