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N-001:"Harmonic Nexus: The Adventures of Nattan and Friends"「なぁたん」

"Harmonic Nexus: The Adventures of Nattan and Friends"

なぁたんは、もっと自分が小さかった頃のことをよく覚えていない。大きな個体が二体、いつも一緒にいたような気はするが、そのこともあまり思い出せない。

今、なぁたんのそばにはいつも二体の動物種がいる。

一つは、ボーギス・バターリン。それは蝶のような羽をもつハムスター。アルファヌーの内部構造は機械化された植物組織で形成されており、その植物の受粉や手入れを行うために存在している。

もう一つは、ボーギス・メカモルフィン。モルモットとウサギを合わせたようなかわいらしい動物で、アプロナータの存在以前は、雑務をこなすために存在していた。現在はアプロナータが存在しているため、雑務はアプロナータに業務移管された。ただし、それはアプロナータの助手のような役割として存在を許されている。アプロナータは起床後目掃守フィンを愛玩動物としていつくしむ。

メカモルフィン「なぁたん。今日はどこを探検するの?」

なぁたん「アプロナータさんたちのお部屋にいって、お化粧道具を見たいの」

バターリン「怒られない?」

なぁたん「多分、見つかったら、怒られる」

メカモルフィン「怒られるのやだなぁ」

バターリン「ボクもー」

なぁたん「だから、こっそり行って、見るだけよ。使ったりしないから」

なぁたんは、目掃守フィンを抱え、バターリンを肩に乗せて、いざ、アプロナータの居住区画へと歩みだす。

廊下ですれ違うアプロナータは、なぁたんとハイタッチをする。
アプロナータは起床後の30分、なぁたんの将来について12体で時々話し合う。なぁたんの成長は、うれしくもあり、さみしくもある。そのため、ハイタッチの際の転送するデータ量に大きな制限をかけて、その成長がゆっくりと進むようにしている。

アプロナータは、かがんでなぁたんの手の高さに合わせてハイタッチをする。

なぁたん「今日も、「微分方程式」だって。少し難しいな」

次のアプロナータは、そのハイタッチを見ていたのか、なぁたんに手を振るだけだった。

なぁたん「バイバイ!化学は今日はお休みみたい。」

12体のアプロナータは母であり、教師でもある。そして戦闘体ミリタリス・ボーギス・プレトリアンの45体は父であろうか。でも女性のプレトリアンも存在するのだ。

なぁたん「プレトリアンさん、こんにちは」

プレトリアン3体が一列にアルファーヌー内部の巡回警備を行っている。最後尾のプレトリアンがなぁたんに目配せをして小さな光るものを投げてよこした。
なぁたんの胸元に抱えられているメカモリフィんがそれを受け取った。

メカモルフィン「今日のネジは、"Dimensional Torque Facilitator Zeta-3.1416"だよ」

なぁたん「急いで探してなおさなきゃ」

バターリン「"Dimensional Torque Facilitator Zeta-3.1416"は特殊だから、多分大丈夫。すぐみつかるよ」

細かいアルファヌー内部の保守修繕はバターリンの仕事だ。
アルファヌーの内部構造は "Metallophyta navisstellaris" と呼ばれる植物で成り立っている。
ネジなどの部品もすべてこの植物の実である。メカモルフィンが受け取ったこのネジも、内壁にある受け皿のような「花」に置けば、ゆがみやひずみなどが修正され元の精密な部品に戻る。

バターリン「あったよ。"Harmonic Insertion Nexus"」

なぁたん「ここにこのネジを占めて」

バターリン「最後にこのドライバーで。はい一丁あがり」

紫色のイルミネーションが"Harmonic Insertion Nexus"の周りをきれいに飾った。それはまるで、なぁたん達に感謝をささげているように見えた。

つづく..…