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日曜劇場『海に眠るダイアモンド』第7話──「もう失わない」と誓ったはずだったのに
TBS日曜劇場『海に眠るダイアモンド』第7話が放送され、物語はついにクライマックスへと向かう。過去と現在が交錯しながら、幸せの影に潜む喪失の恐怖が描かれた回だった。
現代、いづみ(宮本信子)から、鉄平(神木隆之介)は今もどこにいるのか分からないままだと告げられ、衝撃を受ける玲央(神木)。
1964年。荒木家では、進平(斎藤工)とリナ(池田エライザ)の息子が一歳を迎え、一平(國村隼)やハル(中嶋朋子)の喜びもひとしおの様子。さらに賢将(清水尋也)と百合子(土屋太鳳)も結婚1周年を迎えるなど、周囲に幸せムードが漂う中、鉄平と朝子(杉咲花)もまた、秘密の交際を始めていた。
そんなある日、鉱山の坑内では一平が作業している中、ガス爆発による火災が発生して…。
訪れた端島最大の危機に、進平と鉄平も立ち向かうことに。
運命を揺るがす一日が始まったーー。
「あの頃の端島はキラキラしてた」──幸せの光と影
いづみの語りで端島パートへ。
「あの頃の端島はキラキラしてた。」
戦争の影を抱えながらも、そこには確かに生きる人々の笑顔があった。しんぺいとリナの息子・誠が和尚を選ぶ場面では、彼が「慈悲深い子になるよ」と語られた。しかし、「次のお祝いは七五三の5歳か、あっという間だよ」という言葉が、叶わぬ未来を示唆するようで、胸が締めつけられる。
「私たち、たくさんなくしたばってん、この歳になってまだこういう幸せがあるかと。」そう呟く鉄平と進平の母。彼らは、もう何も失わないと誓い、未来を見据えていた。しかし、現実は容赦なく、再び試練を突きつける。
「プロポーズしてみたら?」──交わされなかった約束
「結婚する気あるの?」
朝子に聞こえるように、わざと百合子が鉄平に投げかける。
「何にも聞いとらん(聞こえてない)」と知らんぷりする朝子だったが、「何も聞いとらんけど、言いたいことあるとやったら聞くよ」と続ける。これまでの二人の関係性を思えば、朝子のこの言葉には、大きな意味があったはずだ。
しかし、ここでも運命の悪戯か、食堂内で小さなぼや騒ぎが起こってしまう。しかも、そのボヤ騒ぎを起こしたのは、将来の朝子の旦那になる男だったのだ。
もし、ボヤ騒ぎが起きずにその流れでプロポーズがあれば、もしかしたら二人の未来は違っていたのかもしれない。しかし、何かがそれを遮った。
「ここでプロポーズしていれば違ったのか?」
その問いが、視聴者の胸にずっと残る回となった。
「坑内火災の怖さ」──視聴者も死の恐怖に怯えた3日間
第7話の中心となったのは、坑内火災の恐怖だった。
「鉄平が死ぬのでは?」
視聴者は、その不安に3日間、怯え続けることになった。火災がなぜ起こるのか、炭鉱の仕組みやポンプの構造など、普段知り得ない知識を得ることができたが、それ以上に、「火災の恐ろしさ」がこれでもかと描かれた。
鉄平が坑内に入ったまま行方不明になるのではないか──そんな予感がじわじわと広がる。
朝子も、また大きな火災が起こるかもしれないと気を揉みながら、鉄平を待ち続ける。
仕事終わりの夜遅く、やっと会えた鉄平に「おやすみ」と言いながら、なかなか去らない朝子。
「ギリギリまで一緒にいたいからこそ、歩く。話す。」
「先に入ってよ」
「見送ろうと思ったとよ」
「俺が見送る」
ただの会話に見えて、このシーンは緊張感が張り詰めていた。おそらく、二人とも心のどこかで、何かを感じ取っていたのではないか。もう、こうして一緒にいる時間が、永遠に続かないのかもしれないということを。
そして、この場面を「鉄平も外で待ってるだけじゃもどかしかったんだろうねえ」と振り返るいづみの言葉が、さらに不安を煽る。
帰らぬ進平──帰るはずだったのに
7話のラスト、視聴者の心を揺さぶったのは、進平の幻覚のシーンだった。
彼は坑内火災の現場から仲間たちを救ったのだが、自身が一酸化炭素中毒により、栄子の幻覚を見る。しかし、その幻覚を自分で振り払って、リナと息子の誠の元へ帰ろうとする。
「帰ろうとしたのに……!」
視聴者の心に突き刺さる展開。これまで何度も「生きる」ことを選び、帰ろうとしていた彼が、それでも運命に抗えなかったことを思うと、悔しさが込み上げる。
進平が死んでしまったことで、鉄平の運命もまた、大きく狂っていく。
「もう無くさない」はずだった──迫る最終章
第7話では、これまでの幸福な時間が、ほんのわずかな綻びから崩れていく様が描かれた。
「もう無くさない」と思っていた。
けれど、それは叶わなかった。
視聴者の不安が募る中、物語はついに最終章へと突入する。
鉄平の運命は? そして、朝子は?
次回、ついに全てが明らかになる──。