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『海に眠るダイアモンド』第3話〜記憶をつなぐキラキラの記憶〜

鉱員たちが働きやすい環境を整えるべく、自分たちなりのやり方で力を尽くす鉄平(神木隆之介)と賢将(清水尋也)。鉱員の進平(斎藤工)の助言も役立ち、その結果、2人の活躍で新たな社宅制度も出来ることに。
そして季節は流れ、1957年10月。ついに端島に水道が開通する。新しい鉱員アパートや小中学校の新校舎も完成し、人口も出炭量も増えた端島は最盛期を迎えようとしていた。
そんな中、以前端島を舞台に製作された映画「燃ゆる孤島」の続編製作のため、プロデューサーの夏八木(渋川清彦)がやってくる。活気に満ちた今の端島をフィルムに収めたいと熱く語る夏八木は、島民たちを対象に出演者オーディションを行うと宣言。皆が一気に浮き足立つ中、夏八木から声をかけられた朝子(杉咲花)もまた、こっそり演技の練習を始めていた。
一方現代では、玲央(神木隆之介)がいづみ(宮本信子)の家に転がり込み、いづみの家族と初対面を果たす。いづみは家族に玲央のことを自分の婚約者だと紹介し…。

公式HPより引用

日曜劇場『海に眠るダイアモンド』第3話は、端島の最盛期へ向かう歴史的な瞬間と、キャラクターたちの成長、そして過去と現在が交差するドラマチックな展開が詰まった回だった。

賢将の成長!“一皮むけた”男の姿


かつて会議中に居眠りをしていたり、仕事に今ひとつ身が入っていなかった賢将。しかし今回は、鉱員たちの労働環境改善のために堂々とプレゼンをする姿を見せた。

「あの頼りなかった賢将が…!ついに大人になった…!?」と、視聴者も思わず胸が熱くなる成長ぶりだった。

端島の歴史的瞬間!海底水道の完成と発展


1957年10月、ついに端島に水道が開通!さらに、新たな小中学校の校舎やプールも完成し、人口・出炭量ともに増加。端島はまさに“最盛期”を迎えようとしていた。

「この国に生まれたからには知っておくべき歴史」が、ドラマの中で鮮やかに描かれているのが素晴らしい。

そして、かつて端島を舞台に制作された映画『燃ゆる孤島』。その続編のために、プロデューサーの夏八木(渋川清彦)が島を訪れる。

「今の端島の活気をフィルムに収めたい!」と意気込み、島民を対象にオーディションを実施すると宣言。これに島は一気に沸き立ち、朝子(杉咲花)も密かに演技の練習を始める。そしてのちにこの頃の映像が、現代パートで見つかることになるのだが、「映像が残っていたのはこの監督のおかげだったのか……!」と驚きの事実を噛み締めた。

いづみのちゃめっ気と、現代パートの“お金”のテーマ


「どういう関係?」と問われたいづみが、「結婚を前提とした関係」と冗談めかして答えるシーンにはクスリとさせられた。

また、ホストに夢中な千景が「ホストって寝るの?」「2人は本当に愛し合ってるの?」と質問する姿は、現代のリアルを映しているようで興味深い。

そして、この回の現代パートでは“お金”が重要なテーマになっていた。
玲央が「400万なんてポッと払えるの?」と驚くシーン。

確かに、一般的な感覚ではありえない額だが、いづみもかつて貧しかった時代を経験している。だからこそ、彼女の価値観が沁みるのだ。

キラキラと赤痢の記憶、鉄平と朝子のつながり


朝子は幼い頃から“キラキラ”したものが好きだった。

幼少期、海で光る瓶を拾おうとして海に落ち、赤痢に感染してしまうという過去があった。そのとき、隔離された彼女のもとに瓶を届けたのが、幼い頃の鉄平だったのだ。

そして、映画のオーディションで朝子が口にしたセリフ──
「あら?私の初恋の人にそっくりだわ!昔のこと思い出しちゃった」

それを聞いた鉄平の表情が変わる。
「花瓶買ったら?」
「鞍馬天狗にもらったと」

──そう、彼は思い出したのだ。かつて“鞍馬天狗”のように、赤痢で苦しむ朝子に瓶を届けた自分を。

気づいた2人は、目を合わせ、そして逸らす。
それを繰り返すうちに、込み上げてくる感情。
視聴者も「泣いた……」とつぶやかずにはいられない、胸を締め付けられる名シーンだった。

広田炭鉱長の“置き土産”とは?


第3話で語られた、炭鉱長・広田が残した“もう一つの置き土産”
「福利厚生費で決済し移植された桜の木」。

鉄平の晩年に植えたコスモスともつながるかもしれない。
「共に懐かしんでくれ、山桜よ。お前以外に本当の私の心を知るものはいないのだから。」

このセリフがどう物語に影響してくるのか、今後の展開が待ち遠しい。

「食堂の花」──朝子が求めたもの


朝子は「映画スターになりたかったんじゃない。食堂の朝子じゃない人になりたかった」と語る。
この言葉には、彼女の人生に対する切なる想いが込められている。

それを受けた百合子のセリフ、
「さすが食堂の花」
“花”といえば、朝子を演じる杉咲花の名前と重なり、視聴者の胸に響く瞬間だった。

第3話は、端島の歴史的発展、キャラクターの成長、そして過去と現在の交錯が繊細に描かれた、まさに神回。特に、鉄平と朝子の記憶がつながるシーンは圧巻で、過去の伏線が今につながる見事な構成だった。

最終話に向けて、「いづみの欲しかった人生」「朝子の夢」「鉄平の想い」がどう交わっていくのか楽しみになる回だった。

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