050-春の香り
画像:https://note.com/hananosu/
1.
目を瞑ると、私の鼻先に春の香りが漂ってくるの
舞い落ちる桜の花弁の妖精達が、私の鼻先にそっと話しかけてくるの
大丈夫 大丈夫
泣かないで 泣かないで
すぐそこに 貴女の愛しい君が…
そう呟きながら、妖精達が私の瞑った目頭から流れ落ちる涙滴を拭ってくれるの
思わず瞑った目を開くと、妖精達に魔法をかけられた涙滴の中に、こちらに微笑みかけている青年の影が、刹那の妙脈のように輝いているの
2.
目を瞑ると、私の指先に春の温かさが伝わってくるの
舞い落ちる桜の花弁の妖精達が、私の指先にそっと話しかけてくるの
すぐそこよ すぐそこよ
微笑んで 微笑んで
すぐそこに 貴女の愛しい人が…
そう呟きながら、妖精達が私の固く握った掌を優しく開いてくれるの
思わず掌を開くと、妖精達に魔法をかけられた掌の上に、こちらに手を振って微笑みかけてくる青年の影が、少し揺らぎながら輝いているの
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