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連続テレビ短編ドラマ「峯山みどり」=恋愛魔術師=
スパイスの魔法」
峯山みどり、27歳、独身。隣の席の謙太さんに想いを寄せている事が脳裏をよぎるたびに、「えっー?!」となってしまいます。照れてるんだか、そんな馬鹿ななのかはわからないけれど、微笑んでしまうのです。
「峯山さん、最近楽しそうですね。」
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謙太さんにそう言われたとき、顔から火が出そうになりました。阿波って化粧室へ向かうふりをしてその場を逃れましたが、顔を冷たい水で洗っても、内輪で強く仰いでも、顔の火照りも赤みも収まらないのです。どうしよう、仕事に戻れない。みどりさんの恋の葛藤は、まるで10代の少女のよう。
なんとかかんとか仕事を終えて、帰宅。でも、気持ちは収まりません。
「あの梅酒、まだ残っているのかな。おいしいって言ってくれたから、また振舞おうかしら。」
謙太さんの事がなかなか頭から離れてくれません。引っ越しのお礼まだ言えてないじゃない。みどりさんはその欠礼も気になっています。
食事の準備をしている時、謙太さんは何がすきなのかな。などと考えてしまいます。
世界がまるで謙太さん中心で回っているように見えているのです。
みどりさんは、ベランダの家庭菜園でスパイスを育てています。
バジル:夏の高温を好むハーブで、普通のプランターでも育てやすいです。風味が強く、サラダやパスタに最適です。
パセリ:寒さに弱いですが、比較的育てやすいハーブです。料理の装飾やスープ、ソースに使われます。
ミント:育てやすく、夏の暑さにも耐えることができます。フレッシュな香りが特徴で、料理やデザート、カクテルに使用されます。
コリアンダー(シラントロ):比較的寒さに強く、春と秋に育てることができます。アジア料理やメキシコ料理によく使われます。
チャイブ:冷たい冬でも生き残ることができるハーブです。軽いニンニクの風味があり、サラダやスープに使用されます。
ローズマリー:日当たりと水はけがよく、乾燥を好むハーブです。肉料理やパンに使用されます。
タイム:日当たりと水はけがよい場所で、乾燥を好みます。肉料理やスープ、ソースに使用されます。
あの日の夕食もおいしいって。みどりさんは、ささっと作ったものだったので、少し後悔しています。
「もっと、おいしいものを食べさせてあげればよかったわ。」
スパイスを収穫しするまなざしがいつもよりも真剣さをましています。
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「できるだけいいものを食べさせてあげたいもの。」
「誰に?」
「当然、謙太さんによ。」
「謙太さんって、誰?みどりさんにも、そういう人がいるのね。」
独り言を隣のベランダで洗濯物を干していたアヤさんに聞かれていました。しかも、謙太さんの名前までばれていしまいました。
「で、何をたべさせてあげるの?いつ呼ぶの。私に品定めさせて。アドバイスだってするわよ。」
「あ、いや、その、あの。」
「へぇ、まだそういう段階なのね。ういういしい!」
これは、「幸せが香る」というスパイスの魔法。
峯山みどり、レベル27、恋愛魔術師。
今日はベランダで二つの呪文を唱えた。
"Spell of Fragrant Bliss":ハーブを摘んでいると幸せが周りに香ってしまう呪文
"Spell of Culinary Delight":「何を食べさせてあげようかな」という幸せの呪文
どちらも非常に強力な片思い呪文。あまりたくさん唱えると気持ちが爆発しそうになる。見てるこっちも照れるくらいに。
隣に住む恋愛魔術師から「妻」にジョブチェンジしたアヤさんも昔は唱えることができた。
「ほかにもたくさんの恋愛呪文、教えてあげるわよ!」
アヤさんの目は、キラキラと輝いている。
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