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波動性と粒子性とは/二重スリット実験から多世界解釈まで

電子が二つのスリットを同時に通過する?

こんにちは。
電子は波動性と粒子性の二つの性質を持ち、それらが摩訶不思議な現象を引き起こします。その代表例として有名なのが二重スリット実験です。

二重スリット実験は、本来粒子であるとされた電子が実は波動の性質を持ち、また観測によって結果が変わるという、ある意味恐ろしい結果を示した実験です。

二重スリット実験の妥当性とその解釈をめぐって、当時の物理学界では大規模な論争が沸き起こったそうです。私も当時生きていれば、その雰囲気を味わえたのでしょうか。

  • 二重スリット実験とは何か

  • どんな結果が得られたのか

  • そこからどんな考察・解釈が生まれたのか

を下の記事に頑張ってまとめました。興味のある方はぜひクリックしてご覧ください。

記事を読んでいただいた方は以下にブログ記事の補足説明と、やや発展的なtipsを書きました。記事を読んで面白いと思ってくださった方はぜひ読み進めていただけると嬉しいです。

アインシュタインと光量子仮説

上の記事では少しだけアインシュタインという人物について書きました。物理学を勉強すると、何かと登場するアインシュタインも量子力学の成立に大きな貢献をした人物です。本当にアインシュタインはどこにでも顔を出しますね。

アインシュタインは量子力学に懐疑的だったとも言われていますが、一方で光量子仮説という仮説を提案した人物で、今となってはアインシュタインがどんなスタンスで何を考えていたのかは窺い知ることが出来ません。まあ聞いたところで理解できるとは私自身に期待していませんが。

光量子仮説は光が

$$
E=h\nu
$$

のエネルギーを持つある種の「粒」であるとする仮説です。$${h}$$はプランク定数、$${\nu}$$は光の振動数であり、光子のエネルギーがプランク定数$${h}$$の整数倍になることを示しています。このようにエネルギーが飛び飛びの値を取ることをエネルギーの量子化と言います。

干渉縞が現れる説明

二重スリット実験によって干渉縞が現れる理由は、量子力学の理論では二つの波動関数の重ね合わせで説明することが出来ます。
波動関数の重ね合わせについてはこちらのnoteの下に軽く記載しています。

二つのスリットのどちらかを1、もう一方を2とすると二重スリットを通過する電子の波動関数は下のように書けます。

$$
\Phi(\boldsymbol{r})=C_1\phi_1(\boldsymbol{r})+C_2\phi_2(\boldsymbol{r})
$$

$${\phi_1(\boldsymbol{r}),\phi_2(\boldsymbol{r})}$$はスリットを通り抜ける電子の波動関数で、$${\Phi(\boldsymbol{r})}$$は二重スリット全体の波動関数です。$${C_1,C_2}$$は波動関数の大小を決める複素数の係数です。

波動関数は「波動」というだけあって、複素数の波の式で表されます。それを念頭においた上で、波動関数の存在確率(確率密度)は波動関数に絶対値を取って二乗することで求められます。式中の*は複素共役の意味でReは()内の実部という意味です。

$$
\begin{aligned}
|\Phi(\boldsymbol{r})|^2
&=|C_1\phi_1(\boldsymbol{r})+C_2\phi_2(\boldsymbol{r})|^2\\
&=(C_1\phi_1(\boldsymbol{r})+C_2\phi_2(\boldsymbol{r}))(C^{*}_1\phi^{*}_1(\boldsymbol{r})+C^{*}_2\phi^{*}_2(\boldsymbol{r}))\\
&=|C_1\phi_1(\boldsymbol{r})|^2+|C_2\phi_2(\boldsymbol{r})|^2+2\text{Re}(C_1^{*}C_2\phi^*_1(\boldsymbol{r})\phi_2(\boldsymbol{r}))
\end{aligned}
$$

最後の辺の第一、第二項は元々の波動関数$${\phi_1(\boldsymbol{r}),\phi_2(\boldsymbol{r})}$$の存在確率を表現したような項であり、のこる第三項が波の干渉に相当する項になっています。

この操作は確率解釈という、量子力学の主流の解釈にしたがっています。どうしてこのように複素共役や実部、絶対値を書いたりするのかというと、波動関数は複素数なので、虚部は私たちには見えず、現実世界、言い換えると数学上では実数に変形するためにこんな操作をしています。

量子力学の根幹をなす波動関数の物理的考察は、現在でも確率解釈のような解釈の領域を脱していません。波動関数の絶対値二乗がなぜ確率密度を示すのかを解明した人は、少なくとも私は知りません。
もしも波動関数の意味が変わってしまうと、それ以降の理論のほぼ全てを書き換えなければなりません。ですが、今のところは確率解釈でうまくいっているようです。

今回の記事は以上になります。ご覧いただいた方ありがとうございました!
よければ、他のnoteもご覧いただけると執筆の励みになります。

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