小説供養その二 バースセイバー関係

お題:シミュレーションに入ったはいいが、トラウマが這い出てきた自キャラ。

「へェ、ダーザインにゃこんなもんまであるんだな……」
 シミュレーション室と書かれたプレートが付いた扉の前でアルテナイは立ち尽くしていた。
深夜十二時。本来であれば自室で眠っている時間だ。しかし彼女は起きている。しかも、武装した状態で。腰に付けた左右のホルスターに拳銃が二丁。太ももあたりに鞘に入ったボウイナイフが一本。ズボンには弾帯が巻かれている。
「どうせだ……マジにやろうじゃねえか」
 猛禽類を思わせる鋭い目つきがより鋭くなった。口元には凶悪そうな笑みが浮かんでいる。まるで小さな狂犬だ。
 彼女はゆったりと歩みを進めた。

 アルテナイは暗闇を恐れている。正確には暗闇の中に潜むモノを恐れている。
 シミュレーションが起動する数秒間、太い腕に首元を捕まれるような感覚を彼女は味わっていた。
「……親父」
 先ほどまで浮かんでいた凶悪な表情はどこにもなく。今のアルテナイは孤独にあえぐ子供になっている。脳裏に刻まれたあの景色は眠るたびにやってくる。
 眠れない時はそれ以上の刺激で誤魔化そう。そう考えてやろうとしたのに。
 また弱い子供に逆戻り。弱いままだと殺される。
「あぁ、いやだ……」
 頭を押さえる。脳を締め付けられているというのに抑えるとは滑稽に思えた。
『子供のままでは生きていけない。だから、銃を握ったのでしょう?』
 こふゅ。笛を吹き損ねたような音と共に息が漏れた。

 景色が明るくなる。少女は立ち上がる。悪夢を振り払うように頭を振り回した。
 持ち歩いていた愛用のテンガロンハットをかぶる。手の震えは止まった。
 今のアルテナイはただ怯える少女ではない。賞金稼ぎ白鷲として立っている。
「来いよ……」
 一つ、息を軽く吐いて前方を睨んだ。撃つべき敵を見据えながら。

(某掲示板に貼る予定だったけど、やめちゃったものです)
(目指せ完成)

もしも。アナタがほんの少しだけ協力してくれるのなら。 書いている人が希望を持てます。 そして、記事が若干面白くなります。