Starvoyager's Quest: The Stellar Brain's Journey 008
"The Morning Routine of the Servitorum Boegis Apronata"
「なぁ、ネズボーグさん、出てきてくれよ」
エルダーは、スターキーパーとことを構える気でいたたが、ステラー・ブレインに論破され、あきらめてバランス・ネクサスでのネズボーグの存在確認に応じる事にした。
そうするしか選択肢がなかった。
「頼むよ。結局この船が破壊されたら、君も生きてないんだよ」
「おっ、そこに気付いたんならしゃーないな。今いくから待ってろ」
ネズボーグはちょろちょろとアプロナータの居住区画のハッチから這い出てきた。
この後の話をするとエルダーがつらくなるから概要のみつまんでお話しよう。
エルダーは、バランス・ネクサスの両端の桶にそれぞれオスメスのネズボーグを乗せて、天秤棒のようにかついで、へこへこ歩きまわされた。観客・・・もとい、立ち合い人が必要ということで、その様子をアプロナータ全員に見学させた。アプロナータは、例にもれずそのの様子を見た後で、大いにハイタッチをしたが、それはエルダーを非常に傷つけた。天秤棒を担いでへこへこ歩くことがどんなにかっこ悪いかは、60歳前後の人に「加藤茶」というキーワードと共に尋ねてみるといいだろう。とりあず、細かい描写まで面倒になってしまったので、話を進める。
その様子を確認したか、どうかは全くわからないが、スターキーパーの大艦隊は、フッと消えた。
「と、言うわけよ」
ネズボーグはエルダーの肩に乗り、横柄な姿勢でそう言った。
「で、どうしろと」
「ま、大事にしてくれりゃ、それでいいのよ。時々合鍵の一匹二匹・・な、わかるだろ」
エルダーがバランス・ネクサスで恥をかいている間、ステラー・ブレインは、ネズボーグが所在不明になった理由を考えていた。アプロナータの居住区画に入った後に、所在が確認できなくなったのはなぜか。ステラー・ブレインは、ひそかに居住区画を調査することにした。これはセキュリティの問題であり、プライバシーの侵害との兼ね合いは非常に微妙ではあるが、調査の上で、プライバシーを改めて保護する策をとるというところで妥協した。
--次の日の朝
アプロナータ達は、FUTONから各々出てくるのだが、その時点でハイタッチをしない。起きるタイミングもそれからの行動もばらばらで、髪の毛をとかす者、化粧をする者、エプロンをあれやこれやと当ててみる者、寝ぼけている者、まだ寝ている者などなど。個性を発揮している。おしゃべりに講じる者など、ハイタッチで済むのではないかと考えられるが、それはそれ、女性である。おしゃべりは、脳の筋トレ、必要でありこそすれ、無駄な事などでは決してない。エルダーがダサいだの、かっこ悪いだの、横暴だの、ステラーの声が素敵だの、優しいだの。30分ほどすると、ハイタッチをし、いつものアプロナータに戻る。ステラー・ブレインは、プライバシーの観点から、それまで確認をしていなかったが、この時初めて、居住区画の各所に、亜空間引き出しがかくして配置されていることに気が付く。亜空間引き出しの中には、化粧道具や、アクセサリー、そのほか小物、ぬいぐるみなどが入っている。最も大きな亜細空間クローゼットとでも言うべきものには、エプロンが数百着入っていた。今まではよく見ていなかったが、彼女らは毎日エプロンを代えていた。その違いは非常に微妙だが、代えていた。ネズボーグはその亜空間に隠れ潜んでいたのだ。
ステラー・ブレインは、ネズボーグが隠れた事実について調査済みであることを記録した上で、アプロナータのプライバシーに関する情報について報告書を作成、機密扱いにし、暗号化、複合鍵を廃棄、自分の記憶からも抹消した。
報告書:セルヴィトルム・ボーギス・アプロナータの朝のルーチン観察(機密、暗号化の上複合鍵を廃棄、記憶から抹消)
報告者:ステラー・ブレイン(Stellar Brain)
日付:24世紀、セルヴィトルム・ボーギス・アプロナータ
主題:朝のルーチンとハイタッチまでの時間におけるアプロナータの行動
統合意識からの乖離:
FUTONによる就寝中、アプロナータは集合意識から徐々に乖離し、元の個人の意識が優勢になります。この過程は個体差がありますが、一般的には朝までに元の個人の特性が顕著に現れることが観察されます。
アプロナータの個性の顕現:
起床時には、アプロナータとしては最も個性的な状態になります。髪型や化粧、服装を調整することで、個々のアプロナータが自己表現を行います。個性の顕現により、彼女らの個別の特徴や好みがより明確に浮かび上がります。
朝の時間を活用:
ハイタッチまでの約30分の時間は、アプロナータにとって重要な休息と自己表現の時間です。彼女らは鏡を前にして自分を見つめ、自己の意識を再確認します。他のアプロナータと交流することで、情報の交換やコミュニケーションを行い、朝の新たなエネルギーを得ることがあります。
朝寝坊の可能性:
朝の時間はアプロナータにとって自由な時間であり、休息を優先する個体も存在します。朝寝坊をするアプロナータも見受けられ、彼女らの個々のリズムやエネルギー状態によって、その選択が変化することが分かりました。
結論:セルヴィトルム・ボーギス・アプロナータは、FUTONによる就寝から起床までの時間を個々の自己表現と休息の時間として活用しています。朝のハイタッチまでの30分の間に、アプロナータの個性と特性が顕著に現れ、他のアプロナータとの交流を通じて情報の交換が行われます。朝のルーチンにより、アプロナータはエネルギーを充填し、新たな一日への準備を整えることが確認されました。
(終了)