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アシデュラの硫酸の海が広がる、その荒涼とした景色を目の前にして、我々は過去の出来事を思い返す。アシデュラの探索が始まったとき、我々はこの星に隠された謎を解き明かす希望を胸に抱いていた。宇宙への足掛かりを得るための不可欠な行為とはいえ、その探索に胸躍らせていたのだ。しかし、その希望も次第に絶望へと変わっていった。それが二度の事故だ。


硫酸の嵐が一時的に収まった、あの静寂な時期。我々の探索隊はその短い間に新しい資源を探しに行くことを決意した。海岸線に広がる金属の植物、あの時、私たちが目にしたのはその美しさだけだった。しかし、ユリアが突如として鋭いニードルで貫かれた瞬間、その植物の恐ろしさを知った。彼女はその場で倒れ、私たちは驚愕した。それが植物の花粉だとは想像もしていなかった。

それが花粉とわかり、受粉の時期をずらせばと十数日後、再び海岸に足を踏み入れた時、カイが突如、何者かの弾丸のようなものに撃たれてしまった。悲鳴が響き渡る中、我々は即座に彼をドームへと運んだ。あの植物の種だったのだ。我々がが理解する前に、その攻撃はすでに我々に痛みを与えていた。

この星の硫酸の嵐は予測できても、自然の力、生命の力は我々の計算を超えていた。我々の技術は、この未知の生命体の前では、子供のように手探りで進むしかなかった。

嵐の中を進むのか、それともこの植物の攻撃に晒されながら探索を続けるのか。この星との共存は容易ではないことを痛感している。しかし、我々の探究心はまだ終わらない。アシデュラの真実を探し続けることこそ、我々の使命だ。宇宙への足掛かりはこの探索でしか、とらえきれないのだ。