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キャプテンはキレ散らかすくらいが丁度良い?勝つ集団に求められる緊張感とパーソナリティについて



はじめに


皆さんご存知の通りモンテは先日山口に0ー2で敗北しました。その前の岡山戦では苦しみながらも引き分けに持ち込んで、さぁこれからといった矢先の完敗です。

さらにその前を遡るとずっと最下位だった徳島にも力負けしていましたね。「どうせこの試合は勝って順位も上がるだろう…!徳島戦は大量得点して得失点稼ぐぞーー!!!本当に大事なのは次の岡山戦だ!!!ウシャシャシャシャ!!!」なんて思っていた人も多いのではないでしょうか。

はい、僕もです。

人は期待値が上がれば上がるほど、それが叶わなかったときのショックは大きいものになります。だからこそ、この直近の負けは多くのサポーターにとってかなりショッキングなものになったのではないでしょうか。僕はショックを通り越して呆れのような気持ちも芽生えていました。

スタッツでも徳島にボコボコにされました。これが優勝を目指すチームなのか…?


そんな中徳島戦を見て思ったことが一つあります。

それは、「なんかぬるくない?」です。

試合を見ていて、強いチームの特有の覇気や活気のようなものがないというか、自信がないというか…。また、その雰囲気が守備の緩み、一瞬の寄せの甘さなどに繋がっているんじゃないかと考えてしまいました。もちろん僕は当事者ではないので、憶測でしか語れないのですが、そのように感じました。

全力で声を挙げて指示をだしたり、味方を鼓舞している選手は皆さんの中で思い浮かびますか?僕はあまり思い浮かびませんでした(少なくとも徳島戦では)。もちろん、試合中に声を出すことはあると思いますし、実際に味方を鼓舞するような声も出しているかもしれません。しかし、僕が言いたいのは声を出している出していないとかではなく、ピッチ内の味方全員の闘志があふれるような「雰囲気」をつくれていないのではないか、ということです。そして、その雰囲気を作り出すには、緊張感(ピリつき度)が重要なのではないかと仮説を立てました。

昇格するチーム、強いチームを作るにはある一定の水準以上のピリつき度がチーム内(練習と試合両方)に必要なのではないかと私自身思っており、結論から言ってしまえば、モンテはその水準に達していない、と考えます。

ピリつき度とは具体的にどういうものか


では、そのピリつき度はどういった環境で高くなるのでしょうか。個人的に考えたのは3つの状況です。

①この人を怒らせたら怖い、という感情が常にある環境
②120%の本気を出さないと逆に自分が浮いてしまう環境
③試合で活躍しないと自分の立場や生活が危ぶまれる環境

少し分かりずらいかもしれないので、他のチームをこれに少し当てはめてみたいと思います。

鹿島アントラーズは②のような環境が伝統的に醸成されているのではないでしょうか。鹿島は多くのOBがトップチームに関わっていたり、なんならジーコが試合を見ていたりしますよね。そのような人から見られている意識は、在籍選手はひしひしと感じるのではないかと予想します。またベテランが常に在籍しており、クラブのフィロソフィー的なものを若手に伝えるサイクルが上手くできていますね。海外にステップアップしたとしても内田篤人や柴崎岳ら「鹿島」をよく知る選手達がクラブに戻ってきているのもクラブのアイデンティティーを継承する上でプラスになっているでしょう。

2023の鹿島


次に、曺貴裁率いる京都サンガです。これは①と②両方だと思います。この監督は一人で全員の選手に火をつけさせる特殊能力を持っている人です。①に関連して、彼自身の怖さ的なものが選手の潜在意識には絶対にあるはず。ただ、この監督は「この人怖いな」と思わせるだけではなく、選手の熱さを引き出すのが本当に上手いんだと思います。日本人には中々いないタイプでしょう。2021の京都は恐ろしい程選手たちのモチベーションが高く、強度もえぐかったですよね。

2021に自動昇格を掴み取った京都


また、①②③で挙げたものと全く別で、
積極的に声がけ出来る絶対的な精神的支柱がピッチ内にいる
という条件は試合で結果を出す上で非常に重要だと考えます。(①②③はどちらかと言うと練習の雰囲気から変えたいという意味合いで、これは試合に限った話です。)リカルドロドリゲス体制の徳島ヴォルティスの岩尾憲はまさにその象徴ではないでしょうか。このような選手がいることで、ピッチ内の選手が自信を持ってプレー出来るようになり、普段の力以上のものを出せると思います。(ただ、実力が伴っていないと発言に説得力はでないため実力者じゃないと成り立たないと思っています。何を言うかより誰が言うかが大事ってよく聞きますよね)

徳島時代の岩尾憲


そういえば2014の山形も魂のストライカー山岸範宏が加入しましたが、これもこの類だと思っています。結局昇格プレーオフを勝ち抜いて昇格しましたね。

夏に途中加入し、チームの雰囲気を変えた山岸範宏
本職はFWだが、GKで出場することが多かった


モンテはなぜピリつきがない?

