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コンクリートユートピアを観た。本当の理想郷って?


 「コンクリートユートピア」という韓国映画を観てきた。大災害で一棟だけ残ったマンションを舞台におこる争いを描いた物語で予告の時点から観に行きたいと思っていた作品だった。
 まずはネタバレなしで。
唯一残ったマンション内でユートピア(理想郷)が作られていくのだが、徐々に格差も生まれてくる様がリアルで、観ていて少し苦しいくらいだった。「働かざるもの食うべからず」という精神が極限状態ではどうしても働いてしまうのが本当にリアル。確かに実際にそういう状況に置かれたら、若い自分は働き、老人や働けない人は働かないで食べるばかりだったら流石に切り捨てるという選択もあり得てしまうのが本当に辛い。
 内容以外にも良かった点。
始まり方最高!少し古めの映像から、現在の映像に、アパートが人間にとってどのような価値があるのかを簡潔に説明している。この時点から凄い作品が始まりそうだと心が躍った。大災害が起こるところから始まるところからテンポいいし、最高と思った。映像も災害の映像はものすごいクオリティでアトラクション感も凄かったので劇場で観る意味があると思う。極限状態における人間の嫌な部分と良い部分を両方味わえる作品だった。

⚠️この先ネタバレありで。⚠️

 途中からのパラサイト展開は驚いた。まさか代表がゴキブリだったとは。でも確かに、アパートとか団地とかに住んでたら住民全員の顔と名前が一致していることなんてないから納得はいった。
 終わり方も最高!「コンクリートユートピア」というタイトル回収が秀逸だった。本当の理想郷って何なんだろうって考えさせられる作品となった。最後に助けてくれた人たちが「ただで住んでもいいんですか?」という質問に対して「生きているなら住んでもいいのよ」と答えているところでウルッときてしまった。災害時には共助、公助、自助、互助が大切だって言われているけど難しいよねって作品の前半で思わされたけれど、やっぱりそんな姿が美しいし、これがユートピアだよねって。最後に助けてもらって住ませてもらったコンクリートの家が段々と離れていって全体を写したところで「コンクリートユートピア」というタイトルが出て映画終了、エンドロールは痺れた。
 石川県が震災で今大変な時期。被災地に物資を届けるべきなのか、届けるべきではないのかという議論が勃発している今だからこそ観るべき作品であると思う。

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