ダンシング・クイーン
超ショートショート
ABBAのDancing queenがイメージソングです。
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○女子高生、夢(ゆめ)の
鼻と口だけのアップ。
笑顔でABBAの曲を口ずさむ夢。
「♪~(鼻歌)」
○イヤホンが差し込まれている
スマホの画面が画面全体に映る。
映画『Mamma Mia!』が流れている。
○ノリノリで大きくツーステップを刻む夢。
足元のアップ。
音楽が流れる。
♪you can dance, you can jive…
○リズムに合わせてクラップしながら
まわりだす夢。足、腕のアップ。
♪Having the time of your life~woo…
○今度はリズムに合わせてスキップする夢。
音楽に浸りながら目をつぶり、
ずんずん進んでいく。
♪See that girl, watch that scene…
夢 「♪ディギン・ザ・ダンシング・クイーン~!」
駅員「おい!!!!危ない!!!!!」
夢「えっ」
(電車のブザー)
パーーーーーーーーーーーーーッ…
轟音を立てすぐ横を通過していく電車。
足元を見ると、黄色い線を大きく踏み越えていた。
駅員「おい、、、危ないから!最近イヤホンの事故多いんだから!」
夢「あ…すみません」
駅員「気を付けてくださいよ、もう」
怒りながら立ち去り、再び配置につく駅員。
うつむく夢。
ふと横を見ると、少し遠くに
同じ学校の制服を着ている、ヘッドホンを着けた細身の男子高校生がいる。
目が合うと、ニヤッと笑う男子高校生。
男子高校生「・・・」
何かをこちらに向かってしゃべる男子高校生。しかし通過する電車の音で聞き取れない夢。
夢「えっ?」
イヤホンをはずす夢。
ヘッドホンを外し、ニヤニヤしながら
一歩近づく男子高校生。
男子高校生「ダンス、良かった」
ぽつりと呟くと、再びヘッドホンを着けて前に進む男子高校生。
夢「あっ… いやっ…」
照れてうつむく夢。
夢「あれは…その…あっ!」
電車の扉がプシューという音で閉まり、 夢の目の前から発車していく。
動き出す車内から軽く手を振る男子高校生。
走り去る電車を見送る夢。
夢「遅刻だわ、今日・・・」
遅刻というのに不思議と高鳴る胸を抑えつつ、
今度は線路を踏み外さないよう
黄色い線から遠く離れて慎重に、ゆっくりと歩いた。