モンテはなぜ緊張感が感じられない、自信がないように見えてしまうのでしょうか。

僕は監督の渡邉晋さんは昇格を導くのに必要な熱量や器を持っていると思っています。これまでの試合や練習中の言動からして。

それゆえに問題はピッチ内の選手にあるんじゃないかと踏んでいます。ディフェンス陣で言ったら後藤、西村、熊本、吉田、川井が出場機会が多いですが、みんな引っ張るというタイプではありません。他人に喝を入れるタイプでもありません。みんな優しいです。南もそうですね。

ただし優しい性格であることはその人の生まれ持ったものであり、基本的に変えられるものではありません。だからこれがダメっていう訳では全くないです(時には自分の性格を変えてでも喝を入れる必要がある場面もありますが)。

4/28 徳島戦のスターティングメンバー


だから問題は、クラブがこのような強いリーダーシップを持った選手を雇わないこと、雇えていないことだと個人的には思います。

そのため、キャプテンは南ですが「彼が優しいからチームの雰囲気が緩いんだ」と、南だけを批判するのは少しかわいそうに思えます。南をキャプテンにするなら、他に強烈なリーダーシップを発揮出来る主力級の選手を獲得して欲しいですし、出来ないなら南をキャプテンにするべきではないと思います。なぜならチームの雰囲気は良くも悪くもキャプテンの影響を少なからず受けてしまうからです。

個人的にキャプテンはキレ散らかすぐらいが丁度いいと思っています。

これを分かりやすく例えたいと思います。皆さん学生時代を思い出してください。寝てても内職してても何も怒らないおじいちゃん先生が授業をしている時と、寝てたりするとすぐ「おい〇〇ー!」って言ってくる野球部の監督みたいな先生が授業しているときでは、生徒の姿勢は全く違いますよね。緊張感を出すには後者の方が断然良いのはお分かり頂けたかと思います。

中村充孝は山形在籍時、チームの甘い雰囲気を指摘し「自分が嫌われ役になってもいいから、(勝つ集団になるように)そういうのは言い続ける」とインタビューで語っていましたし、山田康太も試合後インタビューで、前述のようなチームの雰囲気について言及した時もありました。これをクラブ側はどう捉えているんでしょうかね…

中村充孝。怪我がちで試合に出る事は少なく批判される事もあったが、チームの雰囲気など色々考えてくれていた

ベテランは必要か


よくベテランが必要、というのを聞きます。確かにそうですが、別に若くてもリーダーシップをもっていてチームに喝を入れられるような選手がいれば、それで良いと思います。さっきも出てきましたが山田康太は、試合では他の選手に「ここ入って来いよ!!〇〇(名前)!!」と言ってたのを聞いたこともありましたし、実際にプレーで引っ張る姿勢も見えました。そういう姿勢に影響された選手って結構いたんじゃないのかなぁーと思います。ただベテランにこのようなリーダー性を持っている選手が多いのも事実です。だからあながち間違いではないと思います。とはいえベテランと言えど、藤田息吹のように自分の仕事を淡々とこなす口数が少ないタイプもいれば、優しい兄貴分の岡﨑建哉のようなタイプもいます。岡﨑はリーダーシップあるだろ!と思うかもしれませんが、自分がさっきから言ってる「他人に緊張感を生み出させる強いリーダーシップ」とは違う種類のリーダーシップだと思ってます。

だから、厳密に言うとベテランが必要というよりかは、年齢関係なく前述のリーダーシップを持った選手が必要といった感じでしょうか。

強化部について


強化部は毎年良い補強をしていると思います。確かに優秀な若手に選ばれるクラブにはなりました。

しかし、モンテが自動昇格を掴み取るには、自分が上に書いた点に考慮した選手編成にして欲しいと思います。サッカー選手としてサッカースキルが優れた選手を集めるのも大事ですが、組織として上手く機能させるために人間性(リーダーシップ)や、勝利に貪欲な姿勢があるか、という観点にももっと注目して欲しいと思います。もっと練習や試合で全員が闘争心剥き出しになるようなモンテディオ山形が見たいです。

もしそのような選手が獲得できないのであれば、来季以降は髙江あたりにキャプテンを任せて、チームの雰囲気を変えるように試みるのもいいんじゃないかなぁなんて思ったり思わなかったりします…。(髙江がいればの話ですが)


ご精読ありがとうございました😊

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